政治

政府 “10万円” 年内に全額現金で一括給付も 衆院予算委

衆議院予算委員会では午後も質疑が行われました。18歳以下への10万円相当の給付について、政府は、年内に全額現金で一括給付することも容認することになりました。2回にわけて現金を給付する場合も含め、自治体への条件も設けない方針です。
公明党の竹内政務調査会長は、18歳以下への10万円相当の給付について、年内に全額現金で一括給付することも容認する政府の方針を踏まえ、「地方自治体が補正予算案の成立前や政府から正式な方針が示される前に一括して10万円の給付を行った場合でも、あとから自治体に対して補助金は交付されるのか」と質問しました。

山際経済再生担当大臣は「補正予算案の成立前や実施要領を示す前に給付が行われた場合には、給付の対象者や金額などが適切なものであるかぎり、事後に自治体に補助金を交付することにしたい」と述べました。

また、竹内氏は「2回にわけて現金給付を行う場合でも、その現金の給付自体は、自治体の判断で認められるのか」と問いました。

山際大臣は「地域ごとに事情が異なることも踏まえて、政府で一律の条件を設けて審査を行うことは考えておらず、自治体の主体性でやっていただく」と述べました。

岸田首相 “10万円一括支給 よりよい制度設計を行う”

立憲民主党の小川政務調査会長は「各自治体の12月議会も動いている。いまになって一括10万円と突如言っても対応できるところはほとんどないのではないか。判断が遅かったのではないか」と批判しました。

岸田総理大臣は「地方自治体や野党の皆さんをはじめ、多くの議員からさまざまな意見が寄せられ、私としても『できるだけ柔軟な制度設計に努めたい』と言ってきた。10万円の一括支給は、こうした議論やさまざまな声をしっかり受け止め、よりよい制度設計を行うという結果だ」と述べました。

また、現金給付を行う自治体への条件については、「政府において、一括現金給付を認めるにあたり何か特定の条件をつけて審査をするというようなことはない」と述べました。

自民党支部の助成金受給について

一方、小川氏は、自民党の石原元幹事長が代表を務める党支部が「雇用調整助成金」を受け取り内閣官房参与を辞職したことについて「かなり世間の評価は厳しい。任命責任をどう考えているか」とただしました。

岸田総理大臣は「石原氏本人として、混乱を生じることは本意ではないと、辞職を申し出られ認めた。混乱は否めず、この点は申し訳ない」と陳謝しました。

また、石原氏と同様に、みずからが代表を務める党支部が「助成金」を受け取り全額返金する手続きを始めた大岡環境副大臣は「自省している。副大臣の仕事はすべてを任命権者に任せており、職を与えられているうちは、全うしていきたい」と述べ、引責辞任を否定しました。

岸田総理大臣は「適法だと思うが国民の理解は得られない。政治の信頼と共感を得るためにそれぞれの立場で身の処し方を判断することが重要だ」と述べました。

新型コロナによる観光業への影響 対応は

午前中に質問に立った自民党の島尻元沖縄・北方担当大臣は、新型コロナによる沖縄の観光業への影響をめぐり「未曽有の大打撃を受けた。観光客は戻ってきつつあるが、レンタカー会社は、コロナで車を相当数手放さざるをえなかったところがほとんどで予約に対応できないといった声も聞こえてくる」と述べ、政府の対応を問いました。

岸田総理大臣は「沖縄の観光業は非常に高い潜在力があるが、大変厳しい状況にあると強く認識している。観光再生に向けて自治体への支援などコロナ後をにらみながらしっかり取り組みを進めていかなければならない」と述べました。

3回目のワクチン接種 岸田首相“6か月以内に前倒しは難しい”

また、新型コロナワクチンの3回目の接種をめぐり、岸田総理大臣は予算委員会で、「接種間隔は最短でも2回目接種から6か月であり、6か月以内に前倒しすることは薬事承認などの関係で難しい。既存のワクチンのオミクロン株への効果なども見極めたうえで、在庫の状況や、地方自治体で対応できるかも勘案したうえで、8か月をどこまで前倒しするのか丁寧に考えていきたい」と述べました。

衆議院予算委員会では14日も、岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われます。

10万円相当給付めぐる経過

18歳以下への10万円相当の給付は、先月19日に閣議決定された新たな経済対策に盛り込まれています。

児童手当の仕組みを活用して所得制限を設け、年内に自治体が現金5万円の支給を開始し、来年春の卒業・入学シーズンに合わせて子育て関連の商品やサービスに使いみちを限定した5万円分のクーポンを配ることが基本だとしています。

また、「地方自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」とも明記しています。

政府としては、経済対策の効果をあげるため、給付を貯金などに回さずに実際に使ってもらおうと、現金とクーポンに分けて実施したいと説明していました。

しかし、各地の自治体の長からは現金とクーポンの併用では、事務手続きに時間と経費がかかるなどとして、全額現金での給付を認めるべきだとの意見が相次ぎ、政府は、自治体の意向も踏まえ、柔軟に運用できる制度の検討を急いでいました。

横浜市 川崎市 相模原市 全額現金給付へ

18歳以下への10万円相当の給付について、横浜市、川崎市、相模原市は、いずれも卒業や入学のシーズンに間に合わせる必要があるとして、13日、全額現金で給付することを明らかにしました。

18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、全国の自治体から全額現金で行うことを認めるべきだという声が相次いだことから、政府は、年内に全額現金で一括給付を行うことを容認し、2回にわけて現金を給付する場合も含め、自治体への条件も設けない方針です。

これを受けて、横浜市、川崎市、相模原市の神奈川県内の3つの政令市は13日、10万円の全額を現金で給付すると発表しました。

クーポンで給付しようとすると、制度設計や事務手続きに時間がかかり、卒業や入学のシーズンに間に合わない可能性が高いことが理由で、いずれの市も年内に5万円を現金で給付したうえで、残りの5万円についても、年度内の早い時期に給付したいとしています。

3市は「子育て世帯を支援するという趣旨を踏まえて、1日も早く手元に届くよう手続きを進めたい」としています。

岸田首相「柔軟な制度設計に努め 選択肢いろいろ用意」

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で、記者団から「10万円の給付に関して方針転換したが、どういった理由からか」と問われ、「方針転換というか、柔軟な制度設計を心がけると申し上げ、選択肢を広げたということだ。丁寧に地方の声を聴き、国会の議論をしっかりと受け止め、柔軟な制度設計に努めた結果として、選択肢をいろいろ用意させていただいたということだ」と述べました。

松野官房長官「基本的な考え方に変わりはない」

松野官房長官は、午後の記者会見で「当初の方針を転換したのではないか」と問われ「来年春の卒業、入学などに向けて、クーポンによる給付を原則とした5万円相当の給付を行う基本的な考え方に変わりはない。他方、地方自治体から柔軟に現金給付を行えるようにしてほしいとの声もあがっており、こうした声も踏まえ、現金を一括で給付する形で、今回の対策の内容を実行することも選択肢に加えるとの方針を示したものだ」と述べました。

また「経済対策の閣議決定でも、クーポンを基本とした給付について、地方自治体の実情に応じ、現金給付とすることも可能とするとしており、閣議決定の変更が必要であるとは考えていない」と述べました。

自民 茂木幹事長「自治体の判断でいいやり方で進めて」

自民党の茂木幹事長は、大阪市で行った講演で「来年3月、4月の卒業・入学シーズンに合わせて地域の消費喚起にもつながるクーポン券を基本に考えていたが、『現金でやりたい』という自治体が多く出てきているようだ。もともと自民・公明両党の案でも、地域の事情によっては現金で配ることも認める形にしており、自治体の判断でそれぞれいちばんいいやり方で進めてもらいたい」と述べました。

立民 泉代表「方針転換 さらに大きな混乱も」

立憲民主党の泉代表は、党の執行役員会で「きょう、岸田総理大臣が方針を転換したが、年内に10万円を現金で給付できる自治体は非常に少なく、国民に向けたメッセージと、自治体の実態が異なり、さらに大きな混乱を呼ぶのではないか。岸田総理大臣は現場を理解していないことが分かってきた。『聞く力』とは、国民の声を聞くだけではなく、役所から正しい情報を聞く力も問われている」と述べました。

共産 小池書記局長「判断長引かせ極めて無責任」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「現金で一括給付できるようにすべきだということは、今の臨時国会が始まる前から野党が指摘してきたことで、当然の措置だ。むしろここまで判断を長引かせたことが極めて無責任だと言わざるをえない」と述べました。

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

News Up

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。