初の新型コロナ飲み薬 全国の医療機関や薬局に配送始まる

先週、承認された、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ初めての飲み薬が、27日から全国の医療機関や薬局に配送されています。

アメリカの製薬大手メルクが開発した「モルヌピラビル」は、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ初めての飲み薬で、今月24日に国内での使用が承認されました。

厚生労働省は27日から全国の医療機関や薬局に順次、配送していて、このうち東京 西東京市の薬局には、27日正午ごろに薬3箱が届きました。

この飲み薬は、発症から5日以内の軽症から中等症の患者のうち、18歳以上で重症化リスクがある人が対象で、1回4錠を1日2回、5日間服用します。

1箱に40錠入っていて1箱で1人分にあたるということです。

自宅や療養施設で薬を受け取ることも可能で、医療機関が患者の最寄りの薬局にファックスなどで処方箋を送り、薬局の薬剤師が電話やオンラインで患者に服用方法などを指導したあと、届けることになっています。

「エコ薬局」の宮川昌和薬局長は「地域の方々が安心できる薬が一つ増えたと思います。承認されたばかりの薬なので、事前に予想されている副作用以外の症状が出ることも考えられます。飲む前よりも状態が悪化したり、吐き気や発疹などがあったりした場合は、医療機関と連携して迅速に対応したい」と話していました。

処方後は定期的に経過観察を 厚労省

「モルヌピラビル」について、厚生労働省は24日、医療機関に対して、処方後は定期的に経過観察を行うよう通知しました。

通知では製薬会社に対しても服用した患者全員について、副作用が出ていないか調査したうえで、結果を報告することも求めています。

これらに対応できる医療機関と都道府県が指定した薬局に、国から無償で薬が提供されることになっていて、厚生労働省によりますと、すでに東京都や大阪府などに配送され、27日から処方できる状態だということです。

24日、開かれた厚生労働省の専門家部会で、一部の委員から有効性や安全性に関するデータが限られていると指摘されたことや、オミクロン株への効果について、疑問視する声が出たことなどを受けての対応だとしています。

通知では処方できる患者を原則、重症化リスクがある人とし具体的には、がんや、慢性腎臓病、肥満、糖尿病、ダウン症、心不全などの重篤な心疾患、肝硬変などの重度の肝臓疾患を患っている人などとしています。