東京五輪・パラ 選手村マンション購入者が提訴 引き渡し遅延で

東京オリンピック・パラリンピックの延期によって選手村を改修して分譲されるマンションの引き渡しが1年程度遅れることについて、購入した人たちが売り主である10の企業に対し、契約どおり再来年3月までの引き渡しを求める訴えを起こしました。

東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、東京・中央区の晴海地区に整備されるマンションを購入した29人です。

マンションは東京オリンピック・パラリンピックで選手村として使われた建物を改修して整備され、再来年3月までに引き渡される予定でした。

しかし、大会の延期に伴って東京都が建物を貸し出す期間を延長してほしいと売り主である企業側に申し入れ、購入者への引き渡しは1年程度遅れる見通しとなりました。

このため購入者たちは「大会が延期になった場合まで都に建物を提供する義務はなかった。引き渡しを遅らせないための努力も尽くしていない」と主張して、売り主である10の企業に対し、契約で定められている再来年3月までに引き渡すか、遅れによって生じる損害として合わせて8000万円の賠償を求めています。

訴えについて企業側の広報を担当する三井不動産はNHKの取材に対し「訴状が届いておらず、事実を確認していないため回答を差し控える」としています。

また、都に貸し出す期間を延長したことについては「都による再開発事業で、選手村の利用が前提だと考えている。都との協議や購入者との契約に関する個別の内容については、回答を差し控える」としています。

購入者「説明も謝罪もなく 失望と憤り」

原告の1人で、マンションを購入した50代の男性は「子どもも独立したので、家をダウンサイズしようと、もともと住んでいた分譲マンションを売ってローンを組みました。今は賃貸に住んでいるので、引き渡しが遅れると家賃もよけいにかかります。建設中の建物を見に行っても、工事の期間を短くしようと努力しているような印象はなく、気に入って契約したのに説明も謝罪もないことに失望と憤りを感じています」と話していました。

また、購入者側の代理人で、自身もマンションを購入した轟木博信弁護士は「企業側は追加の賃料41億円を都からもらっていて、大会の延期という政治的な意思決定の影響が購入者にだけ押しつけられている。これまでに納得がいく説明も補償の提案もされていない。私自身、引き渡し予定だった再来年に子どもたちが小中学校に入学するので、引き渡しが遅れると、1年だけ別の学校に通ってから転校ということになる。子どもたちにも申し訳ない思いだ」と話していました。