受験生ら切りつけ のこぎりやナイフも所持 無差別の襲撃準備か

15日、東京大学の門の前で受験生など3人が切りつけられてけがをした事件で殺人未遂の疑いで逮捕された高校2年生の男子生徒は、現場で見つかった包丁のほかにのこぎりやナイフなどを持っていたことが分かりました。警視庁は、無差別に襲撃する目的で準備していた疑いがあるとして、16日午後から自宅を捜索し詳しいいきさつを調べています。

15日午前8時半ごろ、大学入学共通テストの会場となっていた東京・文京区の東京大学の門の前で、高校3年生の男女2人と72歳の男性が包丁で次々に切りつけられこのうち72歳の男性が重傷になっています。

名古屋市に住む17歳の高校2年生の男子生徒が殺人未遂の疑いで逮捕されましたが、現場で見つかった包丁以外にのこぎりやナイフも持っていたことが捜査関係者への取材で分かりました。

これまでに、ペットボトルや瓶に入れた可燃性の液体およそ3リットルや着火剤も見つかっていて、男子生徒は「駅で火をつけた」などと話していたということです。

警視庁は東京大学の周辺で無差別に襲撃する目的で事前に準備していた疑いがあるとして、16日午後から自宅を捜索し詳しいいきさつを調べています。

捜査関係者によりますと調べに対して当初「医者になるために東大を目指してきたが成績が上がらず悩んでいた。事件を起こして死のうと思った」などと供述し現在は黙秘しているということです。

生徒の足取りと逮捕時の様子

逮捕された男子生徒は、事件の前日にあたる14日の朝、名古屋市の自宅を出ましたが、家族に無断で学校を欠席していました。

学校に行っていると思い込んでいた家族は、夜になっても帰宅しなかったことから午後10時すぎ、愛知県警に行方不明届を提出しました。

警視庁のこれまでの調べで、男子生徒は14日の午後11時ごろ、名古屋市から東京行きの高速バスに乗り、事件当日の15日午前6時ごろに東京駅に着いたとみられています。

そして近くの大手町駅から東京メトロ丸ノ内線に乗り、後楽園駅で南北線に乗り換えて東大前駅に向かったとみられるということです。

東大前駅の構内では、午前8時半前、男子生徒とみられる人物が着火剤に火をつけて投げ捨てる様子が防犯カメラに写っていました。

そして午前8時半ごろ、生徒は東京大学の門に最も近い1番出口から外に出た後、門の近くの歩道にいた72歳の男性と高校生の男女2人に小走りで近づき、学生服の胸ポケットに隠し持っていた包丁で次々に切りつけたとみられています。

生徒はその後、包丁をみずからに突きつけるそぶりを見せましたが、近くで警備にあたっていた東京大学の職員が「落ち着け」と声をかけると、手に持っていた包丁と黒いバッグを路上に捨て、その場に座り込んだということです。

また、胸ポケットには包丁のほか、折りたたみ式ののこぎりとナイフも入っていて、生徒に「取り出してくれ」と声をかけられた職員が大学の警備室に持って行ったということです。

生徒は、警察官が駆けつけた時には門の横の壁にもたれかかるように座っていて、殺人未遂の疑いでその場で逮捕されました。

逮捕された生徒の父親が代理人の弁護士通じコメント

逮捕された17歳の高校2年生の男子生徒の父親が代理人の弁護士を通じてコメントを出しました。

父親は「このたびは、世間をお騒がせしまして誠に申し訳ありません。被害にあわれましたご本人様には、心より申し訳なくおわび申し上げます。1日も早いご回復をお祈り申し上げますと共に、ご家族、ご関係者の方々にも併せておわび申し上げます。現在、警察による捜査段階で、私どもがこの件に関して行動することを控えるよう言われておりますので、被害者様へのおわびにもお伺いできず、心苦しいかぎりです。このたびは誠に申し訳ありませんでした」とコメントしています。

逮捕された生徒が通う学校も文書でコメント発表

また、逮捕された名古屋市の17歳の男子生徒が通う高校が16日、文書でコメントを出しました。

コメントは以下のとおりです。

「本校在籍生徒が事件に関わり、受験生のみなさん、保護者、学校関係者のみなさんにご心配をおかけしたことについて、学校としておわびします。本校は、もとより勉学だけが高校生活のすべてではないというメッセージを授業の場のみならず、さまざまな自主活動を通じて、発信してきました。また、本校の長い歴史のなかで、そのような校風を培ってきました。ところが、昨今のコロナ禍のなかで、学校行事の大部分が中止となったこともあり、学校からメッセージが届かず、正反対の受け止めをしている生徒がいることがわかりました。これは私たち教職員にとっても反省すべき点です。『密』をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な言動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます。今後の私たちの課題は、そのような生徒にどのように手を差し伸べていくかということであり、それが根本的な再発防止策であると考えます」