「コミケ」2年ぶりに東京で始まる 感染対策を徹底

新型コロナの影響で中止になっていた愛好家たちが創作漫画などを発表するコミックマーケット、通称「コミケ」が30日から2年ぶりに東京で始まりました。

「オミクロン株」への感染が相次いで確認される中、入場者数を大幅に制限するなど対策を徹底しての開催。参加者からは「大切な場所が戻ってきた」という声が聞かれました。

「コミケ」2年ぶりに開催

コミックマーケット、通称「コミケ」は毎年、夏と冬の2回、東京 江東区の東京ビッグサイトで開かれ、漫画やアニメをモチーフにした同人誌やコスプレなどの発表が行われるイベントです。

全国の愛好家たちが一堂に会する「聖地」ともされ、最大70万人を超える人が参加したこともある日本最大規模のイベントでしたが、新型コロナの影響で去年から3回にわたって中止になっていました。

ことしの冬は、感染者数が比較的抑えられていることや大規模イベントの開催について国が方針を出したことを受けて、主催者が2年ぶりの開催を決め、30日から始まりました。

会場では2万余りの愛好家のサークルや企業が出展し「コミケ」の開催を待ちわびた多くのファンが全国から訪れ、同人誌を買い求めたりコスプレを披露したりしていました。

徹底した感染対策 コミケ名物「待機列」は?

今回は、新型コロナの感染対策として、参加を事前申し込み制にしたうえで、開催される2日間で参加者をおよそ10万人に制限しています。

また、参加者には入場するエリアを事前に申請してもらい、ほかのエリアへの移動を禁止するほか、ワクチンを2回接種済みか、検査で陰性となったかの証明を求めました。

毎回、人の密集が見られたコミケの会場で、こうした対策は功を奏したのか。

前回までの会場では、人が密集して前に進めないことがあるほどで、中でも、人気のサークルの同人誌を買い求める人の行列、通称「待機列」は、コミケの名物の1つとも言われていました。
一方、今回の会場では、肩が触れ合うような状況はなく「待機列」もほとんど見られませんでした。

また、出展者側もいすや机、見本品などのこまめな消毒をしたり、列を作る人に間隔をあけることを求めたりしていました。

中にはキャッシュレス決済を導入しているサークルもありました。

「コスプレ」も距離をあけて!

コミックマーケットの名物の一つが、アニメや漫画などのキャラクターにふんする「コスプレ」です。

ここでも、感染対策がとられていました。

コスプレイヤーは、写真撮影に応じている場合にのみマスクを外すことができ、そのほかの時間帯には、マスクを着用するよう求められました。
また、写真を撮る参加者には、撮影する人どうしの距離をあけることが求められています。

運営側も、感染対策の徹底を呼びかけようと「人と人との距離を十分に保ってください」などと書かれたカードをもって会場を歩き回っていました。

参加者「大切な場所が戻ってきた」

2年ぶりに開催された「コミケ」。

参加者からは、一様に「大切な場所が戻ってきた」という声が聞かれました。

「アメショネコ」さんは、10年以上にわたってプロ野球の全試合の審判の名前を調べてまとめた本をコミケなどで発表しています。

「僕のようななかなかいない趣味を持っている人でも、ここにくれば一人じゃないと感じさせてくれます。コミケはそういう意味で大切な場所です。開催してくれて本当にうれしいです」と話していました。

また、30代の男性は、仕事で疲れたときに励まされた男性ユーチューバーに会いに来たということで、「こういう場がなければ直接応援のメッセージを伝えられないし、向こうから“応援ありがとう”と言ってもらえることもうれしい。みんなで感染対策をしてこれからも開催したい」と話していました。
イベントの準備に当たったコミックマーケット準備会の安田かほる共同代表は、「オミクロン株の拡大など懸念もあったが、開催ができなかったこの2年間、会のメンバーなどと一緒に感染対策を話し合い、国にも説明をすることでようやく開催にこぎつけられた」と開催までの苦労を語りました。

そのうえで、「コミックマーケットは自分の好きなものを作って、それを好きだと受け止めてくれる人がいて、45年間、そうやって“参加者が育ててくれた”イベントだと思っている。今後も、感染対策に最大限の注意を払っていきたい」と話していました。