イギリス 感染者 一日9万人超も 英首相「さらに厳しい規制も」

クリスマス休暇を前に、イギリスでは、新型コロナウイルスの一日当たりの新たな感染者が9万人を超える日も出ていることから、ジョンソン首相は、状況によっては、今後、さらに厳しい規制を行う可能性もあるという考えを示しました。

イギリスでは、新型コロナウイルスの一日当たりの新たな感染者が20日、再び9万人を超えたほか、変異ウイルスのオミクロン株の感染が確認された人は、累計で、4万5000人を超えており、ロンドンでは、感染者の87%はオミクロン株によるとみられています。

ロンドンがあるイングランドでは、屋内施設の多くでマスクの着用を義務づけるなどの対策がとられていますが、感染拡大を抑えるには不十分だとする専門家の見方も強まっており、ジョンソン首相は、20日「必要であれば、市民を守るため、さらなる措置をとる可能性を排除しない」と述べました。

ただし、現時点では、新たな規制は行わず、状況を注視するとしています。

一方、地元メディアは、政府が、クリスマス休暇のあと、家族以外の人たちとの屋内での面会を禁止する措置などを検討していると伝えていますが、新たな規制には与党・保守党内でも、閣僚を含めて反対の声が強いことから、不祥事などで求心力が低下したジョンソン首相は難しい判断を迫られています。

イベントの中止など相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、イギリスでは、イベントの中止などが相次いでいます。

ロンドンのカーン市長は20日、市内中心部のトラファルガー広場で今月31日に予定されていた新年を迎えるイベントを取りやめると発表しました。

イベントにはおよそ6500人が参加する予定でしたが、市民の安全を最優先にした結果だとしています。

カーン市長は、声明で、ロンドンやイギリス国内の感染は、記録的に高いレベルにあり、変異ウイルスの感染拡大を遅らせ、医療がひっ迫しないようあらゆることをしなくてはならないと強調しました。

このほかにも、ミュージカルやバレエの公演も、出演者やスタッフが感染し、休演に追い込まれるなど、影響が広がっています。

ロンドンでは、医療従事者が感染し、業務に携われないケースも増えていて、カーン市長は今月18日、「重大事態」を宣言しました。

これによって、医療機関や警察、消防などが連携を一層強めて、柔軟に対応できるようにするということです。

また、公共放送BBCによりますと、イギリス王室のエリザベス女王は例年、クリスマスの時期は東部のサンドリンガムに滞在していましたが、感染の拡大を受けて、去年に続いて取りやめ、現在、滞在しているロンドン郊外のウィンザー城で過ごすということです。

女王は、クリスマス前に予定していた恒例の家族との昼食会も中止すると伝えられています。