小池都知事 “事業継続計画 点検や策定を” 経済団体に要請

新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、社会活動の基盤が大きく揺らぐ事態も危惧されるとして、東京都の小池知事は経済団体に対し、従業員の欠勤に備えてBCP=事業継続計画の点検や策定などを要請しました。

東京都の小池知事は12日午前、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事とオンラインで意見交換しました。

この中で小池知事は「オミクロン株の急速な拡大で、これまでにないスピードで感染が進んでいる。医療現場だけでなく社会の基盤が大きく揺らぐ」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで、1割を超える従業員が欠勤した場合を想定して、BCP=事業継続計画の点検や、まだ策定していない企業には新たに作ることを呼びかけるよう要請しました。

また、都の支援策などを活用してテレワークも強化するよう求めました。

これに対し、櫻田代表幹事は「テレワーク、BCPともに当然のこととして進めたい。コロナをきっかけに新しい働き方と生産性の改革に取り組んでいかないといけない」と応じました。

このあと、小池知事は、経団連や東京商工会議所にも同様の要請を行いました

事業継続計画の点検 チェックリストを公開

東京都は、企業のBCP=事業継続計画が新型コロナウイルスなどの感染症に対応しているか点検するためのチェックリストを「東京都中小企業振興公社」のホームページで公開しています。

チェックリストは、イエス・はい、もしくはノー・いいえで答える形式です。

例えば
▽BCPを策定するにあたり優先業務の洗い出しを行っているか
▽出勤できない従業員の業務を代行できる従業員を決めているか
そして
▽1割を超える従業員が欠勤した場合、応援要員の確保の在り方を決めているかを聞いています。

また、自社だけの対応にとどまらず
▽応援要員を確保するために他社と協力する仕組みなどがあるかや
▽生産やサービスを維持するため通常とは異なる材料などを調達する方法があるかについても聞いています。

さらに、まだBCPを策定していない企業に対しては、最短1日半で最適なBCPを策定できたり、策定に向けたコンサルタントを中小企業に派遣したりする都の支援事業も紹介しています。

都内の企業 事業継続計画策定は“2割余”

民間の信用調査会社が去年5月時点で、企業のBCP=事業継続計画の策定状況を調査した結果、「策定している」と回答した都内の企業は、全国平均よりおよそ5ポイント高かったものの、2割余にとどまっています。

民間の信用調査会社の「帝国データバンク」は、去年5月に全国の企業2万3724社を対象にBCPの策定状況について調査を行い、47.4%から回答がありました。

それによりますと
▽「策定していない」と回答した企業が42.5%と最も多く
次いで
▽「策定を検討している」が24.1%
▽「策定している」は17.6%でした。

東京都内の企業だけでみると「策定している」と答えたのは、全国平均よりおよそ5ポイント高いものの22.5%にとどまっています。

東京都の担当者は「東京には首都直下地震などの災害リスクや現在、直面しているコロナという感染症のリスクがあり、企業にはこうしたリスクを避けるためにぜひBCPの策定を進めてもらいたい」と話しています。