コロナ感染女性 健康観察ないまま死亡 感染確認の病院が謝罪

新型コロナウイルスの感染が確認された東京都内の女性が健康観察が行われないまま自宅で亡くなった問題で、女性の感染を確認したもののミスで保健所に届け出ていなかった病院が記者会見を開き、謝罪しました。院長は「ミスにはひっ迫した医療体制が背景にあったことは否めないが、それでも十分に反省しなくてはいけない」と話しました。

都内に住む50代の女性はことし8月6日に武蔵村山市の武蔵村山病院で感染が確認されましたが、病院のミスで保健所に「発生届」が出されなかったため保健所による健康観察が一度も行われないまま8日後の8月14日に自宅で死亡しました。

今回の問題を受けて武蔵村山病院は14日、記者会見を開きました。
この中で鹿取正道院長は「痛恨の極みで亡くなられた患者のご冥福をお祈りし、残されたご家族におわび申し上げます」と述べ、謝罪しました。

病院によりますと、当時「発生届」はファックスで保健所に送っていたということですが、担当する看護師の間で情報伝達にミスがあり亡くなった女性の届けを送るのが漏れていたということです。

今後は新型コロナウイルスの感染者情報を集約する国のシステム「HER-SYS」で保健所に届け出るほか、チェックする担当者を増やすなどして再発防止に努めるということです。

また感染が確認されてから5日後の8月11日に女性から病院に電話があり「保健所からの連絡を待っている」と伝えられたということです。

電話は代表電話に匿名でかかってきて、女性が亡くなったあとに着信履歴に残っていた番号から女性からの電話だったことを知ったということです。

このため電話がかかってきた時点で女性の「発生届」が提出されているかどうかをチェックすることはなかったということです。

会見の中で鹿取院長は「女性への健康観察が行われていれば酸素飽和度の低下をいち早く把握するなどして、入院につなげることができたかもしれない」と述べました。

当時、都内では感染の第5波がきていて8月13日にはこれまでで最も多い5908人の感染者が発表されるなど、爆発的な感染のピークを迎えていました。

武蔵村山病院でも専用病床を超える入院患者を受け入れたり発熱外来に訪れる人が多数に上ったりして、医師も看護師もその対応に追われていたということです。

鹿取院長は「ミスにはひっ迫した医療体制が背景にあったことは否めないが、それでも十分に反省しなくてはいけない。第6波が訪れ同じような状況になったとしても、しっかりと届け出は出さなくてはいけない」と話していました。

東京都 小池知事「負の連鎖続き深く反省」

東京都の小池知事は都内で記者団に対し「亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げる。ご遺族もこの間、大変悲しくつらい思いをされて来たことは申し訳なく思う」と陳謝しました。

そして「病院からの届け出など『負の連鎖』が続いてしまったことを深く反省しつつ、どうすれば改善できるか都庁内にチームを作り改善策をしっかりと重ねていく。それぞれのシステムを有効に活用し都民の命を守ることを実現していきたい」と述べました。