脱炭素時代 ESG投資の先には何が?【経済記者コラム】

金融市場の動きを読み解く「マーケット興味津々」のコーナー。6日の週は、脱炭素時代の投資の話題を。「ESG投資が重要だ」とは金融界でなくてもよくいわれることですが、最近はその次の投資にも関心が高まっています。ある金融関係者からは「“グリーンウォッシュ”には気をつけた方がいい」とのことばも耳にしました。何なのでしょうか。(経済部記者 加藤ニール)

脱炭素を目指す時代、環境対策は、企業の存続に関わる大きな問題です。

来年4月には、東京証券取引所の再編に伴って、企業に気候変動に伴うリスクの開示を求める動きもあります。

ESG投資の重要性はよくいわれることです。

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)、こうした要素を配慮して責任ある投資を行うというのが広がり、なかば世界共通の基準になりつつあるわけです。

世界の「ESG投資」の規模は、2020年時点で総額35兆ドル、3900兆円を超えるとの調査結果もあります(GSIRまとめ)一方で、金融界では「エコ」や「グリーン」、それに「SDGs」と言った言葉が飛び交うなか、数字が実態より過大なのではないかと疑問の声もあがっています。

こうしたなか、耳にするのが「グリーンウォッシュGreenwash」なる単語です。

「うわべだけ」とか「ごまかす」という意味の「Whitewash」に、環境に優しいという意味がある「Green」を組み合わせた造語です。

つまり、「うわべだけの環境対策」「環境に配慮しているようにみせかけて実態は違う」という意味です。

例えば、商品を100%リサイクルするとうたいながら、実際にはリサイクルしていなかったり、工場で再生可能エネルギーの活用をうたいながら、実は使用する電力全体で見ればごくわずかな割合でしかなかったり、といったケースがあるそうです。

ヨーロッパでは、ある企業が環境団体からグリーンウォッシュを指摘されたことで株価が下落したケースも起きているといいます。

ある金融機関の幹部は、「環境対策に取り組む企業に重点的に投融資しないことはリスクだが、グリーンということばだけをうのみにして投資するのもリスクだ」と話していました。

グリーンウォッシュを、どう見抜けばいいのか。

いま、関心が高まっているのが「インパクト投融資」です。

投融資によるリターンを得ながら、脱炭素など、社会問題解決への良い影響(インパクト)も目指そうというものです。

「インパクト投融資」は、ESG投資にも似ていますが、違いは、効果の測定にあります。

間に入る金融機関などがあらかじめ具体的な数値目標を設定して、その後も進捗(しんちょく)をモニタリングします。

取り組みの効果を測定することで、より実効性が高まると期待されています。

ダイエットをしようとさまざまなトレーニンググッズを買い集めて悦に入っているか、それとも目標体重を示し、実際、体重、体脂肪とも絞り込むことができるのか、その違いといったら分かりやすいでしょうか。

11月下旬には、メガバンクや大手保険会社、それに地銀など、21社が集まって「インパクト投融資」に積極的に取り組むと宣言。

今後、連携して、投資先の環境対策の効果の測定方法などを研究していくことにしています。

私も経済記者として日々、企業経営を取材しますが、業績の表面的な数字だけに終始せず、インパクト面をしっかりみるようにしたいと感じました。

注目予定

注目予定は、なんといっても日米欧の中央銀行で、金融政策を話し合う会合が相次いで開かれることです。

このうち、アメリカでは、FRBのパウエル議長が、11月、量的緩和縮小のペースを早める方針を示しているだけに実際、どのような対応となるかが焦点になります。

また、日銀は、来年3月末が期限となっている新型コロナの影響を受けた企業の資金繰り支援策について、今後の扱いが注目されます。