米バイデン大統領 竜巻被災地へ 当面の復旧費用全面負担の考え

アメリカで相次いで発生した竜巻を受けてバイデン大統領は被害が最も大きかった南部ケンタッキー州を訪れ、復旧にかかる当面の費用を連邦政府が全面的に負担する考えを示しました。

アメリカで相次いで発生した竜巻では、南部や中西部の5つの州で、これまでに子ども12人を含む合わせて88人の死亡が確認され、ケンタッキー州では依然として多くの人と連絡が取れていないということで、地元当局が捜索活動を続けています。

こうした事態を受けてバイデン大統領は15日、被害が最も大きかったケンタッキー州の中で、竜巻の直撃を受けたメイフィールドなどを視察に訪れ、地元の州知事や市長などから被害状況について説明を受けました。

この中でバイデン大統領は被災地の復旧について、「6週間後や6か月後に必要になるものもあるかもしれない。連邦政府からの支援は今だけに限るものではない」と述べ、長期的な視点で支援を続けていく考えを示しました。

そのうえでがれきの撤去や避難所の設置など復旧にかかる費用のうち、30日間分については連邦政府が全面的に負担する考えを示し、支援を強化していくことを強調しました。

9歳の女の子も犠牲に

アメリカ南部や中西部を襲った竜巻ではケンタッキー州で子ども12人が犠牲になり、ミズーリ州で死亡した2人のうち1人は9歳の女の子でした。

アニスティン・ラックリーさんは竜巻への警戒が呼びかけられていた10日の夜、窓がなく家の中では最も安全と考えられる浴室に、家族で避難していました。

母親が撮影した写真でアニスティンさんは、お気に入りの人形を抱えて浴槽で横になり、2人の妹と一緒に笑顔でカメラを見つめています。

母親がこの写真を親族のサンドラ・フッカーさんにメールで送った15分後に、竜巻が襲ったということです。

救助隊が家族5人を家から数十メートル離れた場所で発見し、両親と2人の妹は一命をとりとめましたが、アニスティンさんは亡くなったということです。

アニスティンさんはチアリーディングが大好きだったということで、フッカーさんは「彼女は、私たちのもとに舞い降りた天使のような存在でした」と話し、突然の死を悼みました。

被災現場に多くのボランティア

竜巻の直撃で甚大な被害を受けたケンタッキー州のメイフィールドには、15日も大勢のボランティアが集まり、がれきの撤去などの復旧作業にあたっていました。

このうち竜巻で被害を受けた会計事務所では、ボランティアの人たちがオフィスに残っている書類が入った大量のファイルを次々と外に運び出していました。

近くに住んでいるという17歳の高校生は「私の家は竜巻の被害を免れて無事でしたが、何もしないでいることには罪悪感を抱きます。ボランティアが今、自分にできる唯一のことだと思います」と話していました。

また、祖父母がこの町に住んでいて、テネシー州から来たという26歳の男性は「子どもの頃からよく訪れていた町の変わり果てた姿に衝撃を受けました。バイデン大統領にはできるかぎりの支援を期待したいです」などと話していました。

さらに、2011年にミズーリ州で発生した竜巻で被害を受けたという男性は、当時の支援の恩返しをしたいと、無料でハンバーガーなどの食事を提供するキッチンカーを出店していました。

男性は少なくとも1週間はメイフィールドに滞在し、食事の提供を続けたいとしています。

犠牲者を追悼する場 設置 花を手向ける人々

竜巻で深刻な被害を受けたケンタッキー州のメイフィールド中心部には、犠牲者を追悼する場が新たに設けられました。

竜巻の被害を受けた裁判所の前に設置された仮設のフェンスには、犠牲になった人たちの名前とともに顔写真が貼られ、訪れた人たちが色とりどりの花を手向けていました。

メイフィールドの隣町から1歳の娘とともに訪れていた20歳の女性は、「竜巻で亡くなった人たちが誰なのか、名前や顔を知るべきだ。犠牲者の家族や地域の人たちが1つになることができるこうした取り組みがいま求められていると思う」と話していました。