ケンタッキー州で死者100人超のおそれ 救助活動が難航 米竜巻

アメリカで相次いで発生した竜巻によって大きな被害が出た現場では12日も朝から救助活動が続けられていますが、停電の影響などで難航しています。
南部ケンタッキー州で倒壊した工場では多くの従業員の安否が依然として分かっておらず、州知事は死者は100人を超える可能性があるという見方を示しています。

アメリカでは10日夜から11日にかけて南部や中西部の6つの州で竜巻が相次いで発生し、建物が倒壊するなど大きな被害が出ました。

現地では12日も朝から救助活動が続けられていて、このうち南部ケンタッキー州でろうそく工場が倒壊した現場では当時、工場の中にいた従業員などおよそ110人のうち40人がこれまでに救助されたということですが、多くの人たちの安否が依然として分かっていません。

また、この地域では広い範囲で停電となっていて救助活動は難航しています。

ケンタッキー州のベシア知事は12日午前、アメリカのテレビ局に出演し、ろうそく工場の現場では24時間以上、生存者を救出できていないと明らかにしたうえで、州内の死者は100人を超える可能性があるという見方を示しました。

相次いだ竜巻によってケンタッキー州以外では、これまでに中西部のイリノイ州で6人、ミズーリ州で2人、南部のテネシー州で4人、アーカンソー州で2人が死亡し、この4つの州で合わせて14人の死亡が確認されています。

工場に閉じ込められた女性「誰か助けて」

倒壊したケンタッキー州のろうそく工場に2時間以上閉じ込められていたという従業員の女性は、フェイスブックのライブ中継で当時の状況を伝えていました。
動画では一面に暗闇が広がり、叫び声や泣き声が聞こえる中、女性が「この動画を見ている人がいるかどうか分からないけれど、竜巻が直撃して工場の中に閉じ込められている。誰か助けて」などと呼びかけています。

また女性が動揺する同僚たちに「落ち着いて、大丈夫だから」などと声をかけてなだめる様子や「そろそろ午後10時。数時間後には私の誕生日を迎えるので、みんなでハッピーバースデーの歌を歌って」などと促し、励ます様子が映っています。

女性はこのあと救助されたということで、アメリカメディアの取材に対し、工場内で大きな横揺れがしたあと、あらゆる物が落ちてきて、自分と同じ場所に6、7人が閉じ込められたと説明しています。

また助け出される際、救助隊に「脚の感覚がないのでどうにかしてほしい」と伝えると、脚の上に積み重なった高さ1メートル50センチ以上のがれきを取り除いているところだと説明されたということです。

救助されたあと女性は「これまでで最も恐ろしい出来事だった。できるかぎりの助けがほしいと、ライブ中継をした」と振り返っていました。

倒壊したろうそく工場に約110人

倒壊したケンタッキー州メイフィールドのろうそく工場は地元の家族経営の会社によって運営され、ほぼ自動化された製造ラインでろうそくなどを製造していました。

アメリカメディアなどによりますと、ろうそくの需要が高まるクリスマスを前に工場は24時間稼働し、竜巻が直撃したときにはおよそ110人が働いていました。

会社のCEOはホームページで、被害を受けた従業員とその家族を支援するため、緊急の基金を設立することを明らかにしました。

街の中心部では片づけが本格的に始まる

竜巻の直撃を受けたケンタッキー州メイフィールドでは、被害から丸1日以上たった12日、がれきの片づけが本格的に始まりました。

街の中心部ではほとんどの建物が倒壊していて、作業員が小型のショベルカーを使ってレンガや材木を道路の脇に集めていました。

地元の行政当局が入っていた建物も時計台のあった塔が倒壊し、2階から上が原形をとどめないほど損傷しています。

地元の男性は「普段、買い物をしたり食事をしたりするところがこのような姿になったのを見るのはつらい」と話していました。

また、多くの住宅も竜巻で倒壊したり、倒れた木の下敷きになったりして被害を受けていて、周辺の地域から大勢のボランティアが集まってがれきを片づけたり、壊れた住宅から家具を外に運び出したりしていました。

隣のテネシー州からボランティアに訪れた女性は「クリスマスを前にこのような災害に見舞われた人が気の毒でなりません。希望を失わないでほしいです」と話していました。

メイフィールドではまだ停電が続いているほか、水道などのライフラインも寸断されていて、州当局などが復旧作業を急いでいます。

専門家 “最大直径4キロ 風速130メートルに発達”

竜巻などの気象を専門とするアイオワ州立大学のウィリアム・ギャラス教授はレーダーなどの分析をもとに、10日夜の時点で発生していた2つから4つの強い竜巻が、速いスピードで移動しながら地表付近に長時間とどまったことで、被害が広範囲に及んだという見方を示しました。

このうち、ろうそく工場が倒壊した南部ケンタッキー州では、竜巻が最大で直径4キロ近く、風速130メートルほどに発達したと見られ、4時間余りにわたって350キロ以上を移動した可能性があると分析しました。

ギャラス教授によりますとアメリカでは例年、4月から5月にかけて竜巻が多く発生しますが、今回、12月に相次いで発生した原因について、「南から非常に暖かく湿った空気が流れ込んでいた。12月としてはこれまでになかったほどの湿度で、雷雨を引き起こす不安定な要素が多かった」と話し、特殊な気象条件がそろっていたとしました。

気候変動との関連については、局地的な竜巻への影響を判断するのは難しいとしながらも「気候変動によって、以前は竜巻が起きなかった時期にも発生するようになる。冬場に巨大な竜巻が発生するのは、気候変動の影響として予測されていることと一致する」と話していました。

岸田総理「お見舞いを申し上げさせて頂きたい」

アメリカで相次いで発生した竜巻によって建物が倒壊するなどの大きな被害が出ていることについて、岸田総理大臣は衆議院予算委員会の冒頭「お見舞いを申し上げさせて頂きたい」と述べました。