東京 武蔵野市 外国籍住民参加の住民投票条例案 委員会で可決

東京 武蔵野市が提出した、実質的に外国籍の住民も日本国籍の住民と同じ条件で参加を認める住民投票の条例案について、13日、市議会の本会議に先立って委員会で審議され、可決されました。

武蔵野市の松下玲子市長が現在開会中の市議会に提出した、常設の住民投票の条例案をめぐっては「多様性のある市民の力を生かしたい」などとして、投票資格を3か月以上、市内に住所がある18歳以上とし、実質的に外国籍の住民も日本国籍の住民と同じ要件で参加できるとしています。

条例に基づく住民投票のため法的拘束力はありませんが、外国籍の人の参加について市民以外にも国会議員が発言するなど、大きな注目を集めています。

13日は本会議に先立ち、市議会の総務委員会で審議され、委員がそれぞれ意見を交わしました。

自民の会派からは「広い意味で参政権になると思われ、安全保障上の問題もある。日本人と同じ設定というのはどうなのか」などと反対する意見が出されました。

一方、立憲民主の会派の議員は「議員選挙などの参政権とは違うことから、住民投票で外国籍住民を排除しないことは、多様性を尊重する武蔵野市として自然な対応だ」などと賛成の意見を述べました。
また松下市長は「パブリックコメントや意見交換会で市民からは意見をいただいてきた。市の広報でも投票資格者に外国籍の住民を含むことを目立つように掲載してきた」などと答えていました。

そして午後8時半ごろ、委員長以外の6人の議員で委員会としての採決がとられ、賛成3人、反対3人の同数のため、委員長による判断で可決されました。

この条例案は、今月21日に開かれる本会議で最終的な採決が行われる予定です。

市民アンケートでは外国籍の住民含めることに7割余が賛成

住民投票条例案の検討段階で武蔵野市がことし3月に行った市民アンケートでは、外国籍の住民も投票資格者に含めるとする市の考え方について回答者の7割余りが賛成と答えています。

住民投票条例案を検討するにあたり、武蔵野市は、ことし3月に無作為で選んだ18歳以上の市民2000人を対象にアンケート調査を実施し、25%にあたる509人が回答しました。

アンケートの結果によりますと、「外国籍の住民も投票資格者に含めるとする市の考え方」について賛成か反対かで尋ねたところ、賛成が73.2%、反対が20.5%などと回答しています。

また、賛成の理由として「外国籍の人も市で生活している住民であるため」とか「多様性を認め合う必要があるため」などの意見が寄せられた一方、反対の理由として「日本国籍の市民に限定すべき」とか「在籍期間や在留資格の要件を設けるべき」などの意見が寄せられたということです。

先行事例の神奈川 逗子市と大阪 豊中市は

武蔵野市が提案している条例案と同様に投票資格に外国籍の住民を含めるのは、武蔵野市によりますと去年12月の時点で常設の住民投票条例がある全国の78自治体のうち43自治体で、このうち、要件を日本国籍の住民と実質的に同じとしているのは神奈川県逗子市と大阪・豊中市の2市です。

このうち神奈川県逗子市は15年前の2006年に制度が始まりましたが、これまでに住民投票は実施されていません。

制定当時、市議会で外国人を含めることについて議論にはならなかったということです。

また、条例制定後に外国籍の住民の割合が顕著に増加しているといった変化はないとしています。

一方、大阪・豊中市は2009年に制度を制定し、こちらも住民投票は実施されていません。

制定の当時、さまざまな年代や国籍の市民を交えた検討会を10回以上開いて多様な意見を聞く場を設けたということです。

また、外国人を投票資格に含むことについて抗議活動などはなかったということです。

外国籍の住民多い東京・新宿区は審議会設置

東京 新宿区は人口がおよそ34万人で、このうち1割にあたる3万4000人が外国籍です。

住民投票条例は制定されていませんが、外国籍の住民の声を区政に生かそうと、生活する上での悩みや区政に対する意見を吸い上げるための審議会「多文化共生まちづくり会議」を2012年に設けました。

審議会は外国籍の住民や国際交流団体のメンバー、それに町内会の代表などおよそ30人の委員で構成し、これまでに災害時の支援や外国にルーツのある子どもの教育などについて話し合い、課題や解決策の提言を区長に提出しました。

中には、住宅をめぐって、外国人に対応する不動産業者を示すよう求める声や内容を十分に理解しないまま契約を結んでいるケースがあるといった声が寄せられ、区は、住居のルールや契約内容をまとめた動画を多言語でつくり、インターネットで公開するなどの改善を図ったということです。

新宿区多文化共生推進課の神崎章課長は「外国籍の人も同じ区に住んでいるので声を聞くことは非常に大事だ。外国籍の住民から『地域に貢献したい』という声も上がってきているのは、長く話し合いを続けてきた成果だと考えている。今後も寄せられた意見をできるだけ区政に反映していきたい」と話しています。