仏 感染が急拡大 ワクチン接種証明の提示義務づける法案決定へ

フランスでは、先週、新型コロナウイルスの一日の感染者数が10万人を超えるなど、感染が急速に拡大していて、政府は27日、臨時の閣議を開き、飲食店などを利用する際にワクチンの接種証明の提示を義務づける法案を決定する予定です。

フランスでは、今月前半には一日の感染者数が5万人前後でしたが、今月25日には初めて10万人を超え、過去最多となりました。

また、重症化して集中治療室で手当てを受けている人も増え続け、およそ3000人に上っています。

変異ウイルスのオミクロン株が感染の急速な拡大に影響しているとみられ、フランス政府は27日、臨時の閣議を開き、飲食店などを利用する際にワクチンの接種証明の提示を義務づける法案を決定する予定です。

フランスでは国民のおよそ76%がワクチンの2回接種を完了している一方で、ワクチンへの不信感などから接種を拒む人も一定数いて、ワクチン接種や接種証明の提示の義務化に反発するデモが毎週土曜日に行われています。

フランス政府が感染拡大を抑え込むのに有効な手を打てるか、難しい対応を迫られています。

アジアでもオミクロン株拡大 対応は分かれる

アジアでもオミクロン株の感染確認が徐々に増えてきていますが、国によって対応が分かれています。

シンガポールでは、25日までにオミクロン株の感染者が546人確認され、このうち103人は市中感染とされていて、飲食店でのクラスターの発生も確認されています。

ただ政府は、この1か月間に国内外で得られたデータにより「オミクロン株は感染しやすいが、デルタ株に比べて症状は深刻化しにくく、ワクチンの有効性も示された」として、27日から規制を緩和することを発表しました。

これまで専用の施設に収容していたオミクロン株の感染者は、自宅での療養を認め、南アフリカやナイジェリアなどアフリカの10か国からの渡航者の受け入れを再開するということです。

ただ、感染の急拡大や医療のひっ迫を防ぐため、検査態勢を拡充し、ワクチンの追加接種を進めていく方針も示しています。

一方、インドでは、これまでに578人がオミクロン株に感染したことが確認され、首都ニューデリーや、商業都市ムンバイのあるマハラシュトラ州を中心に広がりつつあります。

このため、ニューデリーの地元政府は、午後11時から翌日の午前5時までの外出を原則として禁止する措置を27日から導入すると明らかにしました。

同様の措置は、ニューデリーに隣接し多くの日本人が住むハリヤナ州や南部のカルナタカ州などでも決まっています。

モディ首相は25日、ワクチンの接種対象を来月から15歳以上に拡大するとともに、医療従事者などに追加接種を行う方針を明らかにし、オミクロン株への警戒を強めています。

中国 感染拡大の西安で外出を厳しく制限

中国では、内陸部陝西省の中心都市、西安で新型コロナウイルスの感染が広がっていて、地元当局は、およそ1300万人の全市民に対し外出を厳しく制限する措置をとっています。

中国の保健当局によりますと、西安では25日は155人、26日は150人の市中感染が確認され、今月9日から26日までに合わせて630人余りの感染者が出ています。

これに伴い、全国の市中感染も25日と26日の2日連続で150人を超え、今の形式で感染者を発表するようになった去年3月以来、最も多い水準となっています。

こうした中、西安の地元当局は、およそ1300万人の全市民を対象に、今月23日以降、外出を厳しく制限する措置をとっていて、食料品などの買い出しも各家庭で1人に限定したうえで、2日に1回しか認めないとしています。

また、全市民を対象にしたPCR検査を繰り返し実施しているほか、大規模な消毒作業も行っているということです。

一方、こうした中でも、26日までの2日間、全国統一で行われた大学院の入学試験は中止せず、西安では厳格な感染対策をとったうえで試験が行われ、およそ13万5000人が受験したということです。