13都県にまん延防止措置 病床使用率や感染状況は?

新型コロナウイルス対策で、政府は首都圏の1都3県や東海3県など、合わせて13都県にまん延防止等重点措置を適用することを、19日、政府の分科会に諮る方針を固めました。

重点措置適用は今月21日~来月13日

岸田総理大臣は、18日夜、後藤厚生労働大臣や山際新型コロナ対策担当大臣ら関係閣僚と会談しました。

そして、政府は、まん延防止等重点措置の適用の要請があった、13都県に対し、重点措置を適用する方針を固めました。

具体的には東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、新潟、愛知、岐阜、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の13都県です。

また、適用の期間は、今月21日から来月13日までとする方針です。
こうした方針について、政府は19日、感染症などの専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮り、国会に報告した上で、対策本部で正式に決定することにしています。

方針どおり決まれば重点措置の適用地域は16都県に拡大されることになります。

「まん延防止等」要請した13都県の状況

新型コロナウイルスの感染状況の急激な悪化が続いています。
首都圏や東海、九州など、各都県の状況は以下のとおりです

首都圏と新潟の1都5県

【東京都】
東京都内の病床使用率は18日時点で23.4%で、17日から2.3ポイント上昇しました。都が「まん延防止等重点措置」の適用について、国への要請を検討する段階としていた「20%」を超えています。
東京都は具体的な措置の内容について政府と協議しながら検討を進めていて、重点措置が適用された場合、飲食店に対して時短営業を要請する方向で調整を進めています。
感染対策の認証を受けている店は、酒類を終日提供せずに営業を午後8時までに短縮するか、酒類の提供を午後8時までとして営業を午後9時までに短縮するかのいずれかを選択できるよう調整しているということです。
また、認証を受けていない場合は午後8時までに短縮し、酒類を終日提供しないよう要請する方向です。
要請に応じた場合に支払う協力金は、いずれも売り上げに応じて、一日当たり、午後8時までに短縮するケースで3万円から、午後9時までのケースで2万5000円からにする方向で、詰めの調整を進めています。

飲食店への要請の内容は、首都圏の1都3県で概ねそろえる方向で調整を続けているということです。

【埼玉県】
埼玉県内の「現在確保している病床に対する使用率」は、17日の時点で30.5%で、1月6日時点の6.5%から5倍近くに増えています。
入院患者は17日時点で524人です。

【神奈川県】
神奈川県内の病床使用率は、17日時点で16.71%です。県が確保している病床の数は2100床で、入院している人の数は、17日時点で351人です。

【千葉県】
千葉県内の確保病床の使用率は、17日時点で13.3%です。
入院患者は17日時点で233人です。

【群馬県】
群馬県内の確保病床の使用率は、17日時点で37.4%です。
入院患者は17日時点で210人です。
群馬県の山本知事は、臨時の記者会見で「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請したことを明らかにしました。
群馬県内で、18日発表された感染者数は375人と過去最多を更新し、病床使用率も37.4%と関東で最も高くなっています。
重点措置の対象地域は県内全域で、期間は今月21日から来月13日までを想定しています。
具体的には飲食店全般を対象に営業時間を午後8時までに短縮し、酒類を終日提供しないよう要請するとしています。
飲食店のうち、感染対策の認証を受けている場合は午後9時まで営業し、午後8時まで酒類の提供をすることもできます。
要請に応じた場合、認証店には売り上げなどに応じて、一日2万5000円から10万円を、認証がない店には一日3万円から10万円の協力金を支払う方針です。
また、5人以上の食事は避けてもらうよう呼びかけることにしています。
イベントについては、事前に安全計画が提出された場合は、2万人を上限に収容人数の100%まで認める一方、計画が提出されない場合は、5000人を上限とし、歓声などがあるイベントは収容人数の50%までにするとしています。
県立学校では、通常の教育活動を続ける一方、部活動については、19日以降、対外試合や合宿を自粛するよう求め、市町村立の学校などにはこうした対応を参考にしてほしいとしています。
県有施設は人数制限や予約制などの感染対策をとったうえで開館します。

新潟県 重点措置が適用されれば初めて

【新潟県】
新潟県内の確保病床の使用率は、17日時点で26%です。
入院患者は17日時点で167人です。

新型コロナウイルスの新たな変異ウイルス「オミクロン株」などの影響で感染が再び、急拡大していることを受け、新潟県は「まん延防止等重点措置」を適用するよう18日午後、政府に要請しました。

新潟県内では今月に入って新型コロナウイルスの感染の確認が急増し、県のシミュレーションでは、飲食店への時短要請など強い措置を講じなければ1日あたりの感染者数は来月5日には1万8000人以上に上るとみられ、医療提供体制に大きな影響を及ぼしかねないとしています。

このため、県は18日午前、各市町村のトップや専門家を交えた対策本部会議を開き、病床のひっ迫などを防ぐため「まん延防止等重点措置」を適用するよう政府に要請することを決め、午後要請しました。

重点措置が適用されれば、新潟県としては初めてとなり、県はすべての地域の飲食店などに対し、営業時間を午後8時までに短縮し酒類の提供を自粛するよう要請するほか、感染症対策を講じているとして県の認証を受けた店は、営業時間を午後9時まで、酒類の提供を午後8時までとすることも選択できるようにします。

そして、条件を受け入れた店には1店舗あたり最大20万円の協力金を支払います。

要請に応じない場合、花角知事は新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく命令や、20万円以下の過料を科すことを検討します。

さらに、イベントの開催にあたっては2万人を上限とするほか、大型の商業施設に対し、酒類の提供を自粛するとともに、客の密集を防ぐ対策を講じるよう要請することにしています。

東海3県

【愛知県】
愛知県の17日時点の病床使用率は12%です。

愛知県の大村知事は、新型コロナウイルスの感染が県内で急拡大していることを受けて、岐阜県・三重県と足並みをそろえて「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請する考えを17日、明らかにしていました。
愛知県によりますと18日午前、国に対して正式に「まん延防止等重点措置」の適用を要請したということです。
措置が適用された場合、愛知県は設楽町・東栄町・豊根村を除く県内のほぼ全域を対象地域として、飲食店の営業時間の短縮要請などの対策を行う方針です。

【岐阜県】
岐阜県の17日時点の病床使用率は22%です。
岐阜県は17日、県内42のすべての市町村を対象にすることを念頭に、国に「まん延防止等重点措置」の適用を要請しました。
適用された場合は、1か月程度の間、飲食店に対して営業時間を午後8時までに短縮することや、酒類を提供しないことなどを要請し、協力金は店の規模に応じて3万円から20万円にする方針です。
ワクチンの接種や陰性証明を示すことで行動制限をゆるめる「ワクチン・検査パッケージ制度」は適用されません。
このほか、県をまたぐ不要不急の移動を極力避けることや、会食はふだん会わない人とは避けて、人数は4人まで、時間は2時間以内にすることを求めています。
学校については、クラスで1人でも感染が確認されたら学級閉鎖に、部活で1人でも感染が確認されたら活動休止にするとしています。
また、感染拡大のスピードが早いことから、社会・経済活動の基盤が揺るがないように、事業者に対してBCP=事業継続計画の確認や、無い場合は速やかな策定を求めています。

【三重県】
三重県の17日時点の病床使用率は21%です。
三重県の一見知事は、18日の午前中の県議会で、17日に政府に対して「まん延防止等重点措置」の適用を要請したことを説明し、一日の新規感染者数について「近日中にも過去最多を超える可能性が高い」と危機感を示しました。
また一見知事は、「新規感染者数の増加傾向が続いていて、近日中にも過去最多の515人を超える可能性が高く、病床使用率も30%を超えることが想定される」と危機感を示し、県民に向けて改めて感染対策を徹底するよう呼びかけました。
三重県では措置の内容についての政府の方針を踏まえ、19日にも対策本部の会議を開いて、飲食店に対する営業時間の短縮や酒類の提供自粛の要請の具体的な内容、それに措置の対象とする自治体などについて決めることにしています。

香川県 過去最多の120人感染確認(18日)

【香川県】
香川県の17日時点の病床使用率は21%です。

香川県の浜田知事は、新型コロナウイルスの感染者が急増し、医療への影響が懸念されるなどとして、政府に対し「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請したことを明らかにしました。

香川県内で一日に発表される感染者数としては、過去最多となる120人の感染が確認されたことを受け、浜田知事は18日午後、臨時の記者会見を開きました。

この中で浜田知事は、「通常の医療にも大きな影響が生じるおそれが高まっていて非常に厳しい状況だ。企業などの事業継続にも大きな影響を与えることから、早期に強い対策を講じたい」と述べ、政府に対し「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請したことを明らかにしました。

そのうえで「オミクロン株は感染力が強く県内でも感染者数の過去最多を記録するまでのスピードが早い。大きな感染の波の山場が長く続かないよう感染を抑え込みたい」と述べました。

一方、具体的な適用地域や重点措置に基づく対策について、浜田知事は
「検討中だ」として明らかにしませんでしたが、政府の基本的対処方針に沿って飲食店への営業時間の短縮要請などはせざるをえないという考えを示しました。

香川県に重点措置が適用されれば、去年8月に次ぎ2回目となります。

九州3県

【長崎県】
長崎県の17日時点の病床使用率は25%です。
長崎県の中村知事は臨時の記者会見を開き、長崎市と佐世保市を想定して「まん延防止等重点措置」の適用を政府に対して要請したことを明らかにしました。
重点措置の対象区域については、長崎市と佐世保市を想定していて、適用された場合、対象区域内にある飲食店などに対し、今月21日から午後8時までの営業時間の短縮や、酒類の提供を終日行わないよう要請する方針を明らかにしました。
そのうえで、県民に対し、県外との不要不急の往来自粛に加え、重点措置の適用が想定されている長崎市と佐世保市では不要不急の外出を控えること、それに会食については、感染防止対策が徹底された認証店を利用し、ふだん一緒にいる人と4人以内、かつ2時間以内で行うよう呼びかけました。

【熊本県】
熊本県の17日時点の病床使用率は28%です。
熊本県は18日、政府に対し「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請しました。
適用された場合の対象区域としては、すべての市町村を指定して対策を実施したいとしています。
そのうえで、県内すべての飲食店に対し営業時間短縮の要請などを行うとしていて、感染防止対策が徹底されている県の認証店を非認証店より優遇し、認証店は午後9時までの営業で酒類の提供ができる方法か、午後8時までの営業で酒類の提供を終日自粛する方法のいずれかを選択できるようにする予定です。
一方、非認証店に対しては午後8時までの営業と酒類提供の終日自粛を要請する予定で、いずれも要請に応じた店には協力金を支給します。

【宮崎県】
宮崎県の17日時点の病床使用率は17%です。
宮崎県は18日、国に「まん延防止等重点措置」の適用を要請しました。
適用された場合は、特に感染状況が深刻な都城市と三股町の圏域を対象地域とする方針で、ここ数日、感染者が急増している宮崎市などについても、機動的に判断していく考えです。
「まん延防止等重点措置」について、国は18日にも宮崎県などへの適用を決める方針で、適用されれば去年8月に続いて2度目になります。
重点措置が適用されると現在、都城市と三股町で行っている飲食店への時短要請に伴う協力金に国の交付金が活用できるようになり、県は協力金の額を増やす方向で検討しています。

居酒屋「感染対策十分にとりながら営業続ける」

「まん延防止等重点措置」が適用されれば、新潟県はすべての地域の飲食店などに対し、営業時間の短縮を要請することにしています。

新潟市中心部の繁華街にある居酒屋では、飲食業全体に影響が及ぶとして行政に対し、十分な補償を求める声も聞かれました。

「五郎 古町店」の店長を務める鹿嶋友也さんは、「感染がいままでにないくらい増えている状態で、しかたないと思う。食材の生産者があっての僕たちなので、生産者への補償もしっかりしてほしい」と話していました。

この店では新型コロナウイルスの影響で一時、6割から7割ほど利用客が減り、このところ、徐々に客足が戻ってきていたということです。
鹿嶋さんは「新たな対策が出るたびに『これで最後になるといいな』と思っていました。いまはワクチン接種や飲み薬の開発が進んでいて、先が全く見えないわけではないので、不安は以前より薄まっています」と話しています。

また、時短要請については「店にとってお客様の安全・安心がいちばんです。テーブルに仕切りを置くことなどが当たり前になっていて、そうした配慮をしながらも、飲食店のだいご味である『コミュニケーション』をしっかりとっていきたい」と、感染対策を十分とりながら営業を続けていきたいと話していました。

病院では一般病棟の一部を縮小

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、東京都内の大学病院では今後、医療体制への負荷が増えた場合に備えて、一般病棟の一部を縮小し、看護師などを新型コロナ病棟の応援に回す対応を始めました。

東京 板橋区の日本大学医学部附属板橋病院は、新型コロナの対応のため主に中等症や重症向けに60床を確保しています。

病院によりますと、先月まで患者はほとんどいませんでしたが今月に入ってから入院の受け入れが急増し、18日朝の時点で重症化リスクの高い人など30人が入院しているということです。

病院では、今後も患者が増えるとみられるほか、医療スタッフが相次いで感染し勤務できなくなる場合などに備えて、18日から泌尿器科と整形外科の病棟の一部を縮小し、勤務する看護師およそ20人が新型コロナ病棟の応援に入ることになりました。
18日は、応援の看護師の研修が行われ、看護部長が「治療を止めずに今回の第6波も乗り越えていきたい。自分の身を感染から守りながら対応にあたってほしい」と声をかけていました。

研修では、看護師たちが感染者の搬送に使う専用の車いすの使い方や病棟に搬送する際の手順などを確認していました。
応援に入る看護師の1人の深澤嘉帆子さんは、「第5波でも応援に入ったので、今回も協力したいと思い参加しました。感染対策をしっかりして患者さんの看護にあたりたいです」と話していました。

尾身会長「早期にオミクロン株にふさわしい対策を」

18日午前、岸田総理大臣と会談した政府の分科会の尾身茂会長は、会談のあと報道陣の取材に応じ、「オミクロン株の感染が拡大している地域では、早期にオミクロン株にふさわしい対策をとることが重要だと総理に申し上げ、それを中心にいろいろと議論をした。こうしたことについては、総理も十分に同じような理解をされていると思う」と述べました。

また、適用地域の拡大が検討されている「まん延防止等重点措置」については「きょうは具体的な期間や地域の話はなかったが、総理には諸外国の例をみると、感染力が強いオミクロン株が広がる中でも合理的な対策をとった国では比較的感染が抑えられていて、日本としても参考にできるということを申し上げた。オミクロン株であってもウイルスが広がる場面は、これまでと同じようにマスクをしていなかったり、換気が悪かったりするところが多い。基本的な感染対策に立ち戻ったうえで、同じ場所に集まる人数を少なく抑えるということもこの時期、非常に重要だと思う」と述べました。