高齢者に家族などが虐待 昨年度1万7000件余 過去最多 厚労省

昨年度、高齢者が家族などから受けた虐待は1万7000件余りと、統計を取り始めてから最も多くなったことが、厚生労働省のまとめでわかりました。新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が要請される中、家族の介護負担が増えたことが、要因のひとつとみられています。

厚生労働省は、家庭や施設で高齢者が受けた虐待について全国の自治体を通して調べています。

昨年度、家族や親族などによる虐待は1万7281件と前の年度から353件増え、統計を取り始めた平成18年度以降で最も多くなりました。

虐待を受けて死亡した高齢者は25人で、前年度を10人上回りました。

虐待をしたのは、
▽息子が最も多く39.9%、
▽次いで夫が22.4%、
▽娘が17.8%で、
自治体が分析した要因は、
▽「虐待をした人の性格や人格に基づくもの」(57.9%)が最も多くなりましたが、
▽「介護疲れ、介護ストレス」(50%)も目立ちました。

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大によって、デイサービスの利用を控えたり、地域の集いの場が閉鎖されたりして、家族の介護負担が増したことが、要因のひとつとして考えられるということです。

一方、介護施設などの職員から受けた虐待は595件と、初めて減少に転じました。

家族や親族からの通報が前年度から5ポイント減少していて、厚生労働省は、感染防止のため面会が制限され、施設内の様子がわかりにくくなったことが背景にあると分析しています。

厚生労働省は、施設での面会や交流の場が再開できるよう支援し、虐待の防止につなげたいとしています。