リニア中央新幹線 “水資源影響 十分な対策で抑制”有識者会議

水資源に悪影響が出ることへの懸念から静岡県が着工を認めていない「リニア中央新幹線」について、国の有識者会議は、十分な対策をとれば影響を抑えられるなどとした中間報告をまとめました。ただ静岡県は、JR側とさらに協議を行うとしていて、静岡県内での着工のめどは依然立っていません。

有識者会議 “工事の湧水 大井川に戻せば水量維持可能”

東京 品川と名古屋を最短40分で結ぶとされる「リニア中央新幹線」について、JR東海は2027年の開業を目指していますが、静岡県は、地下のトンネル工事によって住民の生活を支える大井川の水量が減るなどの悪影響が出る懸念があるとして、県内での着工を認めていません。

こうした中、国土交通省は去年4月、仲裁に入る形で有識者会議を設置し、19日の会合で議論の結果を「中間報告」にまとめました。

それによりますと、トンネル工事に伴う大井川への影響については、トンネル内に湧き出した地下水の通り道を造り、すべての量を大井川に戻せば、中流や下流での水量は維持されるなどとしています。

そのうえでJR東海に対し、静岡県や流域の住民らと双方向のコミュニケーションを十分に行い、不安や懸念が払拭(ふっしょく)されるようにすべきだとして、丁寧な対応を求めました。

中間報告は有識者会議の設置から1年8か月を経てまとまりましたが、静岡県は、JR側とさらに協議を行うとしていて、県内での着工のめどは依然立っていません。

有識者会議 座長「JR東海は水資源利用者にしっかり対応を」

会合のあと、有識者会議の福岡捷二座長は記者会見で「静岡県がJR東海に対して言っていた、工事に伴うリスクの説明やそのモニタリングが不十分だというのは、同意するところだ。JR東海は、こうしたことを実行するとともに、中間報告も活用しながら、水資源の利用者にしっかり対応してもらいたい」と述べました。

静岡県副知事「中間報告 JR東海との対話再開に重要な資料」

会合のあと、静岡県の難波喬司副知事は記者会見で「これまでいろんな懸念について意見を言わせていただき、中間報告ではかなりの部分を反映してもらった。必ずしも100%評価できるわけではないが、全体としては十分受け入れられる内容だ。中断していたJR東海との対話を再開するための重要な資料が作成されたと思う」と述べました。

JR東海副社長「静岡県とも相談 懸念を払拭していく」

会合のあと、JR東海の宇野護副社長は記者会見で「1年8か月にわたり、第一人者の専門家からさまざまな助言や指導をいただき、検討内容も深いものになった。中間報告を踏まえ、静岡県ともご相談させていただきながら、地域の方々の不安、懸念をできるだけ払拭していく方向で行動していきたい」と述べました。

リニア中央新幹線 静岡県とJR東海との間の問題は

リニア中央新幹線は、時速500キロで走行し、東京・品川と名古屋を最短40分で結ぶ、次世代の交通の大動脈とされています。

2014年10月、国土交通大臣がこの区間の工事実施計画を認可したことを受けて、JR東海が工事に着手しました。
工事費はおよそ7兆円の見込みで、2027年の開業を目指しています。

しかし、静岡県内の工事をめぐって、許可の権限を持つ県とJR東海の協議が難航し、計画どおりの開業は難しくなっています。

静岡県側は、地元の大井川の地下で行われるトンネル工事によって、川の水が減少し、流域の水資源や生態系に悪影響が出る懸念があると指摘しています。

工事が実質的に進まない状況が続く中、国土交通省は、リニアの早期開業の実現と、水資源などへの影響回避の両立を図る必要があるとして調整に乗り出し、去年4月に有識者会議を設置しました。

そして、川の水量の減少を防ぐ対策や、中流や下流の流域の地下水への影響を中心に、科学的・工学的な議論を深め、19日に、十分な対策をとれば影響は抑えられるなどとした中間報告をまとめました。

ただ、静岡県は、JR側とさらに協議を行うとしています。

今後、県が独自に設けている「専門部会」で、トンネル工事による大井川上流への影響などについても議論する方針で、県内での着工のめどは依然立っていません。