新型コロナ オミクロン株感染急拡大 家庭内感染や自宅療養も

12日に発表された新型コロナウイルスの新たな感染者は、全国で合わせて1万人を超えました。一日の新たな感染者が1万人を上回るのは、去年9月9日以来です。

感染が拡大する中で医療の現場では家庭内で感染が広がったケースや重症化リスクのある自宅療養者に対し、新たに承認された飲み薬を処方するといった対応にあたっています。

東京・港区の小児科医院では去年9月以降、感染者がいない状態が続いていましたが、ことしに入ってから患者が出始め12日も午前中、微熱とのどの痛みを訴えて訪れた11歳の小学生の感染が確認されました。

これまでの感染者はいずれも軽症だということですが、中には家族5人の家庭内感染も発生しているということです。

家庭内感染 家族5人が次々に…

東京・港区の小児科医院で確認された家族5人の家庭内感染のケースです。

まず、今月4日に小学生の子どもが38度台後半の発熱を訴え、検査で陽性になります。

その日の夜から下のきょうだい2人が39度の発熱、母親も37度台の微熱が出始めました。
翌日、症状がなかった祖母も含めて検査したところ、全員陽性となり、2日後にオミクロン株に感染していることが確認されました。

感染経路は発症の2日前に家族で屋内の遊戯施設で遊んだ以外に心当たりはないということです。

母親と60代の祖母は2回のワクチンを接種済みでしたが、祖母は基礎疾患があったため、医師が年末に承認された飲み薬を投与しました。

子ども2人と母親は発熱以外の症状はなく、いちばん下の子どもは熱とせき、当初、症状がなかった祖母は鼻水とのどの痛みがでましたが、全員が軽症だったということです。

発熱はいずれも1日から3日で下がり、発症5日目には全員すべての症状がなくなりましたが、6日目に検査したところ、ウイルス量が比較的多く、人に感染させる可能性がある結果となったということです。

家族5人はいずれも今月14日まで自宅で療養を続けることになっています。

一家を診察した医師「早めに発見することが必要」

診察にあたった時田章史院長は「私が診た中では患者はいずれも症状が軽く、かぜと見分けがつきにくい。一方で家庭内で一気に広がるなど感染力が強いことが示唆されるため、高齢者や基礎疾患のある人がいる家庭では、かぜのような症状があったら市販の簡易キットなども活用して早めに感染を発見することが必要だ。症状が比較的軽いケースが多いため基本的な感染対策を徹底しながら子どもたちの学校生活や社会生活が維持できるように検討することも必要ではないか」と話していました。

自宅療養者急増の都内では飲み薬の処方も

東京都では自宅療養者が急増していて、往診を行う医師グループは重症化リスクのある自宅療養者に対し新たに承認された新型コロナの飲み薬を処方するなど対応にあたっています。

新型コロナの感染急拡大で都内の自宅療養者は11日時点で2416人となり、この1週間でおよそ15倍に急増しています。自宅療養者への往診を行う医師グループ「コールドクター」は、重症化リスクのある人に対し、新たに承認された新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」の処方を始めています。

この飲み薬は発症から5日以内の軽症から中等症の患者のうち、18歳以上で重症化リスクのある人が対象となります。
今月7日に往診した糖尿病の疾患がある50代の男性は発熱やせきが続いていました。このとき発症から3日目で、持病の状態などから医師は重症化リスクがあると判断し、「入院や死亡のリスクを30%下げる効果が臨床研究で確認されている薬だ」と患者に説明し、1回4錠を1日2回、5日間で40錠を服用するよう伝えていました。

また腎臓病の疾患がある都内の50代の男性は38度の発熱とせきがあり、「インフルエンザのような症状が続いていて体に痛みも感じる」と相談していました。この男性も発症から4日目で、重症化リスクがあると判断し、飲み薬を処方していました。いずれもワクチンを2回接種していたということです。

往診した医師「基本的な感染対策の徹底を」

往診を担当した丸山浩司医師は「5人家族、6人家族が全員陽性となるケースもあり、家族内感染や濃厚接触者で陽性になる割合が高い印象を受ける。飲み薬は新たな治療の選択肢になるが、在庫が少なく発症5日目を逃す可能性があることや、重症化リスクを30%減少させるものの、効果が少し弱いのが課題だと思う。会食の機会を減らし、基本的な感染対策の徹底が求められる」と話しています。