東京都 病床使用率20%で“重点措置” 50%で“宣言”要請検討

新型コロナウイルスの感染の急速な拡大で入院患者が増える中、東京都は、都内の病床使用率が20%になった段階でまん延防止等重点措置の適用について、50%になった段階で緊急事態宣言の発出について、それぞれ国への要請を検討することになりました。

都内では、新型コロナウイルスの感染の急速な拡大が続き、入院患者が増えていて、病床使用率は12日の段階で13.7%となっています。

こうした中、東京都は、都内の病床使用率が、
▽20%になった段階でまん延防止等重点措置の適用について、
▽50%になった段階で緊急事態宣言の発出について、
それぞれ国への要請を検討することになりました。

小池知事は、記者団に対し「オミクロン株の感染力を考慮すると、急速に病床など医療資源のひっ迫を招く可能性がある」と述べました。

また、埼玉県、千葉県、神奈川県とも連携しながら、効果的な対策を検討していると明らかにしました。

さらに、小池知事は、国に対し、ワクチンや飲み薬の確実な供給のほか、新型コロナの感染症法上の扱いを、現在の「二類相当」から、季節性のインフルエンザと同じ「五類」に引き下げることも含め、科学的な知見を集めるよう求めていく考えを示しました。

小池知事は「感染は止めるが、社会は止めない。対応策もスピード感を持ってやっていかなければならない。宿泊療養など、できるだけ隔離する場所を確保していくことが、意味が大きいと思っている」と述べ、宿泊療養施設の確保などに万全を期す考えを強調しました。

都内 オミクロン株感染疑い 検査対象の83.9%に

都のモニタリング会議での報告によりますと、都内で一部の感染者を対象に今月10日までの1週間に行ったスクリーニング検査で、判定不能だった人を除いて83.9%にあたる1629人がオミクロン株に感染している疑いがあることが分かったということです。

この検査で、最初にオミクロン株の疑いがあると確認されたのは先月20日までの1週間で、疑いの割合は5.1%でした。

その翌週の先月27日までの1週間は疑いの割合が9.1%に、そして、次の週の今月3日までの1週間には49.1%にまで増加していました。

今回、4週目で34.8ポイント増加して80%を超えました。

また、デルタ株やアルファ株を念頭にこれまで行っていたスクリーニング検査と比べると、80%を超えるのにかかった期間は、オミクロン株の場合、デルタ株より9週間、アルファ株より14週間早くなっているということです。

都の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「これまでにないスピードでオミクロン株への置き換えが進んでいる」と分析したうえで「状況に注意しながら医療提供体制の確保などに先手先手で取り組んでいく必要がある」と述べました。

病床使用率20%「かなり早い時期に達する可能性」

モニタリング会議のあと東京都医師会の猪口正孝副会長は、都内の病床使用率が20%になった段階で都がまん延防止等重点措置を要請するとしたことについて「今の病床使用率の上昇の速度だと、20%にはすぐに達しそうだが、無症状で入院している人をスムーズに自宅療養に戻したり、経口薬などで治療できるようになったりするなど、いくつかのファクターで、先に延びるかもしれない。ただ、かなり早い時期に達する可能性はある」と話していました。

オミクロン株「『軽症だ』と簡単には片づかない」

モニタリング会議のあと国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、オミクロン株について「これだけ感染が広がってくると入院する人も目立つようになったし、実際に酸素投与が必要な人も出てきている。これまで言われているような『軽症だ』と簡単には片づかない病気なんだというのは現場で感じている。そこのところはしっかりと見ながら、後手後手にならないよう対応したい」と話していました。

東京都内の病床使用率 上昇続く

東京都は、新型コロナウイルスに感染した入院患者を受け入れるため、最大で6919床の病床を確保するとしています。

この6919床の使用率は、今月1日時点で3.3%だったのに対し、12日時点では13.7%となり、ことしに入って10ポイント余り上昇しています。

最大で確保できる病床の使用割合としている現在の病床使用率とは異なりますが、第5波では、去年8月31日の時点で、都が確保していた病床に対する入院患者の割合が72.1%、第3波では去年1月6日の時点で、この割合が88.3%まで上昇しました。