中外製薬 新型コロナ軽症患者用飲み薬の開発終了 承認申請断念

新型コロナウイルスに感染した軽症の患者用に開発を進めてきた飲み薬について、製薬大手の中外製薬は開発を終了し、厚生労働省への承認申請を断念したことを発表しました。

この薬は、C型肝炎の治療薬としてアメリカの製薬会社が開発を進めてきた「AT-527」と呼ばれる抗ウイルス薬で、スイスの製薬大手「ロシュ」などが新型コロナウイルスに感染した軽症患者の重症化を防ぐ飲み薬としての開発を進めていました。

中外製薬は、日本国内での治験を担当していましたが、ことし10月、海外で行われてきた治験の中間結果で、軽症や中等症の患者でウイルス量の明らかな減少が示されなかったことなどから、この薬の開発を終了し、厚生労働省への承認申請も断念したということです。

これに伴って、厚生労働省は中外製薬に対して、この薬の開発にかかる補助金4億5800万円の一部について返還を求めることにしています。

中外製薬は「新型コロナウイルスに対する治療の選択肢の拡充を目指して開発を進めてきましたが、当社による開発を終了することとなりました。開発にお力添えくださった患者さん、医療関係者をはじめとする皆様に感謝申し上げます」とするコメントを出しました。