全国知事会 政府に年末年始の感染拡大防止求める緊急提言

オミクロン株の市中感染とみられるケースが各地で報告されるなか、全国知事会が会合を開き、人の移動が活発になる年末年始を前に、感染拡大防止に万全を期すよう政府に求める緊急提言をまとめました。

新型コロナの新たな変異ウイルス、オミクロン株の市中感染とみられるケースが全国各地で相次いで報告されていることを受けて、全国知事会はオンラインで会合を開きました。

会合では、オミクロン株の感染者が確認された自治体からの発言が相次ぎ、愛知県の大村知事が「保健所の職員の負担が増しており、業務の負担軽減をお願いしたい」と要望したほか、京都府の西脇知事は「帰国者の濃厚接触者が急増していて、このままでは宿泊施設が足りなくなる」と訴えました。

そして、知事会としての緊急提言をまとめ、この中では、
▽年末年始に基本的な感染対策の徹底を促し、体調が悪い場合は帰省や旅行を延期するよう呼びかけることや、
▽感染が急速に拡大している地域に保健師を派遣し、保健所の負担軽減を図ることなどを求めています。

さらに、大規模なクラスターが発生した在日アメリカ軍に対し、オミクロン株が確認された場合は、速やかに国や関係自治体に情報提供を行うよう求めるべきだとしています。

全国知事会は、この提言を28日に政府に提出することにしています。

神奈川 黒岩知事「市中感染対策に転換せざるをえない」

神奈川県の黒岩知事は27日に開かれた全国知事会の会合で「オミクロン株は感染力が非常に強く、近いうちに今の水際対策から市中感染対策に転換せざるをえない」と述べました。

この中で黒岩知事は、国内や海外のデータを元に県がシミュレーションした結果として、今後、県内でオミクロン株の市中感染が起き、3日間平均で1日20人確認された場合、その2週間後には最大で新規感染者が1日3000人を超え、入院患者は800人になるという見通しを示しました。

そして、市中感染の数が3日間平均で20人に達した時点で、今の水際対策から市中感染対策に転換する必要があると述べました。

具体的には、患者が入院するための確保病床を現在の1000床から1700床に増やすほか、濃厚接触者の待機場所として国に貸し出している宿泊療養施設を、10日以内に返還してもらい、本来の陽性者の受け入れ用に戻すなどとしています。

黒岩知事は、こうした対策を知事の権限で行えるよう、知事会などを通じて国に求めていく考えです。

会議のあと黒岩知事は「ひとたびオミクロン株の市中感染が起きれば、あっというまに感染者が激増する。そうなれば濃厚接触者にかかりきりの今の状況を変えていく必要がある」と話していました。