牛肉・日本酒など好調 農林水産物や食品の輸出額 初の1兆円超

ことしの農林水産物や食品の輸出額の合計は、政府が長年目標としてきた年間1兆円を初めて超えることになりました。
アメリカや中国で外食需要が回復したことなどが主な要因です。

これは財務省が16日に発表した先月・11月の貿易統計から確認されたものです。

それによりますと、先月の食料品の輸出額は、速報値で899億円でした。

食料品以外の真珠などを加えた農林水産物や食品の輸出額は、ことし1月から10月までで9734億円に上っていて、合わせると1月から先月・11月までの輸出額は1兆633億円となりました。

政府が長年、目標としてきた農林水産物や食品の輸出・年間1兆円を初めて超えることになりました。

農林水産省は輸出が増えた要因として、コロナ禍で家庭で食事する人が世界各地で増える中、アジアやアメリカなどでネット通販による牛肉や日本酒の販売が好調だったこと、一方、アメリカや中国では外食需要が回復し、ホタテ貝などの輸出が伸びたことなどをあげています。

今後の輸出拡大で課題となるのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、今も中国や台湾など14の国と地域で食品の輸入規制が続いていることです。

農林水産省は引き続き、規制の撤廃を働きかけるほか、輸出に取り組む産地の支援にも力を入れることにしています。

松野官房長官「海外市場取り込み地域経済活性化を」

松野官房長官は、午前の記者会見で「新型コロナウイルスという厳しい環境の中にあっても、農林水産省を中心に政府一体となって輸出促進に取り組んできた成果だ。食品に関する市場が国内では人口減少や少子高齢化によって縮小する一方、海外では拡大すると見込まれる中、引き続き、成長する海外市場を取り込むことで農林水産業の成長産業化を図り、地域経済を活性化したい」と述べました。

日本商工会議所 三村会頭「地方経済の成長へとつながる」

日本商工会議所の三村会頭は16日の定例会見で、「世界的にステイホームの状況が続く中で牛肉や日本酒など日本のすぐれた食品が選ばれたということだと思う」と述べました。

そのうえで「食品は一度味わったら需要は継続するものなので、一時的なブームではないと思う。輸出が増えることは一次産業の活性化などにつながる話なので、地方創生という意味でも非常に喜んでいる」などと述べ輸出のさらなる拡大によって、地方経済の成長へとつながることに期待を示しました。