北朝鮮が弾道ミサイルの可能性あるもの発射 被害情報なし

政府は、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表しました。
岸田総理大臣は、先週に続く発射は極めて遺憾だとしたうえで、早急に詳細を分析する考えを示しました。

政府は11日朝、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表しました。

これを受けて岸田総理大臣は、午前9時前、総理大臣官邸で記者団に対し、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることの3点を指示したことを明らかにしました。

そのうえで「先日、北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、国連安全保障理事会で対応が協議されたところだ。こうした事態に北朝鮮が継続してミサイルを発射していることは極めて遺憾なことだ。政府としては、これまで以上に警戒監視を進めているが、発射の詳細は早急に分析を行っている。分析をした結果、明らかになったことがあればできるだけ早くお知らせしたい」と述べました。

岸防衛相「通常の軌道であればEEZ外と推定」

岸防衛大臣は記者会見で、北朝鮮から発射された弾道ミサイルの可能性があるものは、通常の軌道であれば、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されることを明らかにしました。

林外相「連続して発射 誠に遺憾」

林外務大臣は、午前9時半ごろ外務省で記者団に対し「北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射した。詳細はいま分析中だ。先週に続き北朝鮮が連続して発射したことは誠に遺憾なことで、外務省としても米国をはじめとする関係国と引き続き緊密に連携していく」と述べました。

海上保安庁「すでに落下したとみられる」 船舶に注意呼びかけ

海上保安庁は「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されました」というミサイル発射情報を午前7時29分に発表しました。

さらに、海上保安庁は弾道ミサイルの可能性があるものは、すでに落下したとみられると午前7時45分に発表しました。
航行中の船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけています。

海上保安庁は日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

韓国軍も北朝鮮が飛しょう体1発発射と発表

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が11日午前7時27分ごろ、内陸部から日本海に向けて、弾道ミサイルと推定される飛しょう体1発を発射したと発表し、アメリカ軍とともに詳しい分析を進めています。

北朝鮮は年明けから相次いで発射に踏み切ることで、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を内外に強調するねらいがあるとみられます。

また、今月5日の発射について、国連の安全保障理事会は10日、対応を協議する緊急会合を開き、アメリカや日本などが「安保理決議に違反している」として北朝鮮を非難していて、こうした動きに反発した可能性もありそうです。

石兼国連大使「挑発行為出たこと許せない」

韓国軍などが北朝鮮が日本海に向けて飛しょう体を発射したと発表したことを受けて石兼国連大使は10日、ニューヨークの国連本部で記者団に対し「現時点では、事実確認が必要だが仮に事実であるとすれば国際社会のたび重なる呼びかけを無視する形で挑発行為に出たことは許せないことだ。われわれとしてはしっかりと団結して安保理決議の実施を呼びかけていく」と述べました。

北朝鮮の最近のミサイル発射は

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は去年1月、朝鮮労働党の党大会での演説で「国防科学技術をより高い水準に引き上げ、最強の軍事力を確保しなければならない」と述べ、新型の弾道ミサイルの開発計画を盛り込んだ国防5か年計画を打ち出しました。

そのあとの3月、北朝鮮は、東部のハムギョン(咸鏡)南道から日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射し、日本の防衛省は軌道が比較的低かったことなどから、新型の弾道ミサイルだと分析しました。

さらに北朝鮮は9月から10月にかけて、4回にわたり立て続けにミサイルを発射しました。

このうち9月には新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したとして、「だ円や8の字の軌道に沿って2時間6分20秒飛行し、1500キロ先の目標に命中した」と主張しました。

その3日後には、西部のピョンアン南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射し、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下しました。

国営メディアは山岳地帯で列車からミサイルを発射する映像を公開し、新たに組織された「鉄道機動ミサイル連隊」が射撃訓練を行ったと伝えました。

そしておよそ2週間後には北部のチャガン(慈江)道から弾道ミサイル1発を発射し、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8型」の発射実験を初めて行ったと主張しました。

さらに10月には、東部のハムギョン南道シンポ(新浦)から新型のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイル1発を発射しました。

北朝鮮がSLBMを発射したのはおよそ2年ぶりで、国営メディアは「水中での作戦能力の向上に寄与するだろう」と強調しました。

こうした中、キム総書記は10月、ミサイルなどの兵器を集めた展示会を訪れて演説し、対話を呼びかけるアメリカへの不信感を表すとともに、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を強調しました。
ことしに入ってもキム総書記は国政運営の方針を示した演説で「朝鮮半島の軍事的環境は日増しに不安定になっている」と主張し、軍事力を強化する姿勢を改めて示しました。

その4日後、北部のチャガン道から弾道ミサイル1発が発射され、北朝鮮は翌日に極超音速ミサイルの発射実験を行い「700キロ先の目標に誤差なく命中した」と強調しました。

北朝鮮が極超音速ミサイルの発射実験を発表するのは2回目で、日本政府は新型の弾道ミサイルと分析していることを明らかにしました。