大手ビール4社 12月も業務用は販売増加 2か月連続

大手ビールメーカー4社の先月の飲食店向けの業務用ビールの販売は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、年末の外食需要にも回復の動きが見られたことから各社とも2か月連続で増加しました。

大手ビールメーカー4社によりますと、飲食店向けの業務用ビールの先月の販売数量や売り上げは、おととしの同じ月をおよそ30%から50%上回りました。

新型コロナの感染状況が落ち着き、酒類の提供が認められる中、年末の外食需要に回復の動きが見られたためで、各社とも2か月連続でプラスとなりました。

一方、去年1年間のビール、発泡酒、それに第3のビールの家庭用、業務用を合わせた「ビール系飲料」全体の販売数量や売り上げは、
▽キリンとアサヒ、それにサッポロがマイナス4%、
▽サントリーがマイナス8%と、4社すべてでマイナスとなりました。

家庭用向けの需要が多い第3のビールが、酒税法の改正でおととし税率が引き上げられた影響で、前の年に比べて需要が落ち込んだのに加えて緊急事態宣言などで酒類の提供停止が長く続いたことから、業務用も全体として振るわなかったためです。

アサヒビールの塩澤賢一社長は、今後の見通しについて「感染の再拡大により、飲食店で酒類の提供ができなくなれば販売も大きく左右されるので、先行きは見通せない。コロナ前の2019年の水準にはなかなか戻らないのではないか」と話していました。

コロナ感染再拡大で各社の戦略は

新型コロナウイルスの感染の再拡大で、先行きに不透明さが増す中、ビール大手各社では、業務用に健康志向を売りにしたビールを投入するなどして、新たな需要を取り込もうという動きが活発になっています。

このうち、サントリービールは、去年発売した「糖質ゼロ」のビールを、ことし3月から業務用にも展開します。

新型コロナの感染状況が落ち着いていた去年の年末にかけて外食需要に回復の動きが見られたことから、サントリーでは業務用でも健康への意識が高い消費者の需要に応えたいとしています。

一方、家庭用では、
▽アサヒビールが主力ブランドのパッケージや味わいを30年余り前の発売開始以来初めて、大幅にリニューアルするとしています。

また、
▽キリンビールは自宅向けに生ビールを宅配するサービスで提供するクラフトビールの種類を増やすなどして、さらなる需要の取り込みを図ることにしています。

消費者のビール離れに加えて、感染の再拡大で、一層の市場の縮小が懸念される中で、各社では、多様なニーズに対応し、事業の収益性を高めたいとしています。