北朝鮮キム総書記 軍最高司令官就任10年 対米関係など言及なし

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が軍の最高司令官に就任してから、30日で10年となります。
北朝鮮メディアは軍事力をさらに強化するよう呼びかけましたが、アメリカとの関係や核・ミサイル開発について具体的な言及はなく、経済など国内向けの成果を重視しているという見方も出ています。

北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が、父親のキム・ジョンイル(金正日)氏の死去に伴って軍の最高司令官に就任してから、30日で10年となります。

30日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は社説を掲載し、アメリカを念頭に「敵対勢力の無分別な軍事的挑発の脅威を制圧した」としてキム総書記をたたえました。

そのうえで「国家防衛の柱である軍の強化に最優先の力を注ぐべきだ」として、軍事力のさらなる強化を呼びかけました。

一方、核・ミサイル開発や「最大の敵」と位置づけるアメリカとの関係について具体的な言及はありませんでした。

北朝鮮は、長引く経済制裁と新型コロナウイルスへの感染対策として国境を封鎖していることから、経済が打撃を受けています。

韓国の通信社、連合ニュースは経済の発展や内部の結束など、国内向けの成果を重視している可能性があるという見方を伝えています。

北朝鮮では、今月27日からキム総書記も出席して党の重要政策を決定する中央委員会総会が始まっていて、アメリカとの関係や核・ミサイル開発、それに経済の立て直しについて新たな内容が明らかになるかが焦点です。

核・ミサイル開発推進 権力基盤を強化

世襲によって20代の若さで最高指導者となったキム・ジョンウン総書記は、この10年間、核・ミサイル開発を推し進めながら権力基盤を強化してきました。

2013年におじで後見人とされていたチャン・ソンテク氏が処刑されたのに続いて、2017年には、兄のキム・ジョンナム(金正男)氏がマレーシアで殺害され、体制を脅かす存在を排除したとみられています。

一方、対外関係ではアメリカとの対決姿勢を強調しながら核・ミサイル開発を加速させました。

「水爆の実験に成功した」と発表するなど核実験を4回強行したほか、アメリカ本土全域を攻撃できると主張するICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」などの発射実験を繰り返しました。

日本の防衛省によりますと、北朝鮮が発射した弾道ミサイルやその可能性があるものは、父親のキム・ジョンイル氏のときには17年間で16発だったのに対して、この10年間ではICBM級をはじめ、90発以上に上るということです。

アメリカとの緊張が高まる中、2018年、対話姿勢に転換したキム総書記はシンガポールで史上初の米朝首脳会談に臨みました。

しかしその後、非核化をめぐる交渉は行き詰まり、バイデン政権との関係もこう着状態にあります。

国内では、長引く経済制裁と新型コロナウイルスへの感染対策で国境を封鎖していることから経済が打撃を受けていて、体制に緩みが生じないよう引き締めを強めていくものとみられます。