東京パラ選手村 自動運転車事故 オペレーターを書類送検へ

去年、東京パラリンピックの選手村で自動運転の車が柔道の日本選手に接触し選手がけがをした事故で、警視庁は、車に乗っていたオペレーターが選手に気付いたにもかかわらず、緊急停止の措置を適切にとらなかったなどとして、6日にも、過失運転傷害の疑いで書類送検する方針です。

去年8月、東京 中央区晴海の東京パラリンピックの選手村で、自動運転の電気自動車が敷地内の交差点を右折した際、横断歩道を渡っていた柔道の日本代表で視覚に障害がある北薗新光選手に接触しました。

この事故で、北薗選手は足に軽いけがをし、その後、体調不良を理由に試合を欠場しました。

電気自動車は当時、選手や大会関係者向けに敷地内を巡回していて、警視庁によりますと、ハンドルにあたる操作などは自動で行う一方、周囲の安全確認や緊急時の対応などのため、トヨタ自動車の39歳の男性社員がオペレーターとして車に乗っていました。

捜査関係者によりますと、その後の調べで、この社員が選手の横断に気付いたにもかかわらず、緊急停止の措置を適切にとっていなかったことが分かったということです。

自動ブレーキも作動しましたが、間に合わなかったということで、社員は任意の事情聴取に対し、「選手が横断歩道をそのまま歩いてくるとは思わなかった」と話しているということです。

警視庁は、こうした判断が事故につながったとして、6日にも、過失運転傷害の疑いで書類送検する方針です。

事故を起こした車はトヨタ自動車が開発

今回、事故を起こしたのはトヨタ自動車が開発した自動運転の電気自動車=「e-Palette」です。

会社のウェブサイトによりますと、全長5メートル余り、幅2メートル余りの箱型のデザインで、最大で20人乗ることができます。

最高速度は時速19キロで、1回の充電で150キロまで走行できるということです。

通常は自動運転で走るため運転席やハンドルなどはなく、走行するときは運転手の代わりに自動運転の機能を確認するオペレーターが乗車します。

選手村では、実証実験を兼ねて選手や大会関係者向けに敷地内を巡回していましたが、事故を受けて、運行が一時、中止されました。

トヨタ自動車の豊田章男社長は、当時、自社のウェブサイトで「ご心配をおかけして大変申し訳ない」と陳謝したうえで、「パラリンピックという特殊環境の中で、目が見えない方がおられる、体の不自由な方がおられる、そこまでの環境に対応できなかった」と述べました。

トヨタ自動車はその後、一部の運転を手動に切り替えたり、運行の担当者とは別に安全を目視で確認する搭乗員を乗せたりといった安全対策を講じたうえで、「e-Palette」の運行を再開していました。

また、大会組織委員会は、去年8月、今回の事故について、交差点で歩行者を誘導するスタッフが車が来ていることを選手に適切に伝えられなかったことや、車が動いているときの音が小さかったことなどが原因だったとする調査結果を公表しています。