全国知事会 “3回目接種 ワクチン供給量や時期 早期に提示を”

新型コロナの感染の急拡大を受け、全国知事会が会合を開き、3回目のワクチン接種を前倒しする政府の方針をめぐり、自治体が混乱しかねないとして、ワクチンの供給量や時期を早期に示すよう求める意見が相次ぎました。

新型コロナウイルスの感染が各地で急拡大していることを受け、全国知事会はオンラインで会合を開きました。

この中では、3回目のワクチン接種を前倒しする政府の方針をめぐり、意見が相次ぎました。

石川県の谷本知事は「3回目接種の促進は大いに賛同するが、自治体には3月末までのスケジュールしか示されておらず、4月以降の配分が見通せないと予約を受け付けられない」と訴えました。

また、徳島県の飯泉知事は「現場の自治体が大混乱しかねないので、対象や時期、供給量などについて行程を示してほしい」と求めました。

一方、大阪府の吉村知事が、濃厚接触者の待機期間について「14日間の待機期間は、科学的根拠に基づいて短縮してほしい」と述べるなど、期間を短くするよう求める意見も相次ぎました。

知事会は、議論を踏まえ、政府に対し、ワクチンの3回目接種の必要性を国民に分かりやすく情報発信することや、接種にあたる自治体に十分な情報提供や財政支援を行うこと、それに、さらなる感染拡大に備え、医療・保健体制の整備を支援することなどを求める緊急提言をまとめました。

東京 小池知事「驚異的なスピードで広がり」

小池知事は、オンラインで参加した全国知事会で「都内の新規感染者のうちオミクロン株の疑いが最新の分析では9割を超えており、感染対策がオミクロン株との闘いになったことは明確だ。新年に入ってわずか10日余りで新規感染者がおよそ28倍まで急拡大しており、まさに驚異的なスピードでオミクロン株が広がっている」と述べました。

そのうえで「医療提供体制のひっ迫だけではなく、社会活動の基盤を揺るがしかねない危険をはらんでいる。タイミングを逸することなく実効性ある対策を講じることが重要であることは全国共通の意識だ」と述べました。

神奈川 黒岩知事「今の基準では無理がある」

黒岩知事は、全国知事会のテレビ会議で、緊急事態宣言などを出す指標として病床のひっ迫度合いを重視している今の基準を感染力が強いオミクロン株の特性に合わせて見直す必要があるとして「国はオミクロン株の新たな知見をしっかり集めて、統一的な方針を出してほしい」と要望しました。

黒岩知事は会議のあと「かつてないスピードで感染が拡大していて、今後、緊急事態宣言などを出すかどうか判断する時が必ずくる。デルタ株を想定し、病床のひっ迫度合いを重視している今の基準では無理がある」と話していました。

また県は、県民が県内を旅行する際に代金の一部を割り引く、キャンペーンの受け付けを今月15日の午前0時で停止すると発表しました。

もともとは、今月末まで予約を受け付ける予定でしたが黒岩知事は「経済のアクセルをふかす状況ではなくなってきた」と話していました。

埼玉 大野知事「県だけで判断できないこと多い」

埼玉県の大野知事は12日開かれた全国知事会のテレビ会議で「現在、驚異的なスピードで感染が拡大しているほかほぼオミクロン株に置き換わったと見られ、改めて緊張感を強め万全の体制をとる必要がある」と述べ、急速な感染拡大に危機感を示しました。

そのうえで大野知事は、入院患者の急増に伴って療養や隔離の期間の短縮などの見直しを行うことや、オミクロン株について、知見や療養の判断基準を示すことなどを国に要望するよう求めました。

会議のあと、大野知事は「あまりに感染拡大のペースが速いため、どういうケースが重症化しやすいかなど埼玉県だけで判断できないことが多く困っている。より知見を持っている国に、他国の例も見ながら、示してもらいたい」と話していました。