首相「クーポン使わず10万円全額現金で一括給付も」衆院予算委

国会では、13日から衆議院予算委員会で今年度の補正予算案の実質的な審議が始まりました。
18歳以下に10万円相当の給付を行う方法について、岸田総理大臣は、自治体の判断で年内からでも、クーポンは使わず、10万円を全額現金で一括給付することも選択肢に加える考えを示しました。

衆議院予算委員会では午前中、自民党が質問を行い、18歳以下への10万円相当の給付の方法を取り上げました。

各地の自治体からは、全額現金で行うべきだとの声が相次いでいることから、政府は、現金5万円とクーポン5万円分で行うことを原則とするものの、自治体の意向も踏まえ、柔軟に運用できる制度の検討を急いでいます。

高市政務調査会長は「地方自治体の負担を軽減する観点から、どんな方策を考えているのか。準備を考えても、もうタイムリミットだ」と質問しました。
岸田総理大臣は「自治体の判断で地域の実情に応じて、年内からでも10万円の現金を一括で給付する形で実行することも選択肢の1つとして加えたい。そうした方向で、具体的な制度設計を考えていきたい」と述べました。

また、中国が台湾への軍事的な圧力を強めていることに関連し高市氏は「中台有事と言われる事態が発生した場合に備え、中国や台湾の在留邦人の救出手段も、あらかじめ検討しなければいけない。自衛隊法は在外邦人の救出を行う上で、十分な内容か」と問いました。

岸田総理大臣は「アフガニスタンのような困難な状況の中でも在外邦人の生命、身体の保護に万全を期すことが重要だということは強く感じた。現地の安全をどう確認するかという部分にかかわる条文はさらに改善することができないか検討を指示した」と述べました。

さらに高市氏は、北京オリンピックをめぐる対応について「中国の人権問題にどう対応していくのか。外交使節団を派遣しない、いわゆる外交的ボイコットについて現段階でどう考えているのか」と質問しました。

岸田総理大臣は「人権問題に取り組む同盟国、同志国と緊密に連携してしっかり声を上げ、人権を重視した外交を進めていきたい。北京冬季大会については、各国の動きやさまざまな動き、日本の外交の置かれている立場を総合的に勘案して判断し適切なタイミングを選んでしっかりと明らかにしたい」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、今年度の補正予算案で国債の追加発行額が22兆円余りとなったことについて「決して小さなものではないが、必要なものを積み上げた結果だ。いまは緊急時で、困っている人の生活や事業を守るためにしっかりと予算を用意しなければならない」と述べ理解を求めました。

松野官房長官「自治体の判断を尊重」

松野官房長官は、午前の記者会見で「これまでも地方自治体の意見を伺いながら、柔軟な制度設計を進めると申し上げてきた。岸田総理大臣の発言は、自治体の判断を尊重する方針を示したものだ。具体的な制度設計は担当の山際経済再生大臣のもとで進められる」と述べました。

一方で「クーポンによる給付は、より直接的、効果的に子どもたちを支援することが可能であり、これに加え、民間事業者の振興や新たな子育てサービスの創出、消費の下支えなどにつながることも期待される。政府としては、引き続き来年春の入学・卒業・新学期に向けての給付は、クーポンが基本という考え方に変わりはない」と述べました。

また、年内に現金を一括給付する際の基準などを問われたのに対し「細かい手続きなどを含め、自治体へのガイドラインとなる実施要領は必要なので、担当部局で検討を進めていく」と述べました。