福島第一原発の「処理水放出」 国内外の理解得られるかが課題

福島第一原子力発電所では、事故で溶け落ちた核燃料の冷却などの末に残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水がたまり、ことしの秋以降には満杯になる見通しです。

東京電力は国の方針に従い、基準以下の濃度に薄めたうえで来年春ごろから海に流したい考えですが、処理水の放出は国内外から懸念が示されていて、地元をはじめ、関係者の理解を得られるかが課題です。

福島第一原発では、2011年の事故で「メルトダウン」が起き、溶け落ちた核燃料を冷却するため現在も水を入れ続けていて冷却に伴って出る「汚染水」は一日当たり約140トン発生しています。

汚染水は特殊な装置を使って放射性物質を取り除きますが、除去が難しいトリチウムなど一部の放射性物質が残った「処理水」がたまり続けていて、敷地内の大型タンクで保管していますが、ことし秋以降に満杯になる見通しです。

このため国は、処理水を基準以下に薄めたうえで、来年春をめどに海に流す方針を決め、東京電力はこの方針に従って原発の1キロほど沖合から放出する計画で、原子力規制委員会が審査しています。

東京電力は計画が認められ、地元や関係者の理解を得たうえで、ことし6月ごろから処理水を海水で薄める設備や海底トンネルなどの工事に着手したい考えで、来年4月中旬ごろには工事を完了したいとしています。

一方で処理水の放出は、地元の漁連などを中心に風評被害を懸念する声が根強く、韓国や中国からも撤回が求められているなど計画どおり進むかは不透明で、東京電力は、地元をはじめ国内外の関係者からどのように理解を得るかが引き続き課題となります。