地震発生の切迫度 最も高い「Sランク」の活断層帯 全国に31

27年前の阪神・淡路大震災を教訓に、国は、内陸で地震を引き起こしてきた活断層の調査を進め、地震の発生確率などのリスクを評価しています。
地震が起きる切迫度が、阪神・淡路大震災の直前と同じか、それを上回る活断層帯は、全国に31あり、専門家は最近の地震活動も踏まえて、住宅の耐震化や家具の固定などの対策を着実に進める必要があるとしています。

阪神・淡路大震災きっかけにリスク評価

27年前の阪神・淡路大震災をもらたしたのは兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.3の大地震で、大阪府北西部から兵庫県の淡路島にかけて位置する活断層帯の一部がずれ動きました。

この地震を受けて国は地震調査研究推進本部を設置し、全国の活断層帯のうち、
▽長さがおおむね20キロを超え、
▽地震が起きると社会的に大きな影響が出る、
活断層帯を重点的に調べ、今後30年以内に地震が発生する確率などリスクを評価し、公表しています。

切迫度 最も高い「Sランク」含む活断層帯は全国に31

活断層帯が引き起こす地震は発生間隔が数千年と長いため、確率は大きな値にはなりません。

地震発生の切迫度は4つのランクに分けられ、確率が3%以上は最も高い「Sランク」とされています。

阪神・淡路大震災が起きる直前の発生確率は0.02%から8%で、現在の「Sランク」にあてはまります。

全国114の主要な活断層帯のうち、ことし1月1日の時点で「Sランク」が含まれるのは31で、
▽「糸魚川ー静岡構造線断層帯」
▽「中央構造線断層帯」
▽「日奈久断層帯」の、
それぞれ一部区間など、合わせて8つの活断層帯では確率が8%を超え、阪神・淡路大震災の発生前より切迫度が高くなっています。

次いで切迫度が高い「Aランク」の区間を含む活断層帯は、全国に35あります。
2016年に熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」は、地震直前の評価で「Aランク」でした。

“未知の”活断層でも大地震も

一方、2004年の新潟県中越地震や2008年の岩手・宮城内陸地震など、これまで知られていなかった活断層がずれ動いて地震が起きるケースも相次いでいます。

去年も主要活断層帯の確認されていない石川県の能登半島で地震活動が活発になっているほか、京都大学防災研究所の西村卓也准教授がGPSのデータから分析したところ、九州南部のうち、主要活断層帯のないエリアでも地震発生確率が高いということです。
国の地震活動評価にも携わる西村准教授は「活断層が近くにあれば地震のリスクが高いことは間違いなく、まずは確認してほしい。そのうえで活断層が見つかっていなくても地震が起きる可能性があることにも注意が必要だ。耐震補強を進めるほか、家具の転倒防止など身近なできる事から備えを進めていくことが重要だ」と話しています。

8つの活断層帯 阪神・淡路大震災の発生前より切迫度高く

ことし1月1日の時点で、全国に31ある「Sランク」の活断層帯のうち、阪神・淡路大震災が発生する直前の確率、8%を超え、特に切迫度が高いとされているのは、次の8つの活断層帯です。

切迫度が高い順に、
▽「糸魚川ー静岡構造線断層帯」のうち長野県の区間、
▽静岡県にある「富士川河口断層帯」、
▽熊本県の「日奈久断層帯」の一部、
▽長野県の「境峠・神谷断層帯」、
▽「中央構造線断層帯」のうち愛媛県の区間、
▽岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」、
▽神奈川県にある「三浦半島断層群」、
▽広島県と山口県の沖合の「安芸灘断層帯」となっています。

このほかの地域でも決して地震が起きないわけではありません。突然、大きな揺れが襲ってくることもあります。日ごろからの備えを進めることが大切です。

主要活断層帯の長期評価は地震調査研究推進本部のホームページからも確認できます。

内陸地震のリスク明らかにする研究は

内陸地震の調査は一般に、航空写真や掘削調査などを通じて活断層の位置や、地震の履歴などを調べ、将来起こりうる地震の規模や発生間隔を推定し、計算しています。

一方で、過去の記録だけからすべてのリスクを明らかにするのは限界があり、2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震など、それまでは知られていなかった断層がずれ動く地震も相次いでいます。

こうした中、別の手法で内陸地震のリスクを明らかにしようという研究も進んでいます。

地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也准教授は、大地の動きを捉えるGPSのデータから、地震を引き起こす「ひずみ」がどの程度蓄積しているのか分析し発生確率を算出しています。

西日本を対象に分析を進めたところ、30年以内にマグニチュード6.8以上の大地震が起こる確率は、鹿児島県と宮崎県などの九州南部で31%~42%となりました。

地震調査研究推進本部が同じ領域で活断層の調査に基づいて算出した発生確率は7%~18%で、2倍以上高くなる結果となりました。

去年マグニチュード5.1の地震が発生した能登半島でも、地面が隆起する地殻変動が確認されていて、現在も継続しているということです。

西村准教授は、活断層が見つかっていない場所でもひずみの蓄積が進んでいる可能性があるとみて、対象を今後、全国に広げ、分析を続けることにしています。

西村准教授は「地震の発生確率を長期的に予測する手法はまだ発展途上で、さまざまな手法がある。GPSのデータも組み合わせて総合的に長期予測の精度向上に貢献できるように研究を進めていきたい」と話しています。