3人の死刑囚に刑を執行 おととし12月以来 岸田内閣の発足後初

平成16年に兵庫県加古川市で親族など7人を殺害したとして殺人などの罪に問われ、死刑が確定していた藤城康孝死刑囚ら3人の死刑囚に刑が執行されました。
死刑の執行は2019年12月以来で、岸田内閣の発足後、初めてとなります。

死刑が執行されたのは、藤城康孝死刑囚(65)と高根沢智明死刑囚(54)、小野川光紀死刑囚(44)の3人です。

藤城康孝死刑囚(65)は平成16年に兵庫県加古川市で隣の家に住んでいた伯母や近所の一家など男女7人を刃物で刺して殺害したとして殺人などの罪に問われました。

1審と2審がいずれも死刑を言い渡したのに対し被告側は上告し、「犯行当時は心神耗弱の状態だった」などと主張して、刑を軽くするよう求めました。

平成27年、最高裁判所は「被害者とのトラブルにより怒りを募らせ、数年来の計画どおりに殺害を実行した被告の行動は首尾一貫しており、動機も理解できる」として完全な責任能力があったと判断しました。

そのうえで「被害者の命乞いを顧みないなど冷酷な犯行というほかなく、刑事責任は重大だ」と述べて上告を退け、死刑が確定していました。

高根沢智明死刑囚(54)と小野川光紀死刑囚(44)は、平成15年に群馬県内の2つのパチンコ店の従業員2人を相次いで殺害し、店の鍵や現金を奪った強盗殺人や、店に忍び込み300万円を盗んだ罪などに問われました。

高根沢死刑囚は、1審で死刑を言い渡されたあと「事件を思い出すのがつらく死んでわびたい」として弁護士による控訴を取り下げ、平成17年に死刑が確定しました。

その後、弁護士は「控訴を取り下げたときは正常な判断ができない精神状態だった」として裁判を続けるよう求めましたが、最高裁判所は「裁判を再開する理由はない」と判断して弁護士の申し立てを退けました。

一方、小野川死刑囚は1審と2審で死刑を言い渡され上告しましたが、平成21年、最高裁判所は「定職に就かず、パチンコ店に入り浸るうちに金に困って犯行に及んだ。2人の尊い命を奪った責任は重大だ」として上告を退け、死刑が確定していました。
死刑の執行はおととし12月以来で、岸田内閣の発足後、初めてとなります。

古川法相「慎重な検討加えたうえで執行を命令」

古川法務大臣は21日午後、臨時に記者会見し「いずれの事件も誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪うなどした極めて残忍な事案であり、命を奪われた被害者はもちろんご遺族の方々にとっても無念このうえない事件だ」と述べました。

そのうえで「裁判において十分な審理を経たうえで最終的に死刑判決が確定したものだ。法務大臣として、慎重なうえにも慎重な検討を加えたうえで、死刑の執行を命令した」と述べました。

一方、大臣就任後初めての執行となったことを問われたのに対し「死刑は人の命を絶つという極めて重大な刑罰なので慎重な態度で臨む必要がある。同時に法治国家なので確定した判決の執行は厳正に行わなければならない。法務大臣として、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めに従って、慎重かつ厳正に対処しなければならない」と述べました。

木原官房副長官「凶悪な犯罪者には死刑やむをえず」

木原官房副長官は閣議のあとの記者会見で、死刑制度の在り方について「死刑制度の存廃は、わが国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題だ。国民世論に十分配慮しつつ、慎重に検討すべき問題だと認識している」と述べました。

そのうえで「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪は、死刑もやむをえないと考えている現状もある。凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況などに鑑みると、凶悪な犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむをえず、死刑を廃止することは適当でないと考えている」と述べました。

収容中の死刑囚は107人に

法務省によりますと、今回の執行により全国の拘置所に収容されている死刑囚は107人となりました。

いわゆる「袴田事件」で死刑が確定した袴田巌さんは平成26年に釈放が認められています。

再審・裁判のやり直しを求めている人は59人だということです。

執行に賛否の声

3人の死刑が執行されたことを受けて、死刑制度に反対する国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」は「死刑執行はすべての政府が順守すべき国際人権基準を無視したもので『人権という普遍的価値を守り抜く覚悟』を政策として掲げた岸田内閣の基本方針と矛盾する。政府は、生きる権利をはじめとする人権保障の大原則に立ち戻り、速やかに死刑の執行を停止し、廃止に向けた全社会的な議論を直ちに開始すべきだ」とする抗議声明を出しました。

一方、被害者の支援にあたる「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は「死刑制度は人の命を絶つ極めて重大な刑罰で、慎重な態度で臨む必要があることは言うまでもない。しかし、死刑制度は最高裁判例でも合憲とされており、法定刑に死刑が組み込まれている犯罪被害者遺族のほとんどが死刑制度に賛成して一日も早い執行を願っている。法律に従い執行されるのは当然のことで、今後も法律が順守されることを強く望む」とする声明を出しました。