岸田首相 統計二重計上“専門的知見で精査 国民の信頼確保を”

国土交通省が建設業関連の統計のデータを二重に計上していた問題をめぐり、岸田総理大臣は参議院本会議で、経緯や原因を検証するため第三者委員会で1か月以内に報告を取りまとめたうえで専門的な知見による精査を行って政府の統計に対する国民の信頼を確保していく考えを示しました。

参議院本会議では、昨年度・令和2年度決算の概要の報告と質疑が、岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して行われました。

この中で岸田総理大臣は、国土交通省が建設業関連の統計のデータを二重に計上していた問題をめぐり「統計は現在・未来の国民に対する政府の説明責任を果たすために重要であり、充実した決算審議には統計への信頼性が重要だ。今回の事態は大変遺憾であり、徹底的に経緯や原因の検証を行う」と述べました。

そのうえで「国土交通省に対して第三者委員会を立ち上げ、1か月以内に報告を取りまとめ再発防止に取り組むよう指示した。取りまとめのあと、統計委員会の専門的な知見による精査を行い政府統計全体に対する国民の信頼を確保するため真剣に取り組む」と述べました。

自殺職員の妻との面会「慎重に対応したい」

また、岸田総理大臣は、森友学園に関する決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの妻の雅子さんとの面会について「ご遺族とは現在も別途の訴訟が継続中であり、原告と被告の立場であるので、直接お会いすることは慎重に対応したい」と述べました。

そのうえで「損害賠償請求を全面的に認めるにあたり、財務省に対し、今後もさまざまな場において真摯(しんし)に説明を尽くしていくよう指示したところであり、今後も必要に応じてしっかりと説明していく」と述べました。

布マスク “15% 約1100万枚が不良品”

さらに岸田総理大臣は、新型コロナウイルス対策として政府が調達した布マスクの在庫について、厚生労働省が去年4月から5月にかけて検品したところ、およそ7100万枚のうち15%に当たるおよそ1100万枚が不良品だったと説明しました。

そして、厚生労働省による検品費用がおよそ6億9200万円、その後に納入事業者が実施した検品費用がおよそ10億7000万円、そして、検品に時間がかかったことに伴う追加費用が3億3000万円に上ったことを明らかにしました。

そのうえで、岸田総理大臣は「品質基準などを明確に定めた仕様書を作成していなかったことなどから不良品が生じた。布製マスクの在庫は、介護施設などへの随時配布をはじめ、費用対効果の観点から適切な方策を検討していきたい」と述べました。