オミクロン株 治療の医師 “重症化なしでも慎重に対応を”

東京都内の医療機関で新型コロナウイルスのオミクロン株に感染した患者の治療にあたった医師がNHKの取材に応じ、患者は無症状か、症状が出ても発熱やせきなどで重症化した人はいないと述べました。ほとんどがワクチンを接種した比較的若い世代だということで、重症化しやすい人に感染が広がることも想定して慎重に対応することが必要だと強調しました。

コロナ患者の治療に当たってきた国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長によりますと、センターではオミクロン株に感染した患者10人以上の治療に当たったということです。

患者は、ほとんどがワクチンを接種していて、海外から帰国した20代から60代までが中心だということで、無症状か、症状が出ても発熱やせき、のどの痛みなどを訴える人が多く、重症化した人はいないということです。

また、デルタ株に感染した患者と比べ、味覚や嗅覚の異常を訴える人は少ないとしています。

大曲センター長は、感染した場合の重症度について「いまは、たまたま重症化する率が低い世代を見ているだけかもしれず、高齢者や持病のある人がかかったらどうなるかわからない。オミクロン株で重症化する率が低いのか、若い人を中心に感染しているから低いのか、区別がつかない。新型コロナの感染が始まった当初、チャーター便で中国から帰国した人たちも軽症の人が多く、その後、徐々に重症者が出てきたこともあるので、今後どうなるか慎重に見ていく必要がある」と話しています。

そのうえで大曲センター長は「オミクロン株の性質が明らかになるまでは、デルタ株と同様の厳しい状況を想定し、気を引き締めて対応することが重要だ」と述べ、年末年始で帰省を予定している人などは常にマスクを着けることや、換気を徹底すること、特に体調が悪い場合は検査を受けるなど、感染対策をしっかり行うよう呼びかけました。