18歳から!? 裁判員に

18歳から!? 裁判員に
今回は、ニュースで耳にすることも多い「裁判員制度」についてです。刑事裁判に一般の人の感覚や意見を反映させようと2009年に始まった制度です。

問題に挑戦!

問題
裁判員制度の説明として正しいものを、次のア~エより1つ選びなさい。

ア.原則、選挙権をもつ人の中からくじで選ばれる。
イ.どんな理由があっても辞退できない。
ウ.すべての裁判の第1審に導入される。
エ.裁判員だけで話し合い、有罪・無罪を判断し、刑の重さを決める。

(品川女子学院中等部 2009年 改題)
分かりますか?

正解は「ア」です。

現在、選挙権は18歳以上の人が持っていますが、成人年齢を引き下げる民法の改正や少年法の改正に伴って、裁判員に選ばれる年齢も18歳以上に引き下げられることになりました。
実際には、2023年以降、18歳や19歳の人が裁判員に選ばれる可能性があります。
裁判で、被告の人生を左右するような重い判断が求められる裁判員。
若者自身がどう考えているのか調べてきました。

裁判員は裁判官と同列で

訪れた先は裁判所?…ではなく、東京都内にある専修大学法学部。
こちらは、学生たちが模擬裁判を開くための法廷教室です。
教授の飯考行さんに案内してもらいました。
裁判員は、この法廷でどこに座るのでしょうか?
飯教授
「真ん中3席が裁判官席。両脇3席ずつが裁判員、市民から選ばれた方々が座る席。ほとんど裁判官と裁判員は同じ責任を持って裁判で判断する。それが法廷での座る位置にも表れているということになります」

対象を18歳以上に引き下げ

殺人など重大事件の裁判で、裁判官とともに審理し、有罪か無罪か、そして刑の重さを判断する裁判員。
選ばれる年齢の引き下げについて学生たちはどう思っているのか、聞いてみました。
学生
「若い世代だから出る意見とかもあると思います」
「より若い人の声が入る可能性が増えたということは、とてもいいことだと思います」
「18歳と20歳、そんなに差はないのではないかと思っていて、18歳でも立派に裁判員を務められるのではないかと思っています」
いずれも年齢引き下げに好意的な学生たち。
しかし、こうした意見ばかりというわけではありません。
こちらは、飯教授が学内の学生たちを対象に行ったアンケートの結果です。
裁判員に選ばれる対象を18歳以上に引き下げることに賛成したのは、「どちらかと言えば賛成」も含めておよそ42%。
一方で、反対はそれを上回り、およそ50%を占めました。反対の理由については、「18歳、19歳で他人の人生に判断を下すのは不安」、「まだ未熟な状態で参加するのは早すぎる」などといった回答が目立ちました。

さらに、話を聞くうちに、年齢の引き下げに賛成する学生でも、まったく不安がないわけではないことが分かってきました。

裁判員は6人います。
その中で、若い人もしっかり発言できるのか…
学生
「年齢が親やそれよりも上の人がいっぱいいる中で、意見を言うとなると少し難しいのかなと思います」

裁判員経験者から学ぶ

学生たちの所属するゼミでは、裁判員制度について学ぶとともに、実際に裁判員を務めた人に話を聞く会を定期的に開いています。
どのように裁判に向き合ったのか、実体験を知ることで制度への不安は小さくなったといいます。
学生
「刃物とかの証拠に対して血がついたものではなく新しいものが使われていたり、そういう配慮がされているということを今まで知らなかった」
飯教授
「裁判員にためらいを覚えるという市民の方は、残酷な写真を見せられるのではないかとか、そういった声が結構あるが、裁判所も工夫をしていて基本的にはイラストにかえるとか、場合によっては白黒写真に最低限するとか、かなり裁判員に配慮がされてきています」
学生
「経験者からは、『なんてひどい事件なんだと思っても、実はその裏にたくさんのつらい事情があったり、やるせない事情があったりすることを裁判員の体験として学んで、一度立ち止まるではないが、考えられるようになった』と聞くことが多い。私たちも考え方を変えられた部分になるのではないかなと思います」

制度への理解がカギ

18歳や19歳の人が、実際に裁判員に選ばれるようになるまでおよそ1年。
飯教授は、制度への理解がカギだとして、裁判所や弁護士会などが積極的に若者への周知を図るべきだと話しています。
飯教授
「裁判員はくじ引きで選ばれるということで、これは何を意味するかというと、社会に住んでいる人たちにそのまま裁判員になってもらおうということ。いわば社会の縮図が裁判員なので、その意味では若い人も裁判員になってもらうというのは、制度の趣旨からするといいことだとは思います」
学校教育の現場では、法律や司法制度について学ぶ法教育を授業に取り入れようという動きが進んでいて、高校生向けに裁判員制度について詳しく解説する教科書も作られています。

選ばれる可能性がある以上、私たちも裁判員を経験した人の話を聞いたり本などを読んだりして、制度への理解をより深めることが大切だなと思いました。
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