北朝鮮工作船と海保巡視船の銃撃戦から20年 海上保安官ら証言

九州南西沖の東シナ海で、海上保安庁の巡視船と北朝鮮の工作船が銃撃戦となった事件から、22日で20年です。

当時、対応にあたった海上保安官は、正当防衛射撃など、法律にのっとった対応が紛争や国際的な批判を招かず全容の解明につながったとして、尖閣諸島沖での警備など、現在の水際の対応に経験を生かしていくべきだとしています。

平成13年12月22日、鹿児島県奄美大島沖の東シナ海で海上保安庁の巡視船と北朝鮮の工作船が銃撃戦となり、工作船は自爆して沈没し10人全員が死亡、巡視船の乗組員3人も顔や腕などにけがをしました。

事件から22日で20年となり、当時、対応にあたった現役や元職の海上保安官がNHKの取材に応じました。

現場に派遣された巡視船「いなさ」の航海長だった白武敏美さんは、工作船に正当防衛射撃を行った状況について「火花が飛んで、音もして、撃たれたことが分かった。本部から射撃の命令が入り、撃つことに集中した。国と国との紛争になるおそれもある中で、法律に基づく対応は肝に銘じていた」と振り返りました。

また、東京の対策本部で全体調整にあたり、その後、長官も務めた岩並秀一さんは「国内法と国際法に従った対応によって、銃撃戦になっても国際的な批判を招かず、他国の協力を得て全容の解明にもつながった。法執行の意義が示された事案だった」と述べました。

そのうえで「日本の海を取り巻く状況は、尖閣諸島の問題や日本海での外国漁船の違法操業など、一層厳しくなっている中、法律にのっとった対応が極めて重要だ」として、現在の水際の対応に経験を生かしていくべきだと強調しました。

専門家「適切な対応」「残された課題」

国際海洋法が専門の、神戸大学の坂元茂樹名誉教授は「海上保安庁は法律に基づいて正当な手順を踏んで武器を使用していて、適切な対応を行ったと評価できる。手順を踏み、過度な武器の使用を避けるという当時の姿勢は、現在の日本海での外国漁船の違法操業や、尖閣諸島の問題への対応でも見受けられる」と述べました。

一方、国際海洋法が専門で、明治学院大学の鶴田順准教授は「工作船への対応は実質的に国家安全保障に関わることで、警察機関による法執行でどこまで対応するのかという課題が、20年前の事案で具体的な形で明らかになった。日本と外国が対じするような事案にどう対応するのかの整理はまだついておらず、残された課題だ。法執行という活動がどこまでも何でもできるわけではないことは、おさえておく必要がある」と話していました。

海上保安庁 工作船の内部などオンライン公開

平成13年に九州南西沖の東シナ海で、海上保安庁の巡視船と北朝鮮の工作船が銃撃戦となった事件から22日で20年となり、工作船の内部などをオンラインで見ることができるホームページが新たに公開されました。

平成13年12月22日、鹿児島県奄美大島沖の東シナ海で海上保安庁の巡視船と北朝鮮の工作船が銃撃戦となり、工作船は自爆して沈没し10人全員が死亡、巡視船の乗組員3人も顔や腕などにけがをしました。
引き上げられた工作船や船内から見つかった地対空ミサイルなど、およそ100点の資料は、横浜市にある海上保安庁の資料館に展示されていますが、風化を防止しようと、資料をオンラインで見ることができるホームページが22日公開されました。

ホームページでは、画像化された資料と説明を一つずつ見ることができ、実際には立ち入れない工作船の内部も360度見渡せるようになっています。

また、巡視船が工作船を停船させるためにとった行動や銃撃を受けた状況について、船の位置関係をCG化するなどして示した動画も掲載され、年度内に英語版も公開することにしています。

ホームページを手がけた海上保安協会の宮野直昭常務理事は「いつでもどこでも、何回でも見ることができるので、多くの人に当時の状況を理解してもらいたい」と話していました。