オミクロン株濃厚接触者増で福祉保健センター繁忙 横浜

新型コロナの変異ウイルス、オミクロン株の濃厚接触者が増え続ける中、横浜市内の福祉保健センターでは自宅で待機している人の健康観察などの業務が繁忙になり、ほかの部署から職員を派遣してもらって対応に当たっています。

神奈川県では、オミクロン株への感染が確認された人と同じ飛行機に乗っていたとして濃厚接触者となった人がこれまでに合わせて1500人以上います。

このうち、横浜市内で最も人口が多い港北区では国から送られてくる新たな濃厚接触者のリストが日によっては20人近くになる日もあり、対応に追われています。

濃厚接触者の多くは自宅で待機していますが、宿泊施設を希望する場合は県などと調整して決めています。

しかし、中にはなかなか連絡がつかず、何度も電話をかけることもあるということです。

センターでは受け持っている濃厚接触者に対して、毎日、メールや電話で健康観察を行っているほか、14日間の待機期間が終わるまでの間、定期的に検査をしています。

このため、自宅を訪ねて検体を入れる容器を配布したり、回収したりする作業も多く、ほかの部署からも職員を派遣してもらって対応に当たっています。

港北区福祉保健センターの北川寛直センター長は「濃厚接触者が日々、雪だるま式に増え、業務が繁忙になっているうえ、国や県からの通知や方針も刻々と変わるので組織内での情報共有にも莫大な労力が必要だ。職員は使命感を持って取り組んでいるが、同じ飛行機の搭乗者全員が濃厚接触者となることについて本人に説明するのも大変で、現場の疲労感につながっている」と話していました。

神奈川県 “待機施設増加は困難”

神奈川県が、自宅で待機できない濃厚接触者のために使っているのは、本来、新型コロナに感染した人の宿泊療養施設として確保していた施設です。

宿泊療養施設は県内に10か所、およそ2000室ありますが、このうち2つの施設の600室余りは国に貸し出しています。

また、今後の感染拡大に備え、陽性となった人用に900室余りを用意していることなどから、濃厚接触者の人が利用できるのは3施設339室にとどまり、県は、これ以上待機施設を増やすのは難しいとしています。

濃厚接触者の多くが自宅待機「配食サービス」立ち上げ

神奈川県では、オミクロン株の濃厚接触者となった人がこれまでに1500人を超え、多くの人が自宅待機となっています。県は、食事や日用品を届ける「配食サービス」を急きょ立ち上げて対応に当たっています。

「オミクロン株」の濃厚接触者について、国は宿泊施設で14日間待機するよう要請していますが、神奈川県では宿泊施設だけでは受け入れられないことから、可能な人には自宅で待機してもらっています。

26日の時点で待機中の1252人のうち、7割以上にあたる915人が自宅で待機しています。

待機中は、感染拡大の防止のため外出や人との接触を控えてもらう必要があることから、県は希望者に食事や日用品などを自宅に届けるサービスを急きょ始めました。

レトルト食品やティッシュペーパーなどの日用品に加えて、1日3食分の冷凍のおかずを届けるほか、保健所を通じて抗原検査キットも配っています。

配送の希望は直接電話で受け付けていて、27日の時点で70人余りが申し込んでいるということです。
県医療危機対策本部室の萩原竜太郎担当課長は「年末の繁忙期で、配送業者を探すのは大変でしたが、なんとか体制を作りました。自宅待機の人たちに協力してもらえるようできるかぎりのことをしていくしかない」と話していました。

黒岩知事「保健所が濃厚接触者にかかりきり」

神奈川県の黒岩知事は、今後、県内でもオミクロン株の市中感染者が出ることが避けられず、3日間平均で20人になった場合、その3週間後には新規感染者が2000人を超える可能性があるという見通しを示しました。

そのうえで、「水際対策のために、保健所が濃厚接触者にかかりきりになっているので、今後は、こうした状態を変えていく必要がある。また、今までは感染者が少なく余裕があったので、宿泊療養施設の一部を濃厚接触者の待機用に提供してきたが、感染が広がればすぐに破綻する状態がみえてきている」と述べました。