“北朝鮮 飛しょう体 5日の弾道ミサイルより進展” 韓国軍

韓国軍は、北朝鮮が11日に発射した弾道ミサイルと推定される飛しょう体について、飛行距離は700キロ以上、最高速度は音速の10倍にあたるマッハ10前後だったなどと分析していることを明らかにしました。

そのうえで、今月5日に発射された弾道ミサイルよりも技術的に「進展している」としています。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が11日午前、日本海に向けて発射した弾道ミサイルと推定される飛しょう体1発について、北部のチャガン(慈江)道から発射され、飛行距離は700キロ以上、最大高度がおよそ60キロで、最高速度は音速の10倍にあたるマッハ10前後だったと分析していることを明らかにしました。
そのうえで、北朝鮮が今月5日に同じチャガン道から発射した、極超音速ミサイルだとする弾道ミサイルよりも技術的に「進展している」としています。

5日に発射されたミサイルについては、先に韓国国防省の関係者が、飛行距離や性能が誇張されているなどとして、極超音速ミサイルと呼ぶには技術的に不十分だとする見方を示していました。

韓国軍は、北朝鮮による追加の発射に備え、万全の態勢を維持していると強調するとともに、北朝鮮による相次ぐ発射は「国連安全保障理事会の決議違反であり、朝鮮半島だけでなく国際社会の平和と安全に対する重大な脅威だ」として、発射実験を直ちにやめるよう強く求めるとしています。

発射後 北朝鮮シニジュは変わった様子うかがえず

北朝鮮から弾道ミサイルと推定される飛しょう体が発射されたあと、NHKの取材班は、北朝鮮と国境を接する中国東北部の丹東で、川の対岸にある北朝鮮北西部のシニジュ(新義州)の様子を撮影しました。

道を掃除している人や、自転車に乗っている人の姿が見えましたが、ふだんと変わった様子はうかがえませんでした。

丹東とシニジュは中国と北朝鮮との貿易の拠点になっていますが、北朝鮮は新型コロウイルスへの感染対策として、およそ2年間国境を封鎖し、貿易を大幅に制限しています。

一方、先月末に行われた朝鮮労働党の中央委員会総会で、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が新型コロナへの感染対策をことしの国家事業の最優先に掲げる中、北朝鮮側の施設の周辺では防護服を着た人たちが歩き回る様子が確認できました。

林外相「安保理決議の履行と北朝鮮の完全な非核化目指す」

林外務大臣は記者会見で「多くの国が非難する中で、北朝鮮が継続して発射を行っていることは極めて遺憾だ。今後とも日米、日米韓、国際社会とも連携しながら、国連の安保理決議の完全な履行と、北朝鮮の完全な非核化を目指していく」と述べました。

また、政府として抗議するかどうか記者団から問われ「情報収集と分析の結果も踏まえ、しかるべく対応していきたい」と述べました。

一方、林大臣は、日本の防衛力の強化について「『敵基地攻撃能力』を含むあらゆる選択肢を検討するよう岸田総理大臣から指示が出ているので、それを踏まえ、関係省庁とも協力しながらしっかり進めていきたい」と述べました。

日韓の高官 緊密に連携を確認

北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射したことを受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は11日午後、韓国外務省のノ・ギュドク(魯圭悳)朝鮮半島平和交渉本部長と、およそ20分間、電話で協議しました。

この中で両氏は、今回の発射をはじめとした最近の北朝鮮情勢について意見を交わし、北朝鮮をめぐる問題の解決に向けて、日韓両国に加えアメリカを交えた日米韓3か国で引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

専門家「国連に対するメッセージもあったと思う」

北朝鮮情勢に詳しい南山大学の平岩俊司教授は、今月5日の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けた国連安全保障理事会の緊急会合の直後に再び飛しょう体を発射したことについて「北朝鮮は国連の決議に基づく経済制裁で非常に厳しい状況に追い込まれており、国連に対して自分たちの軍事力増強を絶対に諦めないという姿勢を示すメッセージもあったと思う」として、国連安保理に対する反発があったという見方を示しました。

また、年明けから相次いで発射している背景について「去年の年末に朝鮮労働党の中央委員会総会が開催され、キム・ジョンウン総書記が国防力の強化を改めて主張したので、ミサイル技術の開発を急いでいるのだろう。ことしも引き続きさまざまな形で自分たちの国防力を強化していくという姿勢の表れだと思う」としています。

そのうえで「北朝鮮としてはアメリカとの交渉の可能性を残しておきたいので、トランプ前大統領との間で行わないと合意した核実験とICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験以外で、米朝協議を完全に破綻させない領域での技術向上を目指しているのだと思う」と指摘しました。

一方、日本を含む国際社会の対応について「北朝鮮に対してこういった行為をやめるように強く求めていく必要があり、そのためには中国とロシアの協力も不可欠になる。対話と圧力をバランスよく使いながら北朝鮮に変化を求めていくことが必要になってくるだろう」として、北朝鮮の友好国である中国とロシアを通じて働きかけることが重要だとしました。

中国外務省報道官「過剰な反応すべきではない」

中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で「発射されたものについてはさらに検討し、評価する必要があり、関係国は性急な判断や過剰な反応をすべきではない」と述べました。

また、北朝鮮による5日の発射を受けて日本やアメリカなどが10日、北朝鮮を非難する共同声明を発表したことについて「関係国は大局に目を向け、朝鮮半島問題の政治的解決の進展を促し、相互信頼の構築や対話の再開に役立つことを行うよう求める」と述べ、けん制しました。