書籍ことしの販売額 15年ぶりプラス見通し “巣ごもり”一因か

書籍と雑誌を合わせたことしの国内の出版物の販売額は、推計で去年よりおよそ1%減少し、17年連続で前の年を下回る見通しとなりました。一方で書籍だけを見ると、前の年をおよそ2%上回り、15年ぶりにプラスに転じる見通しとなりました。

出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、ことし国内で出版された書籍と雑誌の売り上げは、1月から11月までの販売実績をもとにした推計で、去年よりもおよそ1%少ない、1兆2100億円台と、17年連続で前の年を下回る見通しとなりました。

このうち書籍の売り上げは、児童書や学習参考書を中心に売り上げを伸ばし、前の年を2%ほど上回る6700億円程度と、15年ぶりにプラスに転じる見通しとなりました。

出版科学研究所は、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす人が増えたことが一因だとみています。

一方、雑誌の売り上げは、定期雑誌の休刊が相次いだことなどにより、前の年を4%ほど下回る5300億円程度と見込まれています。

出版科学研究所は「出版物への手堅い需要を裏付ける結果となったが、来年もコロナの状況しだいでどのような影響が出るか予測が難しく、出版界が社会の変化にどう対応していくかが問われることになる」としています。