北朝鮮 弾道ミサイル少なくとも1発 日本のEEZ外落下か 防衛相

岸防衛大臣は防衛省で記者団に対し、14日午後、北朝鮮が発射した飛しょう体は、弾道ミサイル少なくとも1発で、通常の軌道であれば、400キロ程度飛しょうし、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されることを明らかにしました。

この中で岸防衛大臣は、北朝鮮が午後2時50分ごろ北朝鮮の北西部から弾道ミサイルを少なくとも1発、東方向に発射したと説明しました。

現時点で、日本の航空機や船舶への被害は確認されていないということです。

そのうえで岸大臣は「詳細については現在分析中だが、最高高度がおよそ50キロで、通常の弾道軌道だとすれば400キロ程度飛しょうし、落下したのは北朝鮮の東岸付近で、わが国のEEZ=排他的経済水域の外と推定される」と述べました。

また岸大臣は、北朝鮮が令和元年5月以降これまでに40発を超える頻繁な発射を繰り返しており、その目的がミサイル技術の向上にあることは明らかだとしたうえで「昨今の北朝鮮による弾道ミサイルなどのたび重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。国連安保理決議に違反するもので強く非難する」と述べました。

発射を受けて岸大臣は、岸田総理大臣からの指示を踏まえアメリカなどと緊密に連携をしつつ、情報の収集や分析に全力を挙げることや不測の事態の発生に備えて引き続き警戒監視に万全を期すよう防衛省・自衛隊に指示しました。

また岸大臣は「アメリカや韓国をはじめ、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命や平和な暮らしを断固守り抜く決意だ」と述べたうえで、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく考えを改めて強調しました。

今回の発射を受けて、政府は、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議しました。

韓国軍「短距離弾道ミサイルと推定2発発射」

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が14日午後2時41分ごろと52分ごろ、北西部ピョンアン(平安)北道のウィジュ(義州)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛しょう体、2発を発射したと発表しました。

飛行距離はおよそ430キロ、高度はおよそ36キロで、アメリカ軍とともに詳しい分析を進めているとしています。

ピョンアン北道では、おととし3月、戦術誘導兵器の発射実験だとして、短距離弾道ミサイル2発が発射されています。

北朝鮮は今月の5日と11日に極超音速ミサイルだとする弾道ミサイルを1発ずつ発射していて、今回は、ことしに入って3回目の発射となります。

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐっては、アメリカ政府が12日、追加の経済制裁を科したと発表したのに対し、北朝鮮外務省が14日朝、アメリカへの対抗措置も辞さないと反発する談話を出しており、今回の発射にはバイデン政権を強くけん制するねらいがあるとみられます。

発射を受けて韓国政府は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開いて対応を協議し「北の相次ぐミサイル発射に改めて強い遺憾の意を表明する」としたうえで、北朝鮮に対し、速やかに対話に応じるよう求めながら、関係国と緊密に協議していく姿勢を強調しました。

岸田首相 “万全の態勢”とること指示

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、岸田総理大臣は、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

松野官房長官「被害報告などの情報確認されず」

松野官房長官は、午後の記者会見で「現時点で関係機関からの被害報告などの情報は確認されていない。政府では、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室で、各省庁間で情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行った。詳細は分析中であり、共有すべき情報があれば発表する」と述べました。

その上で「これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域の平和と安全を脅かすものであり国際社会全体にとっての深刻な課題だ。国民の生命と財産を守り抜くため、引き続き情報の収集・分析と警戒監視に全力を挙げたい」と述べました。

林外相「北朝鮮に厳重抗議 強く非難」

林外務大臣は、14日午後6時すぎ、外務省で記者団に対し「このような弾道ミサイルの発射は、関連する国連の安保理決議に違反するもので強く非難する。政府として、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議を行い、強く非難した。外務省としては、米国および韓国と緊密な連携を確認してきており、引き続き情報の収集と分析に全力を挙げ、日本の平和と安定の確保に万全を期していく」と述べました。

外務省 日米韓3か国で緊密に連携を確認

北朝鮮の弾道ミサイルの発射を受け、外務省の船越アジア大洋州局長は、14日夜、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表と、およそ10分間電話で協議しました。

この中で両氏は、たび重なるミサイルの発射を含め最新の北朝鮮情勢をめぐって意見を交わし、拉致・核・ミサイルといった懸案の解決に向け、韓国も加えた日米韓3か国で、引き続き、緊密に連携していくことを確認しました。

中国「過剰な反応すべきでない」従来の主張繰り返す

中国外務省の汪文斌報道官は、14日の記者会見で「発射されたものについては、さらに検討し評価する必要があり、関係国は性急な判断や過剰な反応をすべきではない」と従来の主張を繰り返しました。

そのうえで汪報道官は「関係国は言動を慎み、朝鮮半島の平和と安定の維持のために協力し、対話と協議を通じて朝鮮半島問題の政治的解決のプロセスを推進することを期待したい」と述べ、北朝鮮やアメリカなどに対し、対話の再開を呼びかけました。

米軍 “違法な兵器開発が地域の不安定化に”

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「われわれは弾道ミサイルの発射を把握しており、同盟国などと緊密に協議している。今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国への差し迫った脅威ではないと見ている」としたうえで、今回の発射は、北朝鮮の違法な兵器開発が地域の不安定化につながることを浮き彫りにしているとして、懸念を示しました。

そのうえで「日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎないものだ」と強調しました。

米国防省 北朝鮮を非難 対話呼びかける

今回の発射についてアメリカ国務省の報道担当者は14日、声明を出し「国連安全保障理事会の複数の決議に違反し、近隣の国々や国際社会に脅威をもたらしている」と非難したうえで、北朝鮮に対し対話に応じるよう改めて求めました。

また、国防総省のカービー報道官は14日の記者会見で、「われわれは北朝鮮と話し合う用意があるが、北朝鮮側が関心を示す兆しはない」と述べるとともに、「今後の最善策について同盟国などと協議を続けていく」として、関係国と足並みをそろえて対応していく考えを強調しました。

今月11日以来 ことしに入って3回目

北朝鮮が弾道ミサイルや、その可能性があるものを発射したのが確認されるのは今月11日以来で、ことしに入って3回目です。

防衛省によりますと、前回は内陸部から東方向に弾道ミサイル1発を発射しました。

最高高度は通常より低いおよそ50キロで、最大速度はおよそマッハ10に達し、左の方向に旋回するなど変則的な軌道で飛んだあと、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したと推定されています。

北朝鮮 核・ミサイル開発 推し進める姿勢

北朝鮮のキム・ジョンウン総書記は去年1月、朝鮮労働党の党大会での演説で「国防科学技術をより高い水準に引き上げ、最強の軍事力を確保しなければならない」と述べ、新型兵器の開発を盛り込んだ国防5か年計画を打ち出しました。

北朝鮮は3月に新型の弾道ミサイルを発射したのに続いて、9月から10月にかけて、立て続けにミサイルを発射しました。

このうち9月には新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したとして、「だ円や8の字の軌道に沿って2時間6分20秒飛行し、1500キロ先の目標に命中した」と主張しました。

この発表の2日後には、西部のピョンアン(平安)南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射し、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられています。

国営メディアは、山岳地帯で列車からミサイルを発射する映像を公開し、新たに組織された「鉄道機動ミサイル連隊」が射撃訓練を行ったと伝えました。

そして、およそ2週間後には北部のチャガン(慈江)道から弾道ミサイル1発を発射し、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8型」の発射実験を初めて行ったと主張しました。

さらに10月には、東部のハムギョン(咸鏡)南道シンポ(新浦)から新型のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイル1発を発射しました。

北朝鮮がSLBMを発射したのは、およそ2年ぶりで、国営メディアは「水中での作戦能力の向上に寄与するだろう」と強調しました。

ことしに入っても、キム総書記は国政運営の方針を示した演説で「朝鮮半島の軍事的環境は日増しに不安定になっている」と主張し、弾道ミサイルを相次いで発射します。

今月5日には、北部のチャガン道から日本海に向けて弾道ミサイル1発が発射され、北朝鮮は6日に、極超音速ミサイルの発射実験を行い「700キロ先の目標に誤差なく命中した」と強調しました。

この発射の6日後の11日に、再び北部のチャガン道から弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射しました。

北朝鮮は12日に、極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表し「ミサイルから分離された弾頭が1000キロ先の水域に設定された目標に命中した」として発射実験に成功したと主張しました。

また、およそ1年10か月ぶりにキム総書記がミサイルの発射実験に立ち会ったと伝えられ、キム総書記は「国の戦略的な軍事力を質、量ともに持続的に強化し、戦争抑止力を一層強化するための成果を勝ち取らなければならない」と述べ、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を改めて強調しました。

北朝鮮は、極超音速ミサイルの開発について、国防5か年計画の最優先事業の1つと位置づけ、技術的な特性を確認するための最終的な発射実験だったとしました。

これについて韓国軍は、最高速度がマッハ10前後だったなどと分析し、今月5日に発射した弾道ミサイルよりも技術的に「進展している」と明らかにしていました。