東京 埼玉 千葉 神奈川 「まん延防止」の適用を要請

新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて首都圏の1都3県は国に対してまん延防止等重点措置の適用を共同で要請しました。

新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の首都圏の1都3県の知事はテレビ会議を開きました。

この中で東京都の小池知事は「かつてない猛烈なスピードでの感染拡大だ。『感染を止める、だが社会は止めない』。両方を実現する必要がある」と指摘しました。

そのうえで「一つの経済圏や生活圏を構成する1都3県だ。タイミングを逸することなく危機感の共有を図り、地域の実情に応じた対策を一体となって進めることが重要だ」と強調しました。

会議では1都3県が国に対して、まん延防止等重点措置の適用を共同で要請することを決め、要請しました。具体的な措置内容は今後詰めの調整を行うことにしています。

感染の急拡大を受けて東京都内では病床の使用率が上昇していて16日現在で19.3%になり、都によりますと、まん延防止等重点措置の適用について国への要請を検討するとしている20%を17日にも超える見通しだということです。

埼玉県 大野知事「措置の適用が強く必要」

埼玉県の大野知事は1都3県の知事によるテレビ会議の中で「埼玉県はこの1週間の新規陽性者の平均は903.7人と先週の4.2倍となっていて、異次元のスピードで感染が拡大している」と現状を述べました。

そのうえで「県としては危機感を持って取り組んでいる。1都3県で連携を密にして対策に取り組み、まん延防止等重点措置の適用が強く必要だと考える」と述べました。

また大野知事は会議後の記者団の取材に対し、まん延防止等重点措置を適用する範囲について「これから国との協議になるが、感染状況を考えると県の全域を対象にこの週末からは適用できる方向で調整したい」と述べました。

千葉県 熊谷知事「新規感染者が6000人に上る予測で未知の領域」

千葉県の熊谷知事は1都3県の知事によるテレビ会議の中で「仮にこのペースで感染拡大が続くと1週間後には1日当たりの新規感染者が6000人に上る予測で千葉県としては未知の領域となる。いかに社会的影響を意識して対策を立てていくかが重要になり、今後感染の主体が高齢者に移った時の状況が不透明であることからも、まん延防止等重点措置を国に要請する必要がある」と述べました。

そして「政府には高齢者のオミクロン株の感染に関する知見を早急にまとめてほしい。今までのコロナとの向き合い方を変える必要があるのか、社会経済活動と感染拡大防止をどのようにバランスをとっていくのか、柔軟にスピード感を持って見直していくことを求めていきたい」と訴えました。

熊谷知事は会議のあと記者団に対し、まん延防止等重点措置を適用する範囲について「基準となる感染者の数はすべての地域で超えていて千葉県全域を考えている。より感染者の多い地域だけにするという議論もあったが、この感染拡大の中でさみだれ式に区域を追加することは混乱を招きかねない」と述べました

神奈川県 黒岩知事「1都3県 同じ思いなら納得感持ってもらえる」

テレビ会議の中で神奈川県の黒岩知事は「1都3県が同じ思いでやっていくことで県民に納得感を持って受け止めてもらえる」と述べ、1都3県が共同で、まん延防止等重点措置の適用を要請することが重要だという考えを示しました。

適用された場合の具体的な措置内容は、国の方針を受けて決めるとしています。

黒岩知事は会議のあと「まだ病床はひっ迫していないとはいえ徹底用心だけで乗り越えていける状況ではない。具体的な措置の内容はこれから決めることになるが、1都3県で情報を共有しながら進めているので大枠では似たものになるのではないか」と話していました。

政府 “重点措置 適用する方向”

政府は首都圏の1都3県などを対象に重点措置を適用する方向で検討に入りました。

また政府は感染が急拡大しているほかの自治体についても、要請があれば感染者数や医療提供体制などを見極めたうえで重点措置の適用を検討することにしています。

政府は18日、関係閣僚で対応を協議し、方針が固まれば19日にも専門家に諮ったうえで正式に決定する方針です。

1都3県の病床使用率は…

<東京都>
17日時点の東京都内の病床使用率は、21.1%で、16日から1.8ポイント上昇し、都がまん延防止等重点措置の適用について国への要請を検討する段階としていた20%を超えました。

<埼玉県>
埼玉県内の新型コロナウイルスの入院患者は16日時点518人となっています。「現在確保している病床に対する使用率」は30.2%で今月6日時点の6.5%から4倍以上に増えています。

<千葉県>
千葉県内の新型コロナウイルスの入院患者は16日時点で217人です。確保病床の使用率は12.4%となっています。

<神奈川県>
神奈川県内で新型コロナウイルスに感染して入院している人の数は16日の時点で280人となっています。県が確保している新型コロナの病床の数は2100床で病床使用率は13.33%です。

「まん延防止等重点措置」とは…

「まん延防止等重点措置」は、特定の地域から感染が広がるのを防ぐため、去年施行された新型コロナウイルス対策の改正特別措置法で新たに設けられました。
緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にしたもので総理大臣が措置を講じるべき都道府県と期間を公示します。
緊急事態宣言が都道府県単位で出されるのに対し重点措置では対象となった都道府県の知事が市区町村など特定の地域に対策を講じることになります。

重点措置のもとでは飲食店などに対して休業要請はできないものの、営業時間の短縮や酒類の提供停止を「要請」したり、応じない場合には「命令」したりすることができます。
正当な理由がなく「命令」に応じない事業者や立ち入り検査を拒否した事業者への罰則は、20万円以下の過料となっています。

神奈川 黒岩知事「極めて前向きに受け止めてもらえた」

要請のあと神奈川県の黒岩知事は取材に応じ「極めて前向きに受け止めてもらえた」と述べました。

山際担当大臣からは、緊急事態宣言が必要な事態にならないよう対策に全力をあげてほしいなどの要請があったということです。

黒岩知事は「病床はひっ迫していない中で、規制をかけることになる。大臣に対しては、このまま感染者が増え続ければ、社会全体の機能が止まる危険性があることを国民や県民に理解してもらえるよう一緒に取り組んでほしいと要望した」と話していました。