生活に困窮する女性の相談会 新型コロナの影響長期化で 東京

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、収入が減少するなどして生活が苦しくなっている女性からの相談に応じる相談会が東京・新宿区で開かれました。

これは弁護士や支援団体のメンバーなどでつくる実行委員会が25日から東京・新宿区で開いたものです。

相談をしやすいように対応するのはすべて女性のスタッフで25日はおよそ100人が参加しました。

相談会は午前11時から始まり、1日で20代から70代まで合わせて83件の相談が寄せられました。

実行委員会によりますと非正規雇用の女性からの相談が多く「収入の減少で生活費が足りなくなり困っている」、「仕事を失い再就職の活動をしているが、子どもの面倒をお願いできる人がいない」などの声が聞かれました。
会場には野菜や果物などの食料や生理用品などの生活必需品が用意され、無料で配布されています。

内閣府によりますと労働者のうち、非正規雇用で働く人の割合は去年、男性は22.2%に対して女性は54.4%と半数に上っています。

実行委員会の吉祥眞佐緒さんは「男性の相談員では生活や健康などの相談をしにくいという声があり今回、女性の支援者で相談会を開いています。1人で悩まずに気軽に相談してほしい」と話しています。

この相談会は26日も午前11時から午後4時まで、東京・新宿区の区立大久保公園で開かれます。

非正規雇用の女性 転職活動が長期化

新型コロナウイルスの影響で収入が減少し新たな仕事を探している非正規雇用で働く女性のうち、転職活動が半年以上となっているのは20%余りに上ることが民間の研究所の調査でわかりました。

希望の条件に沿う求人がなかったり応募しても採用されなかったりするケースも多く厳しい実態が浮き彫りとなっています。

この調査は「野村総合研究所」がことし5月から8月にかけてパートやアルバイトで働く20歳から59歳の女性を対象にインターネット上で行いました。

それによりますと新型コロナウイルスの影響でシフトが減少し転職を希望していると回答したのは2060人でこのうち、実際に仕事を探しているのは642人、率にして31.2%でした。

仕事を探す転職活動の期間を聞いたところ、
▽「半年以上」が23.4%と最も多く、
▽「4か月から5か月」が10.1%、
▽「2か月から3か月」が23.1%、
▽「1か月」が17.1%などとなっています。

仕事を探す苦労について複数回答で聞いたところ、
▽「希望する条件に合う求人が見つからない」が70.2%、
▽「新しい仕事を探す意欲を維持することが難しい」が35.5%、
▽「応募しても採用されない」が26.6%となっています。

「野村総合研究所」の武田佳奈上級コンサルタントは非正規雇用で働く男性も女性と同じように厳しい状況にあるとしたうえで「失業者への支援策は国などから打ち出されているが収入が減少し生活が苦しくなっていても仕事は失っていないので支援が届きにくい。新たな仕事につけるよう転職活動の支援だけでなく職業訓練や生活のサポートも充実させていく必要がある」と話しています。

20代パート女性「仕事あっても生活ギリギリの人に支援検討を」

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、パートで働く20代の女性は収入減少による生活の困窮と新たな仕事が思うように見つからないことに苦しんでいます。

衣料品の販売店で正社員として働き1か月の収入は手取りで16万円でした。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて去年の春以降店が営業できない状況が続きました。

女性によりますと休業していた時は1か月の給料が8万円しか振り込まれない時もありました。

その後も収入が元に戻る見通しがたたなかったためほかの仕事を探すことを決めました。

収入が減り生活が追い詰められる経験は二度としたくないと考え、感染拡大の影響を受けないと考えた業種に絞って仕事を探しました。

そして去年10月から物流会社の事務職のパート従業員として働き始めました。

1週間に5日働き、採用面接などの際に会社から「新型コロナの影響は少なく安定した収入は確保できる」と説明され安心したといいます。

残業もあったため1か月の収入は手取りでおよそ18万円と正社員として働いたときより多くなった時もあったといいます。

しかし、緊急事態宣言などの影響でイベントや行事の開催が減ったため働いていた物流会社では取り扱う積み荷の量も少なくなりました。

業績の悪化で女性の収入にもすぐに影響が出てことし春ごろからシフトが減り手取りが14万円ほどに落ち込んだ状況が続いています。

1人暮らしのためおよそ4万円の家賃をはじめ、光熱費や車のローンやガソリン代などをあわせると生活をするための固定費は毎月、およそ10万円は必要です。

残りの4万円を食費や携帯電話代などにあてますが、どれだけ節約しても赤字になってしまう月もあるといいます。

女性は「将来のために貯金をしたくてもできず、何をするにしてもお金のことを考えてしまいます。自分に余裕がなくなっていることがつらく、自分が情けないです」と涙ながらに話していました。

今の仕事では生活が厳しいため4か月ほど前から新しい仕事を探しています。

しかしハローワークやインターネットなどで企業などの求人をみていますが、求人の多くは収入が今と同じ水準で再就職できたとしても生活を続けることが難しいと感じています。

転職の活動を続けることにしていますが、安定した仕事が見つかる見通しはたっていません。

女性は「仕事があっても生活がギリギリの人にもさらに支援を検討してほしいし、この苦境を知ってほしい」と話していました。