大阪 ビル火災 現場検証 微量の油検出 61歳男 殺人と放火疑い

18日、大阪・北区の繁華街のビルに入るクリニックから出火し24人が死亡した火災で、現場からごくわずかな量の油が検出されていることが捜査関係者への取材でわかりました。

警察は火をつけたとみられる61歳の男が、可燃性の液体を持ち込んだ可能性があるとみて調べています。

17日午前10時20分ごろ、大阪・北区曽根崎新地の8階建てのビルの4階にある心療内科と精神科などが専門のクリニック「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」で起きた火災では28人が病院に搬送され、このうち24人が死亡しました。

警察は殺人と放火の疑いで捜査しています。

現場では、18日午前10時ごろから警察と消防合わせておよそ20人がビルの中に入り、現場検証を行っています。

捜査関係者などによりますとクリニックの入り口付近からは燃え残ったごくわずかな量の油が検出されているということです。

これまでの調べでクリニックに入ってきた男が、持っていた紙袋を暖房器具の近くに置いて蹴り倒し袋から液体が漏れ出して燃え上がるのが目撃されているということで、警察は男が可燃性の液体を持ち込んだ可能性があるとみて調べています。

捜査関係者によりますと火をつけたのはクリニックに通院していた、大阪・西淀川区の61歳の男とみられ、病院に搬送されていて容体はかなり危険な状態だということです。

また、火災の現場からおよそ3キロ離れた男の自宅では、30分ほど前に放火によるとみられるぼやがあったということで、警察と消防は自宅でも現場検証を行っています。

警察はビルの火災に至るまでの詳しいいきさつを調べています。

ぼやの自宅でも現場検証

火をつけたとみられる61歳の男の自宅で直前にぼやがあったことを受けて、警察と消防は午前9時半すぎから大阪・西淀川区にある男の自宅でも現場検証を始めました。

建物の写真を撮るなどして、当時の状況を詳しく調べています。

患者「自分が巻き込まれていてもおかしくなかった」

クリニックに通院していた大阪市内に住む会社役員の51歳の男性は「当初、きのう午前10時にこのクリニックに来る予定でした。仕事の関係で、急きょ来れなくなりましたが、自分が巻き込まれていてもおかしくなかったです。院長の西澤先生は最後まで話をしっかり聞いてくれましたし、ほかのスタッフの方の対応もよく、トラブルなどは起きないのではないかと思います。本当に言葉が出ません」と話していました。

また、男性は、通院している間に知り合った別の患者に17日、LINEでメッセージを送りましたが、今のところ反応がないということです。

男性は「これまでにも数日間、既読がつかないことはありましたが、3度メッセージを送っても既読がついていないので心配です」と話していました。

クリニックに通っていた人たちは…

クリニックに通院しているという20代の男子大学生が18日午前、現場を訪れ、静かに手を合わせていました。

男子大学生は「院長は優しい先生で、スムーズに薬を処方してくれました。トラブルは記憶にありません。きのうは12時くらいに薬を受け取りに行く予定でした。先生の無事を祈っています」と話していました。

クリニックに通っていたという大阪・枚方市の55歳の男性は「院長先生の診断、カウンセリングのおかげで僕の人生は変わった。丁寧に聞き取りをしてくれ、色々な気づきを与えてくれる、本当に優しい方だった。先生の人格を慕って通う患者は多かったと思う。胸が痛みますし、悲しい思いでいっぱいです」と話していました。

クリニックに通院しているという39歳の自営業の男性は「3年前から2週間に一度、診察を受けに通っていましたが院長の先生は信頼できる優しい先生でした。火災の4日前の月曜日に最後に会った時も私が『コロナの影響で収入が減って苦しい』と相談をすると、無言で肩に手を当てて労ってくれました。このクリニックは、一歩前に進めると思える場所だった。本当に残念です」と話していました。

クリニックにことし5月ごろまで通っていたという奈良県に住む26歳の会社員の女性は「院長先生は、自分の意思を尊重してくれて話しやすく信頼できる人でした。自分が通っていたクリニックでこんなことが起きて悲しいです。亡くなられた方に『ゆっくりお休みください』と思いながら手を合わせました」と話していました。

クリニックに通う大阪市の56歳の男性は「自分が会社に行けなくなったときに、院長先生が『何もしなくていいからゆっくり休んでください』と声をかけてくれたことが心に残っていて、助けられました。きのう来ていたら私も死んでいたと思います。顔見知りも亡くなってしまったと思うのでつらいです。犯人が腹立たしいです」と話していました。

献花に訪れた人たちは…

現場近くに住む50代の女性は18日午前、ペットボトルのお茶をそなえ手を合わせていました。

女性は「火事のことを知って頭が真っ白になり、むなしさを感じています。放火という話も出ていて憤りを感じています。少しでも命が助かってほしいと思います」と話していました。

火災のニュースを見て現場のビルに献花に訪れたという東大阪市に住む34歳の介護士の男性は「こういう事件があるたびに悲しくなります。温かいものをと思って、缶コーヒーをお供えしてきました。どうか安らかに、もうこんなことが起こらないようにと祈ってきました」と涙ぐみながら話していました。

献花に訪れた大阪市の50代の女性は「亡くなった人々はどんなに怖かったかと思います。自分は何もできないので、花を手向けにきました。煙の怖さを知りました。自分が通っている病院も同じような造りなので、きょう通院したときに避難経路を確認してきました」と話していました。

現場のビルの前で手を合わせていた東大阪市の69歳の男性は「自分の家族だったらと思うとひと事だと思えません。亡くなった方の身内の方が今後どのように生きていくのかを考えるとつらくてたまらず、昨夜は寝られませんでした。何でこんな事が起こるのか、とても悲しいです」と涙ぐみながら話していました。