失業給付など支払う事業 保険料率 0.6%へ引き上げで最終調整

雇用調整助成金の支給額が急増し雇用保険の財源不足が課題となる中、政府は現在、労使で賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率を来年10月から0.6%に引き上げる方向で最終調整に入りました。

新型コロナの影響の長期化により、去年2月からこれまでの雇用調整助成金などの支給額は5兆円を超えていて、従業員と企業、それに国が拠出する雇用保険は、財源不足が課題となっています。

このため政府は、雇用保険のうち、従業員と企業の労使で、現在、賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率を、来年10月から0.6%に引き上げる方向で最終調整に入りました。

政府は、当初、来年4月から0.5%に引き上げることを検討していましたが、与党内から、来年夏に参議院選挙を控える中、「新型コロナの出口も見えない中で国民に追加の負担を強いるべきではない」といった意見が出されたことから、来年度前半は据え置き、引き上げ時期を遅らせることになりました。

一方、企業のみが負担し、雇用調整助成金などの財源となる事業の保険料率は、来年4月以降、賃金の0.3%から0.35%に引き上げるほか、労使が負担し育児休業給付などを支払う事業は0.4%に据え置く方向で最終調整を進めています。

厚生労働省は、審議会での議論も踏まえて保険料率を最終決定し、来年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出することにしています。