“オミクロン株” ワクチン供給は? 3回目接種で効果は?

新たな変異ウイルス「オミクロン株」が多くの国や地域で確認されています。

感染力が強そうだということが徐々に見えてきた一方、感染しても軽症だという報告や、海外からは既存のワクチンの追加接種で十分効果があるという見方も出てきました。

世界で感染が拡大する中、日本はワクチンの3回目接種に向けて供給体制を急いでいます。

英国 一日のコロナ感染 7万人超 “オミクロン株”も急増

「30分前から並んでいます。クリスマスを前に、年配の親戚と一緒に過ごす機会などがたくさんあると思うので、良いタイミングだと思って来ました」。

イギリス・ロンドン市内のワクチンの接種センターに14日、追加接種を受けに来ていた24歳の男性の話です。このセンターには少しでも早く追加接種を受けようとおよそ150人が沿道に長い列を作っていました。

イギリスでは15日には、新型コロナウイルスの一日の新たな感染者が7万8610人と、前の日に比べて2万人近く増えました。一日の感染者の数としてはことし1月上旬のおよそ6万8000人を上回り、これまでで最も多くなりました。変異ウイルスのオミクロン株への感染が確認された人は累計で1万人を超えていて、ロンドンでは、感染者全体のおよそ60%を占めているとみられています。

ウィッティ首席医務官は15日の記者会見で、オミクロン株の感染が広がるスピードが速いとして「本当に深刻な脅威だ」と述べ、入院している人は、現在は横ばいとなっているものの、ロンドンなど一部の地域では、増えてきていると指摘しました。そして、クリスマス後には、オミクロン株に感染して入院する人は大きく増加するおそれがあり、医療がひっ迫する事態につながりかねないと懸念を示しました。

イギリス政府は、オミクロン株には追加接種が必要だとして、今月末までに18歳以上のすべての対象者に行う方針を掲げています。

追加接種を強化するためボランティアや軍も動員していて、感染拡大のスピードを遅らせたい考えです。

韓国 飲食店の営業規制を再び強化

韓国の保健当局によりますと新型コロナウイルスの新たな感染者は15日、7622人とこれまでで2番目に多くなり、重症者の数は989人と過去最多になりました。

また、変異ウイルスのオミクロン株への感染は、これまでに148人確認されているということです。

感染の拡大を受けて韓国政府は規制を再び強化することを決め、16日午前の対策会議で具体的な内容を発表しました。

それによりますと
▽飲食店の営業時間を午後9時までとするほか、
▽同居する家族を除く私的な集まりの人数を、全国一律に4人までに制限するなどとしています。

これらの措置は18日から来月2日まで取られるということです。

韓国ではワクチン接種が進んだとして先月、政府が規制緩和に乗り出したあと感染が急拡大し、今月6日に規制の緩和を一部見直しましたが、専門家からはより強い措置が必要だという指摘が出ていました。

“オミクロン株” 東京でも女性1人感染確認

一方、日本国内でもオミクロン株の感染が確認されています。

東京都は、海外から帰国して自宅待機中だった20代の女性1人が、16日、オミクロン株に感染していることが確認されたと発表しました。

オミクロン株に感染していることが確認されたのは、都内に住む20代の女性です。
この女性は今月8日にアメリカから成田空港に到着し、入国時の検疫での検査では陰性だったということです。

検疫では、一定期間、自宅で待機することやほかの人と接触しないことなどを盛り込んだ誓約書を提出することになっていて、女性は、自宅で待機していた帰国翌日の9日に発熱の症状が出たということです。

その後、今月13日に新型コロナの感染が判明し、都の健康安全研究センターでゲノム解析を行った結果、16日、オミクロン株の感染が確認されたということです。

都は、この女性と同じ航空機に乗っていた乗客が濃厚接触者にあたるとして現在、確認を進めています。

一方、この女性が帰国した今月8日とその翌日の9日に会っていた都内に住む20代の男性1人が濃厚接触者にあたるということです。

都によりますと、男性は、15日、新型コロナの感染が確認され、現在、オミクロン株かどうか解析を進めているということです。

この男性の家族3人と職場の同僚7人のあわせて10人が濃厚接触者にあたるということです。

また、男性は、今月12日に川崎市の等々力陸上競技場で行われたサッカー天皇杯の準決勝の試合を見に行っていたということで、都は近くで観戦していたおよそ80人の観客に地元の保健所を通じて連絡をとり、検査を受けるよう呼びかけています。

関空の検疫所職員が感染 厚労省が感染ルートなど調査

関西空港の検疫所の職員が、新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」に感染していることが確認されました。検疫所の職員の感染が確認されたのは初めてです。

厚生労働省によりますと、オミクロン株への感染が確認されたのは関西空港検疫所の職員で、今月13日に受けた新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出ていました。

遺伝子検査の結果、16日になってオミクロン株への感染が確認され、現在は医療機関に入院しているということです。検疫所の職員の感染が確認されたのは初めてです。

また、保健所の調査で濃厚接触者と特定されたのは6人で、いずれも職場の関係者だということで、全員、待機施設にいるということです。厚生労働省は、疫学調査の専門家などを現地に派遣し、感染ルートなどを詳しく調べています。厚生労働省は「感染防止対策の徹底を図るととともに再発防止に努めていきたい」としています。

15日までに国内でオミクロン株への感染が確認されていた32人は、いずれも▽空港の検疫所や待機施設で受けた検査で陽性反応が出たか、▽その濃厚接触者でした。

東京都の女性のように入国後の通常の健康観察の対象だった人や、関西空港の検疫所の職員のように直近に海外への渡航歴がない人で確認されたのは初めてです。

ワクチン追加接種 “効果十分高い”

オミクロン株の感染が広がる中、アメリカ政府の首席医療顧問を務めるファウチ博士は15日、変異ウイルスのオミクロン株に対するワクチンの効果は現在使われているワクチンの追加接種によって十分高まるとして「現時点で変異ウイルスに対応した新たなワクチンの接種は必要ない」とする見方を示しました。

それによりますと、現在使われているファイザーやモデルナの新型コロナウイルスワクチンは2回の接種を完了してもオミクロン株に対しては感染や重症化を防ぐ効果が顕著に低下するとしています。

その一方で、複数の初期的な研究の結果として「3回目の追加接種によってウイルスの働きを抑える中和抗体の効果がオミクロン株に対しても大幅に上昇することが示されている」と述べました。

その上でファイザーやモデルナが開発を表明しているオミクロン株に対応したワクチンについて「現時点で、変異ウイルスに対応した新たなワクチンの接種は必要ない」とする見方を示し、あらためて国民に現在使われているワクチンの追加接種を受けるよう呼びかけました。

3回目の追加接種へ

日本も追加接種の準備が進んでいます。

厚生労働省は16日、ファイザーに続き、モデルナのワクチンについて、18歳以上を対象に3回目の接種に使用することを承認しました。

3回目では、2回目までの半分の量を接種し、時期は2回目から6か月以降となります。

▽来年3月から始める職域接種のほか、▽これまでファイザーのワクチンを使っていた自治体の個別接種や大規模接種でも使用し、2回目までと異なるメーカーのワクチンを使う「交互接種」を進める方針です。

3回目の接種は今月から医療従事者を対象に始まっていますが、厚生労働省は都道府県に対し、在庫となっているモデルナのワクチンがあれば医療従事者への接種にも配分できると周知しました。

一部の医療機関では17日にも交互接種が始まる見通しです。

「交互接種」について厚生労働省は3回目の接種を予約する際にファイザーかモデルナか選べるようにしたいとしています。

接種を行っている医療機関や集団接種の会場は市区町村ごとにホームページなどで公表されていますが、どこで、どのワクチンを接種することができるのか、自治体が明示したうえで接種場所を選んで予約するといった方法を想定しているということです。

ただ、ファイザーのワクチンは供給のスケジュールが示されておらず、厚生労働省は一時的に不足するおそれがあると見ていて、ファイザーの希望者が多い場合は接種を待たなければならないケースが出てくる見込みです。

厚生労働省はモデルナのワクチンの有効性や安全性を記したリーフレットを作成し、自治体から接種券を送る際に同封してもらうことにしていて、交互接種への抵抗感を解消し接種が遅れることのないように努めたいとしています。

また職域接種では2回目までと同様にモデルナのワクチンのみを使用するということです。

交互接種 有効性はどの程度?

交互接種をした場合、有効性はどの程度あるのでしょうか。

厚生労働省によりますと、アメリカで18歳以上を対象に行われた研究では、3回ともモデルナを接種した場合、3回目の接種から15日目の中和抗体の値が接種前に比べて10.2倍に上昇したということです。

一方、2回目までファイザーのワクチンを接種した人が、3回目でモデルナを接種すると、中和抗体の値はおよそ31.7倍に上昇したとしています。

これらは、3回とも同じ量で接種した場合のデータですが、日本では、モデルナで3回目の接種をする場合、2回目までの半分の量で接種することになっています。

3回目に半分の量で交互接種を行った場合の有効性に関するデータについて厚生労働省は現時点で示していません。

モデルナ日本法人社長「来週にもデータ発表予定」

モデルナのワクチンの3回目の接種が承認されたことを受けて、日本法人の社長は、世界的に感染が広がっている新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」への効果について、「3回の接種によって中和抗体を十分に上げることができる」と述べ、来週にもデータを発表する予定だと明らかにしました。

先月、モデルナのバンセルCEO=最高経営責任者は、メディアとのインタビューで、現在のワクチンの効果について、オミクロン株では、従来の変異ウイルスより低くなるという見解を示しました。

こうした中、日本法人、「モデルナ・ジャパン」の鈴木蘭美社長は16日、NHKのインタビューにオンラインで応じました。

この中で、3回目の接種によるオミクロン株への効果について、来週にもデータを発表する予定だと明らかにした上で、「現在、把握しているデータでは今のワクチンでも3回の接種によって中和抗体を十分に上げることができる」と述べました。

また、「特にパンデミックのような緊急事態では、国内生産をできることが大切だ」と述べ工場を建設して日本での生産を検討していることを明らかにしました。

米・ノババックスも承認申請

アメリカのバイオ企業、ノババックスは、新型コロナウイルスワクチンの承認を求める申請を厚生労働省に行いました。

承認された場合、ワクチンは3回目の接種などに使用される予定です。

ノババックスは16日、国内での流通を手がける武田薬品工業を通じて、厚生労働省に新型コロナウイルスワクチンの承認を求める申請を行いました。

このワクチンはこれまでに国内で使われているものと異なり、「組換えたんぱくワクチン」と呼ばれるタイプのワクチンで、ノババックスによりますと海外の治験では発症を予防する効果はおよそ90%確認されたということです。

また、国内で20歳以上の日本人、200人を対象に行った治験で重篤な症状は見られなかったということです。

管理の温度は2度から8度で、通常の冷蔵庫で保存が可能とされています。

ノババックスのワクチンは承認された場合、日本国内に来年、1億5000万回分が供給される契約になっていて、今後、山口県の工場で生産され、3回目の接種などに使用される予定です。

国内ではこれまでに
▽ファイザー
▽モデルナ
▽アストラゼネカの3社のワクチンが承認されていて、

申請段階にあるのは
▽アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンに続いて2社目です。

専門家 「3回目の接種で免疫を高めるのが大事」

新型コロナの変異ウイルス、「オミクロン株」について、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「これまで検疫などで感染が確認されており、今のところ、水際対策は功を奏している。この厳しい対策を継続するには濃厚接触者を留め置く場所を確保しないといけないが、感染者がすり抜けて国内に入ってくることでやがては足りなくなるのではないか。濃厚接触者の基準を変更したり、待機期間を短くしたりする可能性もある。今の体制をどこまで継続できるかが課題だ」と指摘しました。

また、ワクチンの効果については「イギリスの状況などを見るかぎり、多くの人がワクチンを打っていても感染が拡大している。デルタ株と比べてワクチンの効果が下がっているということは広がりの状況や実験的なデータからも言える。残念ながらワクチンだけでオミクロン株に対抗するのはなかなか難しい」と述べました。

一方、重症化を予防する効果は一定程度、維持できるとして「第6波がいつ来るのか、またそれがオミクロン株なのか別の変異株なのかはわからないが、一定期間がたつと感染を防ぐワクチンの効果も下がる。3回目の接種で免疫を高め、社会全体で感染をおさえていくのが大事だ」としています。

そして、年末年始に向けては、「年末年始は多くの人が移動し、集まって食事をするなど、人と人の接触の頻度が高まるのは間違いない。それが次の感染拡大の火種となり、少しずつ感染者が増えていく可能性はある。ようやく実家に帰れるという人も多いと思うが、それ自体は全く問題ない。ただ、それでも、新たなことをすると言うより、マスクをする、換気をするなど、これまでがんばってきた感染対策は徹底してほしい」と呼びかけました。