基礎的財政収支“高めの経済成長で2026年度黒字化”内閣府試算

内閣府は、財政の健全化を示す「基礎的財政収支」について、高めの経済成長を前提にした場合、これまでの想定より1年早い2026年度には収支が黒字化するという、最新の試算を示しました。さらに、歳出改革を続ければ、政府が目標とする2025年度の黒字化も可能だとしています。

内閣府は、14日の経済財政諮問会議に、政策に充てる経費を国債などに頼らず税収などでどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」という指標の最新の試算を示しました。

それによりますと、今年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支は、歳出が30兆円を超える規模の補正予算を編成したことから、42兆7000億円の赤字になるとしています。

また、今後の見通しについては、物価の変動を除いた実質で年間2%程度の高めの経済成長を前提とした場合、政府が黒字化を目指している2025年度は1兆7000億円の赤字になるものの、2026年度は2000億円の黒字になると見込んでいます。

去年7月の試算では黒字化の時期を2027年度としていましたが、今回は、新年度、令和4年度の税収が過去最高になる見込みを反映し、1年前倒しされました。

さらに内閣府は、歳出改革を続ければ、目標とする2025年度には2兆2000億円の黒字にすることも可能だとしています。

一方、経済成長が実質で年間1%程度の想定では、2025年度は4兆7000億円の赤字で、試算の最終年度である2031年度でも4兆6000億円の赤字が残るとしていて、財政健全化の目標達成に向けては、歳出改革に加えて、経済を着実に成長軌道に乗せていくことが不可欠となります。

岸田首相 2025年度黒字化の政府目標維持を強調

岸田総理大臣は「試算では『新しい資本主義』の具体化などで力強い成長が実現し『骨太の方針』に基づく取り組みを継続した場合、国と地方を合わせた基礎的財政収支は2025年度に黒字化する姿が示される結果となった」と述べ、基礎的財政収支を2025年度に黒字化する政府の目標を維持する姿勢を強調しました。

一方で、新型コロナの感染拡大の影響を踏まえ、引き続き内外の経済情勢などを注視しながら、状況に応じて必要な検証を行っていくと説明しました。

そして「『経済あっての財政』であり、順番を間違えてはならない。新型コロナ対策や経済対策を行うことと、中長期的な財政健全化に取り組むことは決して矛盾しない。新型コロナの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直し、財政健全化に向けて取り組んでいく」と述べました。

鈴木財務相「経済成長とともに歳出改革しっかりと」

経済財政諮問会議で国と地方を合わせた基礎的財政収支について歳出改革を続ければ、政府が目標とする2025年度の黒字化も可能だとする試算が示されたことについて、鈴木財務大臣は、閣議のあとの記者会見で「財務省としても、黒字化に向けてしっかりやっていかないとならない。当然、経済成長とともに社会保障費をはじめとした歳出改革をしっかり併せてやらないと実現できない。財政健全化の旗を高く掲げてそれに向けて努力していきたい」と述べました。

山際経済再生相「2025年度の目標に向け努力」

山際経済再生担当大臣は、14日の会見で「現時点では、財政健全化の目標年度の変更が求められる状況にはないということが確認された。2025年度の目標に向けて努力をしていきたい」と述べました。

そのうえで、山際大臣は「内外の経済情勢などを常に注視しつつ、状況に応じ必要な検証を行うとしている。変異ウイルスのオミクロン株をはじめ、さまざまなことが起きれば、そのつど、しっかり見ていきたい」と述べ、財政健全化の目標については、今後も状況により検証を行う考えを示しました。