北朝鮮 弾道ミサイル非難の国連声明直後に発射 国際社会反発か

韓国軍は、北朝鮮が11日午前7時半前、日本海に向けて弾道ミサイルと推定される飛しょう体1発を発射したと発表しました。
その2時間半余り前、国連では日本やアメリカなどが、1月5日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を非難する共同声明を出しており、こうした動きに反発した可能性もありそうです。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮11日午前7時27分ごろ、内陸部から日本海に向けて、弾道ミサイルと推定される飛しょう体1発を発射したと発表しました。

韓国国防省は、午前の記者会見で「現在、アメリカとともに分析している」として詳しいことは明らかにしていませんが、通信社の連合ニュースは、飛行距離が700キロ程度だったとする見方を伝えています。

今回の発射を受けて韓国政府は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開いて対応を協議し、強い遺憾の意を表明するとともに、朝鮮半島の平和と安定を願う国際社会の期待に応え、対話の再開と協力に早急に応じるよう求めました。

北朝鮮は1月5日、北部のチャガン(慈江)道から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射し、その翌日の6日、極超音速ミサイルの発射実験を行ったと発表しており、年明けの相次ぐ発射で、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を強調するねらいがあるとみられます。

また国連では、北朝鮮による前回の発射について安全保障理事会が対応を協議する緊急会合を非公開で開いたのに先立ち、日本やアメリカなどが共同声明を出し「発射は複数の安保理決議に違反している」として北朝鮮を非難しました。

今回の発射は、共同声明の発表から2時間半余りあとのことで、北朝鮮がこうした国際社会の動きに反発した可能性もありそうです。

国連安保理 さらなる対応必要か

国連安全保障理事会は10日、アメリカやイギリスなど欧米の5か国の要請に基づいて、北朝鮮が1月5日に日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射したことについて、緊急会合を開きました。

これに先立ち、会合を要請した5か国に関係国として日本が加わって6か国が共同で声明を発表し「5日の弾道ミサイルの発射は、複数の安保理決議に明らかに違反している」と非難したうえで、北朝鮮に対話に戻るよう改めて求めました。

会合は非公開で行われ、国連外交筋によりますと、各国が意見を述べるにとどまり、安保理として一致した姿勢を示すことができなかったということです。

欧米各国とともに共同声明を発表した日本の石兼国連大使は記者団に対して「考え方が同じ国がしっかりと集まり、事態の深刻さが増しているということを国際社会に訴えたという点で非常に意義があった」と強調しました。

ただ、会合が終わっておよそ1時間半後の11日午前、北朝鮮が再び弾道ミサイルの可能性がある飛しょう体を発射したことから、今後、安保理は再び会合を開催するなどさらなる対応を求められることになりそうです。

石兼大使は「たび重なる国際社会の呼びかけを無視する形で挑発行為に出たことは許せないことだ。われわれとしてはしっかりと団結して安保理決議の実施を呼びかけていく」と述べました。

松野官房長官「約700キロ未満飛しょう 落下はEEZ外と推定」

松野官房長官は、記者会見で「北朝鮮の内陸部から、弾道ミサイルの可能性があるものが少なくとも1発、東方向に発射された。現時点において、わが国の航空機や船舶への被害報告などの情報は確認されていない。詳細については現在分析中だが、通常の弾道軌道だとすれば、およそ700キロ未満飛しょうし、落下したのはわが国のEEZ=排他的経済水域の外と推定されている」と明らかにしました。

そのうえで「これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり強く非難する。まさに日本時間のけさ、先日のミサイル発射を受けた国連安保理の会合が開催され、多くの国が北朝鮮の行動を非難したところだ」と述べました。

そして「国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析および警戒監視に全力を挙げ、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には速やかに発表する」と述べました。

岸防衛相「通常の弾道軌道なら落下はEEZ外と推定」

岸防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で「詳細については現在、分析中だが、通常の弾道軌道だとすれば、およそ700キロメートル未満飛しょうし、落下したのはわが国のEEZ=排他的経済水域の外と推定される」と述べました。

現時点で、日本の航空機や船舶への被害は確認されていないということです。

また岸大臣は、北朝鮮が令和元年5月以降、これまでにおよそ40発以上の頻繁な発射を繰り返しており、その目的がミサイル技術の向上にあることは明らかだとして「昨今の北朝鮮による弾道ミサイルなどのたび重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとって深刻な課題だ」と述べました。

発射を受けて岸大臣は、岸田総理大臣からの指示を踏まえ、アメリカなどと緊密に連携をしつつ、情報の収集や分析に全力を挙げることや、不測の事態の発生に備え、引き続き、警戒監視に万全を期すよう、防衛省・自衛隊に対し、指示しました。

一方、岸大臣は「アメリカや韓国をはじめ、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命や平和な暮らしを断固守り抜く決意だ」と述べたうえで、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく考えを重ねて示しました。

日米高官 引き続き緊密連携を確認

北朝鮮が弾道ミサイルの可能性のあるものを発射したことを受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表と、11日午前、電話でおよそ20分間、協議しました。

この中で、両氏は、今回の発射を含む最新の北朝鮮情勢について意見交換を行うとともに、拉致・核・ミサイルといった懸案の解決に向け、日米両国、さらに韓国を加えた日米韓3か国で、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

米軍「日韓の防衛に対する米の関与は揺るぎない」

アメリカのインド太平洋軍は10日、声明を発表し「われわれは弾道ミサイルの発射を把握しており、同盟国などと緊密に協議している。今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国への差し迫った脅威ではないと判断している」としたうえで、北朝鮮の違法な兵器開発が地域を不安定化させることを浮き彫りにするものだとして懸念を示しました。

そのうえで「日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎないものだ」と強調しました。

公明 山口代表「極めて遺憾 国際社会と連携を」

公明党の山口代表は、記者会見で「先日から続けて発射したことは極めて遺憾だ。政府には情報分析をしっかり行ったうえで、国民に必要な情報を提供してもらいたい。また、引き続き厳重な警戒監視にあたり、地域の平和と安定を脅かす暴挙に対して、国際社会と連携して対処してほしい」と述べました。

首相官邸でNSC開催 今後の対応など協議か

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、政府は、11日午後、総理大臣官邸で岸田総理大臣をはじめ、岸防衛大臣や林外務大臣らが出席してNSC=国家安全保障会議の閣僚会合をおよそ15分間、開きました。
会合では、これまでに収集した情報を分析するとともに、今後の対応などを協議したものとみられます。