ニカラグアと台湾が断交 中国が台湾の友好国の切り崩し進める

中国が台湾の友好国の切り崩しを進めるなか、中米のニカラグアが「台湾は中国の領土の一部」だとして、台湾と断交すると発表しました。これに対し、台湾側も「尊厳を守るため」として、ニカラグアとの断交を決めました。

ニカラグアの外務省は9日「即日、台湾との外交関係を断つ」という声明を発表しました。

声明では「ニカラグア政府は、世界に中国は1つしかないと認識する。中華人民共和国が中国の唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の不可分の領土の一部だ」としています。

これは中国政府の主張と一致します。

これに対し、台湾外交部も10日朝「ニカラグアの決定は一方的なもので、非常に心が痛み、遺憾だ」としたうえで「主権と尊厳を守るため、即日、ニカラグアとの外交関係を終える」という声明を発表しました。

台湾が外交関係をもつ国の数はこれで14に減りました。

中国が主張する「1つの中国」の原則を認めない蔡英文政権が2016年に発足して以降、中国による台湾の友好国の切り崩しが進んでいて、今回のニカラグアを含めて台湾と断交した国は8つ、このうち中米・カリブ海地域だけで4か国を数えます。

ニカラグアの隣国のホンジュラスでも、先月の大統領選挙で「中国と国交を結ぶ」と主張してきた野党候補が勝利を確実にし、今後の動向に関心が高まっています。

中国「ニカラグアは中米の重要な国」

中国外務省は10日、ニカラグアと国交を回復したと発表しました。

国営の中国中央テレビは10日天津で、中国とニカラグアの代表者が面会し、国交を回復する文書に署名をしたと伝えました。

これに合わせて、中国外務省の報道官は「ニカラグアは中米の重要な国だ。『1つの中国』の原則を認め、台湾といわゆる『外交関係』を断絶させ、中国と国交を回復したことを高く称賛する」とする談話を発表しました。
また、中国外務省の汪文斌報道官は10日の記者会見で「ニカラグアが前提条件なしに中国と国交を回復したことは歴史における正しい選択で、我々は高く評価する」と述べました。

そのうえで、汪報道官は「今回の国交回復は、『1つの中国』の原則が国際社会における普遍的な共通認識であることを改めて示している。これを堅持することは国際的に大きな意義を持つとともに人々の願いでもあり、いかなる勢力も阻むことはできない」と述べ、台湾側をけん制しました。

台湾 蔡英文総統「権威主義陣営からの圧力もより大きくなる」

台湾の蔡英文総統は10日、新北市内で開かれた行事のあいさつでニカラグアとの断交について触れ「台湾の民主主義が成功すればするほど、国際社会からより強く支持され、権威主義陣営からの圧力もより大きくなる」と述べました。

そのうえで「外交的な圧力であろうと、言論による攻撃や武力による威嚇であろうと、民主主義と自由を貫いて世界に向かって進み、国際的な民主主義のコミュニティーに参加するというわれわれの決意と努力は変えようがない」と述べて、中国の圧力に屈しない姿勢を強調しました。

また、台湾外交部は、10日午後の報道発表文で「『民主主義サミット』の初日にニカラグアを誘惑して台湾と断交させた中国の行いは下劣で、民主主義の世界を公然と挑発するものだ」と、中国を非難しました。

台湾の専門家「中国 見せしめとして台湾の友好国奪う必要」

国際政治や中台関係に詳しい台湾師範大学の范世平教授は、「アメリカが台湾をサミットに招待したことは中国にとって大きな打撃だ。中国は見せしめとして台湾の友好国を奪う必要があったのだろう」と話しています。

また、范教授は、中国が台湾の友好国の切り崩しに成功するかどうかは、対象の国にアメリカがどのような態度をとるかに左右されると指摘します。

ニカラグアの場合、先月行われた大統領選挙について公正でなかったとして、アメリカがオルテガ政権の高官らに制裁を科していて、このことが結果的にニカラグアを中国側に押しやったという見方を示しました。

米「台湾との関係を拡大を」

アメリカ国務省のプライス報道官は9日、声明を発表し、台湾と断交したニカラグアについて「ニカラグアの人々から民主主義と経済成長のための確固たるパートナーを奪っている」と批判しました。

そのうえで「民主的な制度や透明性、法の支配、それに国民の経済的な繁栄を重視するすべての国に対し、台湾との関係を拡大するよう呼びかける」としています。