韓国大統領選挙 主な公認候補は?

ことし3月9日に韓国大統領選挙が行われます。
主な党の公認候補は下記の通りです。

●イ・ジェミョン氏(李在明)
革新系与党「共に民主党」・キョンギ道知事

●ユン・ソギョル氏(尹錫悦)
保守系最大野党「国民の力」・前検事総長

●アン・チョルス氏(安哲秀)
中道系野党「国民の党」

●シム・サンジョン氏(沈相ジョン)※ジョンは「女へんに丁」
革新系野党「正義党」

イ・ジェミョン氏

革新系与党「共に民主党」、イ・ジェミョン氏は、南東部アンドン出身の57歳。
生活が苦しい家庭だったため中学や高校には通えず、工場で働きながら、家計を支えました。合格すれば高校卒業と同程度の学力が認められる検定試験を受けて大学に入り、卒業後は人権派弁護士として活動しました。

その後政界入りを目指したイ氏は、2010年にソウル近郊のソンナム市長に当選し、2017年に行われた前回の大統領選挙に挑戦したものの、党内の選挙でムン・ジェイン大統領に敗れました。2018年からは、ソウル近郊のキョンギ道の知事を務め、新型コロナウイルスへの対応では、国よりも先に支援金の支給に踏み切りました。

SNSや動画投稿サイトを活用して積極的に情報を発信し、歯にきぬ着せぬ発言が注目されています。党の主流派とは距離があるとされますが、わかりやすいメッセージや大胆な行動力で広く人気を集めています。
大統領選挙に立候補するにあたって発表した政策では国民に一定額を無条件で支給し、最低限の所得を保障するベーシックインカムの導入を掲げ、任期中に国民1人あたり年間100万ウォン、日本円でおよそ9万4000円を支給し、このうち19歳から29歳については、さらに100万ウォンを追加支給すると主張しています。

一方、日本に対しては、これまで厳しい発言が目立ってきましたが、ことし8月に発表した外交政策では、「日本との関係改善に果敢に取り組む」と明らかにしました。そのうえで、「歴史問題には断固として対処するが、経済や社会、外交的な交流や協力は積極的に推進するツートラック戦略を堅持する」と強調しました。

また、北朝鮮に対しては、南北関係の改善を目指したムン政権の取り組みを踏まえたうえで、新たな変化を作り出すとしています。キム・ジョンウン総書記との会談にも意欲を見せていて、非核化をめぐっては北朝鮮の対応に応じて段階的に制裁を緩和するとし、約束を守らなかった場合には、制裁をもとに戻すと訴えています。

ユン・ソギョル氏

ユン・ソギョル前検事総長は、ソウル出身の61歳。

名門のソウル大学を卒業し、司法試験にたび重なる挑戦のすえ合格して検察官となりました。

保守系のパク・クネ前大統領やイ・ミョンバク元大統領をめぐる贈収賄事件などを徹底して捜査した手腕が、革新系のムン・ジェイン大統領から高く評価され、2019年、ソウル中央地方検察庁のトップから検事総長に抜てきされました。

するとユン氏は、ムン大統領の側近で法相に起用されたチョ・グク氏をめぐる疑惑を追及して辞任に追い込むなどした結果、政権との対立が深まりました。

そして、去年3月、検察に代わって政府高官らの不正を捜査する新たな機関が発足したことなどへの反発から、検事総長を辞任しました。その後、去年6月に政界入りする意向を明らかにしたのに続いて、翌月(7月)には政権交代を目指すとして最大野党「国民の力」に入党しました。
大統領選挙に立候補するにあたってユン氏は、ムン政権を厳しく批判した上で「古い政治を清算して国民が真の主人となる国をつくることが政治を志した理由だ。崩れた自由民主主義や法治を立て直し、公正さを取り戻す」と強調しました。

また、ムン政権に対する不満の1位に挙げられている不動産価格の高騰への対応を掲げ、任期中に250万戸以上の住宅を供給し、若者向けの低価格の住宅も準備すると訴えています。

さらに、外交や安全保障では、日本と韓国の関係について、首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開し、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題、軍事情報包括保護協定=GSOMIAの継続など、両国間の懸案を包括的に解決することを目指すとしています。

また、北朝鮮との関係については、非核化の進展に伴って経済協力事業を実施するとしているほか、軍事境界線にあるパンムンジョムに、韓国と北朝鮮、それにアメリカの連絡事務所を設置すると主張しています。

一方、ユン氏は、労働政策をめぐって「週に120時間働けるようにすべきだ」と述べるなど失言が相次ぎ、政治経験のなさも露呈していて、党内選挙では、ホン・ジュンピョ氏の追い上げを許す形になっていました。

イ氏とユン氏 対日政策では違いも浮き彫りに

与党「共に民主党」のイ・ジェミョン氏と、最大野党「国民の力」のユン・ソギョル氏は、いずれも、冷え込んだ日韓関係を改善する必要性に言及していますが、日本に対する姿勢の違いも浮き彫りとなっています。

イ氏は、日本との関係改善に積極的に取り組むとして、歴史や領土をめぐる問題と、社会的・経済的な交流を切り離して対応していくと主張していて、去年11月、外国メディア向けに行った記者会見では「互いにとって役立つ道を進むことを願っている」と述べました。

しかし、日本に対しては厳しい発言が目立っていて「日本は、韓国を数十年間支配した前歴があり、いまも軍事大国化を夢見ている。過去の歴史について日本が心から反省しているとは思えないので、私たちが心配するのは当然だ」と述べるなど、警戒感を隠していません。

また、日韓の間の懸案となっている、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題については「真摯(しんし)な謝罪をすれば、賠償の問題は現実的な方策を見いだせる」と強調し、日本側の対応を求めています。

一方、ユン氏は、現在の日韓関係について「ムン・ジェイン政権が国益を優先するのではなく、外交に国内政治を持ち込んだため、国交正常化以降、最悪の状態に陥った」と述べ、ムン政権の対日政策を批判しています。

去年11月、外国メディアを対象に行った記者会見では、日本について「価値と利益を共有して信頼を構築していく両国関係の新たな50年を描く」として、関係改善に意欲を見せました。

また、慰安婦問題や「徴用」をめぐる問題については「未来に向かって協力すれば、過去の問題は整理できると思う」と述べ、包括的な解決を目指す立場を示しました。さらに、日韓の首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開するとしているほか、北朝鮮に対応する上で日米韓3か国の連携が重要だと強調しています。

アン・チョルス氏

中道系野党「国民の党」のアン・チョルス代表はIT企業の代表や大学教授を務めたあと、政界入りし、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた際には、医師としてボランティアで現場での対応にもあたりました。

アン氏は過去の大統領選挙にも立候補した経験があり、前回2017年は得票率で3位でした。