トラックのタイヤ歩行者直撃の事故 ナットが外れた状態に

群馬県渋川市の国道で建材会社の大型トラックのタイヤが外れ、歩道を歩いていた男性に直撃した事故で、事故のあと、タイヤのナットが外れた状態だったことが、事故後に車を確認した建材会社への取材で分かりました。警察はタイヤが外れた原因や整備状況などについて調べています。

12日、群馬県渋川市の国道17号線で、建材会社の社員が運転する大型トラックからタイヤ2本が外れて、このうち1本がおよそ500メートル先まで転がり、歩道を歩いていた45歳の男性に直撃しました。

男性は骨折や内臓に損傷を負うなどして、家族によりますと病院の集中治療室で手当てを受けているということです。

建材会社によりますと、外れたタイヤの重さは100キロほどあり、事故のあと確認したところ、タイヤのナットは外れた状態だったということです。

建材会社の幹部はタイヤは1か月ほど前に外部の業者が取り付けたもので、当日の朝の点検で異常は確認されていなかったと説明しています。

警察によりますと、タイヤは反対車線を越え、外れた地点からおよそ500メートル先の歩道を歩いていた男性に直撃したということで、警察はタイヤが外れた原因や車の整備状況について調べています。

被害男性の父親「運転のプロの車 しっかり点検を」

タイヤが直撃し治療を受けている男性の父親は「病院で話を聞くと『即死でも不思議ではない状況です』と言われました。今は集中治療室にいて、きのう、きょうは会えていないが、看護師によると回復は順調だと聞いている」と話しました。

そのうえで、タイヤが外れたことについては「起きうることだと思っているが、今回の事故は一般のドライバーではなく運転のプロの車で起きていて、乗用車のタイヤとは大きさも違う。こういう事故が起きたことを受けて、しっかり点検をしてほしい」と話していました。

全日本トラック協会「『増し締め』を確実に」

全日本トラック協会は「タイヤの交換から2か月以内に脱輪するケースが事故全体の8割近いので、取り替え後に特に注意してほしい。取り替える際にボルトやナットの状態を確認して、確実に締めつけることはもちろん、50キロほど走ってから再度締めつける『増し締め』を確実に行ってもらいたいが、何よりも運行前に取り付け状態を確かめる日常点検を徹底することが極めて重要だ」と話しています。

「初期なじみ」見落としのおそれも

自動車メーカーで作る日本自動車工業会によりますと、大型車両のタイヤ交換直後は、走行距離に伴ってナットやボルトの金属どうしがなじんで緩まる「初期なじみ」が起きるため、50キロから100キロ走ったタイミングを目安に、緩みを締め直す「増し締め」を行うことが推奨されています。

8本や10本のボルトとナットで締められている形式が多い大型車のタイヤは、1本が「初期なじみ」を起こして放置されると、そのほかに負荷がかかって緩みを生じさせ、結果的に外れる事故につながるということです。

タイヤの取り付け状態を毎日運行前に点検することは法律上の義務になっていて、緩みはハンマーでナットをたたく音や手の感触で判断することが基本になっていますが、音の違いは気付きにくく、経験が浅い運転手の場合は見落としてしまうおそれがあるということです。

このため、国土交通省は去年4月、ナットに装着し、形の変化でナットの緩みが認識できる「ナットマーカー」を点検の手法の一つとして手引きに加えました。

国土交通省は日々の点検で緩みの早期把握を徹底するよう呼びかけています。

整備工場「運行前点検を毎日しっかりすることが大事」

今回のような事故を防ぐためどのようなチェックが必要なのか群馬県伊勢崎市にあるトラックの整備工場に取材しました。

この整備工場の工場長によりますと、大型トラックのタイヤは重さ80キロから100キロほどあるということです。

今回の事故では左側の後ろのタイヤが外れましたが、国土交通省によりますと、昨年度の事故でも、左後輪が外れるケースが全体の95%を占めています。

この要因について、工場長は「右折では大きく回るが、左折では小回りになるので内側のタイヤに負荷がかかり負担がかかって取れやすいと思う」と分析しました。

そのうえで運送業者などには運行前に目で見たうえでハンマーを使って点検することが義務づけられているとして、「義務である運行前の点検を毎日、しっかりすることが大事だ」と話しています。