欧州でコロナ感染再拡大 オミクロン株も広がり各国が規制強化

ヨーロッパの多くの国では、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、変異ウイルスのオミクロン株による感染も広がっていて、各国が相次いで対策を打ち出しています。

このうち、これまでにオミクロン株の感染者が100人以上確認されているドイツでは、ショルツ首相が21日、感染の広がりに懸念を示したうえで、対策として、今月28日以降、サッカーの試合などの大規模なイベントは無観客以外、開催を認めないと発表しました。

さらにワクチンを接種した人が参加して私的な会合を開く際には、最大10人までに制限するとしています。

ショルツ首相は「次の感染の波に目を閉ざすことはできない」と述べ、規制強化に理解を求めました。

一方、21日に1日の新規感染者数が7万人を超えたフランスでは、オミクロン株による感染も広がっていて、政府によりますと、特に深刻なパリでは新規感染者の3人に1人がオミクロン株によるとみられるということです。

フランス政府は、飲食店や長距離を移動する交通機関を利用する際に、ワクチンの接種証明の提示を義務づける法案の提出を目指していて、アタル報道官は21日、年明けに予定していた法案の提出を前倒しし、今月27日に臨時の閣議に諮る方針を明らかにしました。

アタル報道官は「国内では1万6000人近くの新型コロナの患者が入院し、3000人以上が集中的な治療を受けていて緊迫した状態だ。オミクロン株を前に、われわれには一刻の猶予もない」と説明しました。

このほか、EU=ヨーロッパ連合の域内では水際対策を強める動きもあり、イタリアとギリシャは、EU各国から訪れる人に対してもワクチン接種の有無にかかわらず陰性証明の提示を義務づけています。

さらに、年越しのイベントの中止など、各国は対策強化を余儀なくされています。

EU 接種証明は9カ月有効

EU=ヨーロッパ連合の加盟国がワクチンの追加接種を進める中、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は、域内で発行している接種証明の有効期間を、来年2月から9か月とすることを決めました。

有効期間内に追加接種を受けなければ、接種証明は失効したとみなされます。

EUで保健政策を担当するキリアキデス委員は「今、重要なのは、追加接種が少しでも早く進み、できるだけ多くの人が守られることだ」とコメントしています。

EUは、域内の自由な移動のためことし7月にワクチンの接種証明や陰性証明などを組み合わせた加盟国共通のデジタル証明書を導入し、域内でこれまでに延べ8億人余りが利用したということです。