米FRB 量的緩和策 前倒しで終了へ 来年3回の利上げを想定

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、景気を下支えしてきた量的緩和策を前倒しして終了させることを決めるとともに、来年、3回の利上げを行う想定を示しました。
焦点となる最初の利上げについてパウエル議長は、量的緩和の終了後、「それほど長く遅れることはないだろう」と述べました。

FRBは15日まで開いた会合で、量的緩和策を終わらせる時期について、先月決めたばかりの来年6月から、来年3月へと前倒しすることを決定しました。

わずか1か月で計画を早める異例の判断で、アメリカのインフレがFRBの想定以上に進んでいることを示しています。

パウエル議長は記者会見で「高いインフレ率が定着する懸念が強まっている」として抑え込みを図る考えを強調しました。

今回の会合では、今の金融緩和のもう1つの柱であるゼロ金利政策を解除して利上げに踏み切る時期の予測も示され、参加者18人のうち10人が来年、3回の利上げを想定しました。

焦点となる最初の利上げについてパウエル議長は、量的緩和の終了後、「それほど長く遅れることはないだろう」と述べました。

FRBとしては、量的緩和の終了を早めることで早期に利上げできる余地をつくった形ですが、そのペースによっては世界経済の回復に水を差す可能性もあるだけに、政策のかじ取りの重要性が増しそうです。

パウエル議長「雇用の改善とインフレ圧力 考慮した」

FRBのパウエル議長は、会合のあとの記者会見で、先月決めたばかりの計画を変更し、前倒しで量的緩和を終了させる理由について「雇用の改善とインフレ圧力を考慮した。物価の高騰は食品や住宅など、生活に欠かせないものの費用の上昇に対応できない人を苦しめている。経済と雇用を支えながら、物価の上昇率が高止まりしてしまうことを防いでいく」と述べ、インフレの抑え込みを優先したことを明らかにしました。

松野官房長官「世界経済や日本経済への影響 引き続き注視」

松野官房長官は午前の記者会見で「アメリカでの経済回復の進展やインフレの動向、それに伴うアメリカの金融政策の変更が金融市場に与える影響などを踏まえ、世界経済や日本経済にどのような影響が生じるか引き続き注視していきたい」と述べました。